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白い恋人 アイノフラワー 条件戦

 そして3年の時が過ぎ、アキトはデビューを迎えた。

 競馬学校主席卒業者に送られるアイルランド表彰は、同期の滝川に譲ったが、競馬サークル内での評価は高く、デビューは滝川と同じ4頭の馬に恵まれた。

 内、二頭が斎藤厩舎、もう一頭は、関西所属の小河原正二調教師がわざわざアキトのデビューに合わせて、関西から遠征してきた2勝馬、アイノフラワーである。アイノフラワーは芦毛の牝馬。2勝馬ながら、評価は高く、G1も狙えると小河原が見込んだ馬だが、臆病なためにブリンカーとシャドーロールを着けていた。

 レース当日、パドックでアイノフラワーに跨がったアキトは、アイノフラワーのうるさい所を見て、厩務員に言った。

「この馬、ブリンカーとシャドーロールが嫌なんじゃないか? 全然、集中してないぜ?」

「ブリンカー外せっちゅうのか? 小河原先生に訊かないと俺ではどうにもならんわ」

「次走からでもいいから、今回は好きに乗っていいか? 馬込みを嫌うだけで、それほど臆病にはオレには思えないんだ」

 アキトのデビュー2戦目のそのレースで、いつもは逃げるアイノフラワーを後ろからの競馬をして、最後の直線で長くいい脚を使って、アキトは単勝7番人気のアイノフラワーで快勝して見せた。

 ライバルの滝川はデビュー初騎乗初勝利を飾ったが、アキトはそれに続いてデビュー当日に初勝利を飾った。

 それを斎藤調教師が出迎える。

「やったじゃねえか坊主。ウチの馬じゃねえのが残念だが、良く乗った」

 アキトは笑顔でそれに答えた。

「馬が良かっただけですよ」

「次のウチの馬も頼むぞ、アキト」

「やってやりますよ」

 この初勝利で自信を付けたのか、アキトは次のレースでも勝った。

 だが、滝川は初勝利から4連勝を飾り、その日の競馬関連のニュースは全部滝川に持っていかれた。

滝川英雄ひでかつ

明人の同期。身長170センチ体重48キロ

騎手としては大柄だが、たゆまぬ努力と天才的なセンスでポスト神野五郎と目される若き天才。

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