鈴7
この間、冬花と初めてデートしたわ。
二年生になって、デートが初めてなんて可笑しいでしょう?
恋人になったのに、デートしてなかった事に気付かないなんて、復讐ばかり考えていたからよね。
今は、以前より復讐の事を考えなくなっているから、気付けたのだけれど…。
デートして、分かった事があるわ。
私は、冬花と別れる気はないって事。
あんなに、嫌いだったのに…。
今は、好きに変わってしまったわ。
まだ、その気持ちは小さいけれど、これからどんどん大きくなっていく…。
だから、私は改めて冬花に告白する事にした。
今回は、私の家に呼んで告白したの。
「そっか…、本当の恋人になりたいんだ。……分かった。改めて、これからよろしくね。」
冬花は、しばらく考えてからそう言った。
私は、嬉しくて抱きしめたくなったけれど、我慢して用意していた婚姻届をとりだした。
「これにサインして?」
「………えっと、結婚するの?」
「逃がしたくないのよ。」
「逃げないよ!…結婚を前提に付き合う気だったから、サインして結婚してもいい。でも、お互いの家族に挨拶してから婚姻届を出しに行こうね。結婚出来る年齢だけど、お互いまだ未成年なんだから。」
冬花は、苦笑しながらそう言ってくれた。
…そこまで、考えてくれていたなんて…。
冬花は、婚姻届にサインして私に渡した。
「鈴に預けておくね。これで安心でしょ?次は、家族に挨拶しないとね。」
「冬花…、本当に私でいいの?」
「良くなかったら、婚姻届にサインしてないよ。鈴と恋人になって、たまに本当の恋人だったらって考える事があったし。結婚してもいいと思ってたから…。まさか、こんな形でプロポーズされるなんて思ってなかったけどね。」
……プロポーズは、お互いの家族に挨拶した後、改めてする事にしましょうか。
さすがに、プロポーズが婚姻届だけだと将来子供に話す時困るわね。
…恋人になった経緯とか、冬花との出会いの事も話す時困るわ。
冬花を嫌いになって、その後復讐のために脅して恋人(仮)になった後、好きになり始めて逃げないように婚姻届にサインしてもらった…なんて、そのまま話せないわ。
せめて、プロポーズはやり直したいわね。




