プロローグ ~斯波 拓は大学へ行く~
春、それは始まりが多い季節である。桜もきれいに咲き誇り、冬の寒さも和らぎ始めている今日この頃。
この俺、斯波 拓にも新たな生活が待っていた。
高校を卒業した俺は地元の国立大学に進学することになった。地元だから実家から通う。つまり多くの大学生が憧れる一人暮らしではない。俺もしたい気はあったが、めんどくさがりな性格と家賃などの金銭的問題によってそれは不可能となった。地元とはいっても田舎にある俺の実家から大学までは自転車で1時間ほどかかる。まあ高校時代サッカーをやっていたおかげで体力には自信があるからそこまで気にはならないのだが。
ここで俺、斯波 拓について話をしておこう。俺は基本的に明るい性格でコミュニケーション能力には長けているほうだ。加えて勉強も運動も得意で高校時代はサッカー部のレギュラーで活躍し県選抜に選ばれ、勉強では学年トップだった。とはいえ家が近いという理由で選んだため、名の知れた進学校やスポーツ校ではなかった。だから、高校の同級生は俺が通う予定の大学には一人もいないのである。それでも国立大学に合格しスポーツでも県選抜に選ばれる実力を持つのだからハイスペックといっても不足はないだろう。さらに言えば俺はイケメンらしい。しかし、ずば抜けてかっこいいわけではなく、周りのうわさを聞く限り、言われてみればといったレベルである。それ本当にイケメンなのか?と疑問に思うのだがまあいい。とにかくまあまあハイスペックなのだ。だが、俺にはいくつか欠点がある。まず、隠れオタクということだ。俺はアニメやゲームが大好きだが、周りのみんなには言っていない。この事実を知っているのは高校時代に仲の良かったオタク友達だけである。欠点というほどではないが、あまり公にしたくはない。次に、ひねくれた性格をしているという点だ。先ほど明るい性格といったがこれも嘘ではない。しかし、このひねくれた性格もまた斯波 拓の一部なのである。これは好きなアニメの主人公の考え方にはまった結果、自分の性格までひねくれたのである。そしてそのひねくれた意見を時に口にしてしまうのだ。友達からはそいういうの嫌いじゃないと言われるが、果たしてどうなのだろうか?あとはネットの影響もそこそこある。そう考えると俺結構ちょろいな。そして最後にして最大の欠点が俺は「ヘタレ」だということだ。ひねくれた性格のせいで日頃から他人の行動を否定的に見ているせいか、自分の行動がどのように見られているのか気になるのである。服装はシンプルなものしか着ないので目立つことはないから気にしていないのだが、恋愛などの対女子に関してはどうしても気になってしまい、ヘタレ野郎になってしまうのだ。そのせいか高校時代は彼女がいなかった。まあ、アニメの見すぎで理想の女子が高くなってしまったのも否定はしないが・・・
少し長くなったが、これが俺、斯波 拓である。そしてこの後、斯波 拓は大学で恋に落ちるのだった。
読んでくださりありがとうございます。
藤沢 恵です。
初めての投稿で至らないところも多いと思いますが、気ままに投稿しますので、今後ともよろしくお願いします。