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ゴールにつかない限り、あたしの戦いは終わらないの

「エミティノート!」


時刻は深夜。


エミティノートは猫に憑依しているヴァリアンツだが、特別に人間用の個室が与えられていた。

そこに、エリシャが忍び込んできたのである。


エミティノートは、すでに密かな足音を察知していた。

部屋に入るなり、エミティノートをとらえようとしたエリシャの腕から逃れる。

軽やかにジャンプし、部屋のすみに移動した。


「どうしたの?

 いきなり」

 

エリシャはピアリッジ用の戦闘服を着こみ、リュックサックを背負っている。

無言でエミティノートにつかみかかる。


「ちょっと!」


抗議の声を上げ、エミティノートは逃げようとする。


が、エリシャの腕に抱きかかえられてしまった。


「なんなのよ、いきなり!」


「悪いけど、手伝って」


エリシャは真剣なまなざしをエミティノートにそそぐ。

エミティノートは、エリシャの腕の中でおとなしくなった。


「なにをしようっていうの?」


「ヴァリアンツを殺しに行くの」


「ムチャ言わないで!」


「ムチャじゃないでしょ!

 相手は3人だけしか残ってないし」


「ムチャよ!

 もう政府は休戦するっていう方針なのよ?

 それに逆らうつもり?」


「バカらしい。

 ヴァリアンツを倒すのは、結局、ピアリッジ頼みなのに、いったい、政府とかの誰があたしに命令できるっていうの?

 あたしは好きにやるだけなの」


「そんなことしたら、あなたは自分の立場を悪くするだけよ。

 どうしてヴァリアンツを殺すことにこだわるの?」


「あいつらの全滅が、あたしの決めたゴールだから。

 ゴールにつかない限り、あたしの戦いは終わらないの。

 あたしの家族が殺されたことに対する、それがあたしにしてあげられるたった一つのことだから」

 

「少し、頭を冷やしなさい。

 あなたのご家族を殺したのはヴァリアンツだけど、残ったあなたまで自分から不幸になることはないのよ」

 

「なにそれ?

 ヴァリアンツのこと、かばってんの?」


エリシャは歯をむき出して獰猛に笑った。

鋭い光が、見開いた瞳に灯る。


「そーいえば、エミもヴァリアンツだったっけ……ねぇ?」


エミティノートは観念したように目を閉じた。


「私の命がほしいなら、好きにすればいいわ。

 どうせ、探索隊が全滅した時には、私も死ぬつもりだったもの」


「なら、どうして味方を裏切って、地球に来たの?

 命が惜しかったんじゃないの?」

 

「私はただ、あなたたちみたいな犠牲者をもう出したくなかっただけよ。

 だから、彼らを止めようとしたんだけど……。

 それに、私みたいに地球に生きるって決断も選択肢にあると示したつもりだったんだけど……。

 ……結局、なんの意味もなかったわね。

 でも、やっぱり探索隊が、関係ない人たちを最初に巻き込んだのは、誤りだったと思う。

 だから、彼らがみんな死ぬのも、自業自得だと思ってる。

 それに私も、結局、探索隊の一員だから」


「なら、最後まで責任とってよ!

 ……こんな風に、すんなり終わるなんておかしいと思わない?」

 

「まあ、少しはね。

 でも、考え方が変わったんじゃないのかしら。

 だったら、私にとっては、うれしいことだわ」


「だったら、確かめに行かない?

 実際に、会って聞けばいいじゃない!」

 

「は?

 まったく正気の沙汰じゃないわ」


「でも、エミだって不思議なんでしょ?

 なら、きっちりと確かめるべきだって」


「私がいたって、どうにもならないわよ。

 彼らがいる場所だって、よくわからないし」


「それについては、ご心配なく」


エリシャはエミティノートを抱いたまま、部屋を出た。

別室へ入ると、そこには、トビヒトとルカがいた。


「二人は、協力してくれるってさ」

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