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このまま終わらせるなんて、絶対ムリ

東京でヴァリアンツを捕獲してから、数日が経過した。


意外な知らせは、エミティノートから唐突にもたらされた。


「ヴァリアンツが休戦を求めてきたわ」


ルカとエリシャは驚愕した。

三人は、ルカの居室にいた。

エリシャは暇を持て余して、ルカの部屋に遊びに来ていた。


そこへ、普段なら、ヴァリアンツ捜索に駆り出されているエミティノートが、部屋に飛び込んできたのだ。


つかのま、あっけにとられていたエリシャが、噛みつくような勢いで、エミティノートに問いただす。


「休戦?

 ヴァリアンツと?

 どういうこと?」

 

「捕虜のヴァリアンツが彼らとの連絡方法を教えてくれたの。

 ある場所に、連絡内容を記載した容器を隠しておくっていうのだったけど。

 で、今日、中央情報隊がそこを調べたら、休戦を求める文書が入っていたってこと。

 そこでのやりとりで、すぐに休戦協定を結ぶ段取りに入るまでに、交渉が進んだそうよ」


エミティノートも、言いながら信じがたい様子だった。


一方、ルカは腰が砕けるほどに安堵した。


「じゃあ、もう戦わなくていいんだ」


座っていたベッドに背中を預ける。


「よかった……。

 平和になったら、もうこんなキツい生活とは、お別れだね」


エリシャに同意を求める。

が、エリシャの反応は、ルカの期待を裏切っていた。


蒼白な面持ちを、エリシャはこわばらせていた。


「いまさら、休戦なんて……。

 そんなのが通用する相手とは思えないよ。

 だって相手はヴァリアンツだよ?

 人間じゃないじゃん」

 

「で、でも、もう向こうにやる気がないんだったら、無理に戦わなくてもいいような気がするけど……」


とまどったルカは、つぶやいた。


エミティノートも腑に落ちないようだった。


「ウェイルノート隊長がこんな選択をするなんて、ちょっと想像もできないわ。

 それなら、いままで彼らが執拗にテロを繰り返したのは、なんの意味があったのかしら。

 あるいは、内紛でも起こったのか……」


トビヒトが室内へと入ってくる。

にこやかに言った。


「もう、知ってるみたいだね、エミティノートさんがいるところを見ると。

 君たちピアリッジはもう彼らと戦闘する必要はなくなった。

 ひとまず、休戦協定が締結されたよ、たった今」

 

エリシャは、トビヒトを怒鳴りつけた。


「ウソつき!!!」


トビヒトは不思議そうに、怒り狂うエリシャを見た。


「おいおい、いきなりどうしたんだ?

 喜ばないのか?」

 

「だって……おかしいよ、こんなの。

 あたしたちは、ヴァリアンツと戦争してたんじゃないの?

 まだ、あいつらは全滅してないでしょ」

 

「そんな必要はない。

 ……もっとも、ここだけの話だが、こちらもヴァリアンツを許すつもりはない。

 だが、彼らの持っているオーバーテクノロジーをまず入手したい。

 月の宇宙船を、無事に獲得したいんだよな、日本政府だけでなく、他の国もだ。

 それを手に入れたら、適当な理由をつけて、追い詰めればいい」


怒りに顔を紅潮させ、エリシャはなおも反論する。


「うまくいくわけないよ、そんなの。

 きっと罠かなんかだって」

 

「根拠はあるのか?

 キミの想像だろ?」

 

「……そうかもしれないけど、きっとそうだって!

 実際、あいつらと戦ったことがあるあたしが言うんだから、間違いないの!!!」


子供のようにわめくエリシャ。

トビヒトは肩をすくめて、エリシャから顔をそむけた。


エリシャは思わず、部屋から飛び出した。


人気のない廊下でエリシャはうずくまる。


「なんか、あたしってすごくバカみたい。

 ルカもきっと、ドン引きしたよね。

 ……でも、このまま終わらせるなんて、絶対ムリ」

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