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ルカがあたしの夢になってくれてる

エリシャは静かにドアを閉めた。

そっとルカの毛布をめくる。


ルカは背中を丸め、横になっていた。

背中の方に向いて、エリシャも横向きに寝る。


ルカは寝たふりをしていた。

物憂げなエリシャのため息が聞こえる。


ひそひそとエリシャがささやく。


「寝てる?」


ルカの背中に、エリシャの手が触れる。


「ちょっと!

 変なことやめて!」


たまらずルカは声を上げた。

ルカに背中を向けたまま、とがめるように言う。


「こんなふうに、トビヒトさんともエッチにもちこんだわけ?」


エリシャは驚いた。


「知ってたんだ。

 そんなの、ルカはキョーミないと思ってた」


「ないよ!

 わたしはエリシャとそんなことしないからね」

 

エリシャは笑みを含んだ声で言う。


「トビヒトのことが好きなの?」


当たらずと言えども、遠からずであった。

ルカは精悍な大人の男性であるトビヒトのことが気になっていたのである。


「知らない。

 エリシャのカレシなんでしょ?

 興味ない」


「あんなの別にカレシじゃないよ。

 単なるヒマつぶし」

 

「ヒマつぶしって……」


ルカは絶句する。


「そ。

 なんでもかんでもヒマつぶし。

 ……でも、ヴァリアンツ退治はそうじゃない。

 命をかけて戦うのが、こんなに面白いとは知らなかったよ。

 今、すっごくハマってる」


ルカはぎくりとした。

思わず、エリシャの方へと向く。

微笑を浮かべるエリシャのつぶらな瞳をのぞきこむ。


「エリシャ……わたしは、もう、なにをすればいいのか、わからなくなっちゃった。

 わたしたち、いったい何をやっているの?」


にやついていたエリシャは、ルカの真剣なまなざしに、真顔になった。


「戦争だよ……人類とヴァリアンツとの絶滅戦争」


「どうして、それをわたしがやらなきゃならないの?

 ナオミも、あのヴァリアンツも、わたしのせいで、みんなヒドイことになって、もう、我慢できないよ。

 このままじゃ、わたし、おかしくなっちゃう……!」


声が震える。

いつのまにか、ルカは涙を流していた。

その泣き顔を見たエリシャは、胸がえぐられるように痛んだ。


「大丈夫だよ。

 ルカは、あたしが守ってあげる。

 前に、ルカがあたしを守ってくれたから。

 信じて」


泣きじゃくりながら、ルカは尋ねた。


「ど、どうして?

 わたしなんか、まわりに不幸をまきちらすだけで……お荷物のくせに、戦いで死ぬ覚悟もできないの。

 守る価値なんかないよ」

 

「そんなことない!

 あたしはルカが好き。

 それだけが理由じゃおかしい?」


「で、でも、わたしはエリシャの気持ちにこたえてあげられないもん」


「いいの。

 あたしが勝手にルカのことを好きなんだから。

 ルカが悲しんでると、あたしも悲しくなっちゃう。

 お願い、泣かないで」


「ありがとう、エリシャ……本当にごめんね」


「いいよ……夢のない人生はつまらないって聞いたことがある。

 でも、今はルカがあたしの夢になってくれてる。

 手に入っても入らなくても……きっとあたしの未来を明るくしてくれる。

 そばにいてくれるだけで、それだけでいいよ」

 

エリシャは、手のひらでルカの手を包んだ。


泣いていたルカは、いつの間にか寝入っていた。

エリシャはその額にそっと口づけた。

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