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ルカの言うことだから、聞いたんだからね?

とっさに、ルカはエリシャの手をとった。

光がルカの手のひらを焼く。


「あちち!」


「ちょ、ちょっと!

 ルカ、大丈夫?」


ルカを気遣うエリシャ。


「うん、平気……ピアリッジは頑丈なんだから」


痛みを我慢して、白い煙を立ち上らせる手をひらひらと振った。


エリシャはルカを真顔で見つめた。


「どうして?」


叱られているような顔で、ルカが答える。


「……かわいそうだと思ったから」


「殺されたあたしのパパとママと弟は、かわいそうだと思わない?

 あと、ルカの友達、ナオミは?」

 

「そ、それはみんな、かわいそうだよ。

 でも、その人たちを……アレしたのは、このヴァリアンツじゃないでしょ?」

 

「殺したも同然だよ。

 だって、こいつは今まで、あたしたちの敵として行動してきたんだからさ。

 イヤイヤだろうが、ルンルンだろうが、ヴァリアンツとして人をさらったり、爆発テロをしたりしたのは間違いのない事実じゃないの。

 爆発テロで死んだ人の数知ってる?

 一万人くらい死んだんだからね?」

 

「で、でも、今はそんなことはしてないよ。

 亡命したいって言ってるし」


「あとで反省したら、それまでしてきたことは帳消し?

 誘拐やテロも、イヤイヤやってたから、水に流す?

 だったら、その被害にあった人に対する償いはどうなるの?

 やられ損ってこと?」

 

「何もしないとは言ってないじゃない!

 情報をくれるって話でしょう?」

 

「それは別の話だよ。

 だいたい、情報くれるってのが、死んだ人に何の関係があるっていうの?

 死んだ人は何も言わない、何もできない。

 だから、どうでもいいってことなの?」


「そんなことない!

 でも、償いが殺されることだけだとも思えないよ」


「死んでいく人の気持ちはあたしたちにはわからない。

 でも、死ぬってことは、生きてるものにとっては、一番つらいことじゃないの。

 だから、殺した償いは殺されるしかないってこと」


「そんなこと言ってたら、どこまでも殺しあいしかないじゃない!

 どっちかが、いなくなるまで」


「そうだよ。

 あたしたちとヴァリアンツは、もう絶対に仲良くなれない敵同士なの!

 助けるなんてない、和解なんてありえない」

 

「……それは、わたしは……違うと思う。

 殺し合いって、ひどいことだけど、それでも、もし仲良くなれるなら、その方がいいと思う」

 

「そんな風に、死んだナオミが思ってくれるといいけど」


「ナオミなら……きっとわかってくれる。

 わたしは、そう信じてる」


真剣なルカの面持ちに、エリシャは根負けした。

ふと、笑みを浮かべる。


「……わかったよ、ルカ。

 そこまで言うなら、こいつは生かしておくね。

 けど、これくらいはさせてもらうから!」


エリシャは光の剣を縦横に巡らせた。

ヴァリアンツの手足が切断された。

胴体だけのヴァリアンツは、苦痛に呻きながら、礼を言う。


「あ、ありがとう……」


「お礼なら、あの子に言って!」


エリシャはぶっきらぼうに言葉を吐き出し、立ち上がる。


「怒ってる?

 そんなつもりじゃなかったけど、ごめんなさい……」


機嫌をうかがうルカに、エリシャは言う。


「ルカの言うことだから、聞いたんだからね?」


「ほ、ほんとにごめんね」


申し訳なさで委縮するルカに、エリシャは肩をすくめた。


「恩に着せるつもりはないけどさ」


エミティノートは、とりなすように言った。


「まあ、これでこれからはやりやすくなるでしょう。

 彼の持っている情報は、きっと有用よ」

 

「だといいけど」


エリシャは複雑な思いをふっきるように、大きくため息をついた。

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