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何人も殺しちゃったから、もう、わたしは……

ルカはおぼつかない足取りで、ようやく部屋まで帰り着いた。


ヘルメットと戦闘服は、トビヒトに預けてある。

おびただしい血液で汚染されたので、洗浄が必要だった。

ルカの体も、返り血がこびりついていたため、シャワー室で念入りに体を洗っていた。


トビヒトの指示によって参加したヴァリアンツのあぶり出し作戦の結果は、凄惨であった。


ルカが突入した室内では、閣僚が居並んで会議中だった。


闖入者は、ルカだけではない。

別の扉から、完全武装した自衛隊員も十数名が入り込んできた。

いずれも、ごついゴーグルのような装置で目を覆っている。

弾倉を入れたアサルトライフルの銃口が、閣僚たちに向いた。


閣僚を護衛していたSPはすんなりと身を引き、壁際に退避した。


凍り付く閣僚たちの中で、たった一人、内閣総理大臣が悠々と立ち上がり、SPと同様に部屋の端に退いた。


「我々の中に、スパイがいる可能性がある。

 みんな、疑われるのは不快だろうが、ぜひ協力していただきたい」


自衛隊と警察の共同作戦であった。

音頭を取ったのは、内閣総理大臣その人だったのである。


総理の説明で、閣僚たちはさまざまに不平を漏らしながらも、その場にとどまった。

自衛隊が、ひそやかに言葉を交わした。


彼らが装着しているのは、赤外線サーモグラフィだった。

物体の温度を測定する装置である。


ヴァリアンツに憑依された人間は、体温が普通の人間より高温になる。


彼らの銃口は、一人の大臣に向いた。


敏感に異変を察した大臣は、突如人のものならぬ咆哮をあげる。


スーツが破れ、まがまがしい異形へと膨れ上がった。


「ルカさん!」


ルカは両手を組み合わせ、光の剣を出現させた。


下級ヴァリアンツにとびかかる。


が、ヴァリアンツはルカとの対決を避けた。

ルカの攻撃から逃れるや、強靭な凶器と化した腕で、周囲の閣僚を紙のようになぎたおす。


自衛隊が発砲した。


無数の弾丸を意に介せず、ヴァリアンツは自衛隊に突っ込んでゆく。


にげまどう人々に阻まれ、ルカはヴァリアンツに近づけない。


「早くしろ!

 少しくらい巻き込んでも構わん!」

 

ルカを怒鳴りつけたのは、四囲をSPに警護されている総理であった。


「もうこうなっては、どうしようもないわ……!

 ルカちゃん、つらいでしょうけど……」

 

苦渋をにじませ、エミティノートは言った。


意を決して、ルカは剣をふるった。


一刀ごとに、血しぶきが飛び散る。


ヴァリアンツを倒した時には、室内の半数以上が死亡していた。


トビヒトも跳弾によって腕を負傷している。


血みどろの室内で、総理だけが満足そうに顔をほころばせていた……。


「ほんと、ひどい。

 わたし、何人殺しちゃったんだろ」


ルカが自室のドアを開けると、中にエリシャがいた。

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