神の就く仕事
1週間に1、2回の更新を目指してます。
映画監督や漫画家は所謂神の就く職業であるという。
登場人物の特徴等の設定や住んでいる環境、ロケーション、様々な「世界」を「創る」事が出来る。
3次元という条件を考慮に入れれば映画監督の方がより神に近い存在かもしれない。
しかし、漫画家はその次に「創造者」たり得る。場合によっては現実世界をも制覇出来る存在なのだ。
「……と、そういう訳でね、原口さん。そろそろ新人さんも入れないといけないんで……」
「……聞いてませんでした」
「……いや、つらいのは解りますが……」
漫画家という職業のレゾンデートルについて考えているうちに、どうやらたった1本の連載が打ち切られる事になったらしい。
オレ、原口たけし。27歳独身、彼女無し(募集中)。
職業は全く売れない漫画家だ。
漫画界を巨大なピラミッドだとすると、オレなんかは1番低い所のしかも端の方の欠片に位置すると言っていいと思うのです。
それでも学生時代の友人達なんかは「夢を叶えるコトが出来て良かったナ(棒)」等と慰めてくれてる。
マイナー出版社の、たった5ページの連載に魂と情熱をかけて取り組んでいたオレだったが、これからは売れない漫画家ですらなくなりつつあるのだ。
どうすればいいのか。
バイトを増やすか、誰か売れている人のアシスタント口でも紹介して貰うか……。
いや、27歳キャリアだけは中堅のアシスタントなんか、どこだって使いたがらないだろう。
編集さんとの打ち合わせでたまに飲める上等のコーヒーだけを楽しみにしていたのだが、それももう終わりなのか。
今はこんなだが、デビュー仕立ての頃は実に華々しいものだった。
とある面倒見の悪い先生のアシスタントをしつつ自分の漫画を出版社に持ち込み、いくつか読み切りを描いてから超メジャー週刊誌で連載を始める。
初回ではカラーページも貰えた。オレはオレなりに読者のニーズに応え、努力したつもりだった。
しかし人気の方は芳しくなく、たったの1年で打ち切りの憂き目に遭ってしまったのであった。
アンケートの結果は常に最低レベルだったらしい。
それを編集の人から直接伝えられるという事はなかったが、それはもう、打ち合わせをしている編集さんの顔付きで容易に察せられる事態であった。
そしてそれからが大変。そのメジャー週刊誌からはすごすごと去り、オレはどうにかして拾ってくれる雑誌を血眼で探し、持ち込みをしまくった。
受け入れられた雑誌はいくつかあったが、まるで呪いのように短期打ち切り、もしくは雑誌自体が廃刊になったりで、ようやく落ち着いたのが上記のマイナー出版社だったのだ。
それにしても、オレの描く漫画はなぜ売れないのか。
絵が下手? そうかもしれない。
単純に話が面白くない? そうかもしれない。
ここまでは納得済みだ。そして、今更だがこれらはまだ伸びしろのある欠点とも言える。
しかし、分かっていながらも自分自身ではどうしても受け入れ難い、そして改善のしようがない致命的なもう1つの欠点があるのだ。
ーーーーオレの描く女の子キャラは、魅力が無い。