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水の嫌いな水精霊使い  作者: アモール
プロローグ
1/26

一話 記憶

水は嫌いだ。


嫌な事が起こる時、必ずと言っていいほど水が関係してるから。


俺が大嫌いな奴は水を操る精霊使いだし、俺に不幸が訪れる時も水が関係したりする。


両親が奪われた時だって……



だから水なんて飲むのはおろか、見るのすら嫌なのに。


なのに何故、こんな事になったのか。



ーーそなた様は水の精霊に好意を持たれ、主に選ばれました。それも高位の精霊でございますーー


そうローブを纏った白髪の老人に言われたのは、ほんの数秒前。


髭を撫でつける老人を前にして、俺の思考は停止していた。


は? とか思わず声を漏らした時は叔母にジロリと睨まれたが、今はそんな事を気にしていられない。


「あ、あの。もう一度言ってくれますか? 少しばかり理解が出来なくて……」


「む?」


震える声に老人は首を傾げ、再び同じ言葉を繰り返した。


「ふむ、そなた様は水の精霊に好意を持たれ、主に選ばれたのです。これは一族にとっても素晴らしい事ですぞ」


その言葉は、何回も頭の中で繰り返される。


俺が水の精霊に、好意を持たれただってーー?


俺の内心に気づかない老人は、皺くちゃの顔を綻ばせた。


「アクシル様、おめでとうございます」


老 人が深く頭を下げる。


と、広々としたホールに集った人々から、盛大な拍手が巻き起こった。


「嘘……だろ?」


呆然と俺は呟く。


「本当でございます」


響き渡る沢山の歓声は、まるで俺を嘲笑っているように聞こえてきた。




ーーそれは、全ての始まりだった。



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