幕間、『人の夢は儚く、願いは遠く彼方へ』
人々は魅せられていた。
突如、居住区全体に『コングラチュレ~ショ~ン!』の声が響いたかと思ったら、壁や水面といったあらゆる平面をディスプレーがわりに戦う二人の姿が流された。
そして、明かされる地下都市の真実。
自分たちの境遇に嘆く暇もなく、つきつけられる闘いの様子。
当初、人々は二人のあまりの劣勢に目を閉じ、現実を拒絶した。
でも、都市中に響く大音量は、都市の何処にいても聞こえるから。
自分たちの為に命を賭けている二人のオトに――弱者達は目を開く。
その瞳に映るのは、『機械仕掛けの神』と戦う二人の子供。
片や、片手を失い、残された『手』を駆使して相棒を支える少年。
片や、既に人間をやめ、それでも人間の心を保ったまま闘う少女。
視るだけで理解できる――どうにもならない絶望感。
見てる誰もが、勝利のビジョンを思い浮かべることができない苦境。
希望を見つけても、それはさらなる絶望を生み出すスパイスにしかならない。
それでも二人は戦い続ける――その愚かにもみえる行為に、人々は魅せられた。
「……凄い、ね」
「うん。私も、あの二人みたいになりたいな」
「……アクト、兄ちゃん……」
未来を担う子供たちは、奇跡を願いつつも、無意識下でダメだった時を覚悟し――せめて希望だけでも繋ぐために、その闘いを魂に焼き付ける。
「……何が隠居だ……俺は、なんでこんなところで……」
「目を逸らすな。俺達にそんな資格はないんだ」
肉体変異によりドロップアウトせざるを得なかった青年たちは、その場に駆けつけることもできない我が身を悔い、それが罰だとでもいうようにその闘いを見届ける。
「何故、あのような若者に全てを背負わせるのか」
「……年寄りばかり生き残って、間違っておるだろうに」
元より戦うことのできない老人たちは、自分たちの存在そのものを嘆いた。
「……勝って」
「私達を救けて……」
都市を維持するため戦いに参加しなかった女性たちは、ただひたすら勝利を願った。
そして、二人にもっとも近い男は――
「…………悔しいぐらいに、羨ましい、な……」
――涙を流しながら羨ましがっていた。
笑いながら悔しがっていた。
少年たちのように、その姿に憧れ、嫉妬した。
青年たちのように、不甲斐無い自分に憤った。
そして、その『後ろ向きな感情』を『前へ進むための力』に変える。
『……絶対に……追いついてやるから……安心して逝け……』
そうやって心を奮い立たせながら――『人々』は見届ける。
少女の死という悲劇的な結末を。
敵うはずのない最後の戦いに向かう少年を。
だが、人々はその背中に夢を見る。
その背中に願いを押し付ける。
無責任に。無責任だと解っていても――
『頑張れ』
――と、祈り、願うのをやめられない。
そんな人々の願いに――




