3話
『いつ見てもでかいな…』
『はい、そうですね…』
毎回圧倒されてしまう風格をもつ建物こそが、これから三年間通う事になる国際魔法第三高校だ。
『じゃあ、入るか』
俺とあかねは大きな門をくぐり抜けて学校の案内図を片手に体育館を目指す。
人と出会す度になんだか視線が痛く感じる。
(まぁ、当たり前か。端から見ればこんなに釣り合わないカップルはいないもんな。まぁ、カップルじゃないんだが)
視線の中で男性は俺の方が釣り合っていると言う優越感の目、女性はあかねのかわいさに対する嫉妬の目を俺とあかねに向けてくる。
だが、極一部の生徒は、不思議の目で見てきた。
多分、そいつらは俺とあかねが会って俺が魔法を使えなくなった事件を覚えている奴らだろうな。
そんな勝手な解釈をしながらゆっくりとした歩調で歩いていく。
『体育館はここらしいですよ』
『ん…、あぁここが体育館か』
そこは、普通の体育館では比較にならないほどの大きさだったが、流石に校舎よりは大きくなかったため、さほど驚かなかった。
『じゃあ、入りましょう。錬様』
『そうだな』
俺はあかねにつられるがままに体育館に入っていった。
体育館に入るともう椅子殆どが埋められていた。
俺たちは、ゆっくり散歩をし過ぎてしまったのでもう開会式までは時間があまりない。 『錬様、あそこが空いてますよ』
俺はあかねが指差した席を見る。
確かに詰めれば2人分の席になりそうだが、多分かなり密着しなければいけなくなるだろう。
(う…どうすればいい、あのまま座ってもあかねに色々迷惑だし、かといってあかねが可哀想だし…)
すると、1ついいアイデアが浮かんだ。
(あかねだけ席に座ればいい座わればいいじゃないか)
自分の頭の良さを誉めながら俺はすぐさまあかねにそれを伝えたが結果は…
『嫌です!!錬様が座らないと私も座りません』と言ってくるのだ。
『何故一緒に座って下さらないのですか?』
不意にあかねが質問してくる。
『いや、だって入学式からあんな事すれば勘違いする奴らも出てくるかもしれない。散歩ならまだしも、あかねは彼氏がいないんだから余計に迷惑だろ』
『錬様はもう少し御自分の魅力を理解した方がいいと思いますよ。錬様の魅力なら誰だって好きになります。…現に私は好きなのですから…』
最後の方はあまり聞き取れなかったが大切な部分だけは聞き取れた。
自分の魅力か…考えたこともなかったな。俺にそんな魅力があったか?
『おいおい、買い被りすぎだろ。こんな普通な人間の何処に魅力があるんだよ』
『いえ、沢山ありますよ。人のためなら自分を犠牲にする所や私みたいなあまり人と関わらない方に手を差しのべる所が錬様の人を惹き付ける魅力なのです』
そう言ってあかねは話してくれた。
人を惹き付ける魅力か…なんだか照れ臭いな。
『と言うわけで行きましょう』
『ちょ、待てよ。あかね』
『いや、待ちません。』
あかねは笑って俺を引っ張って行った。
(あかねが笑うならそれでいか。)
そんな事を考えながらあかねについていく俺であった。