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9話

そうとなったらまずは坂巻会長が使う精神操作の魔法対策をしなければいけなくなったな。

『錬様は会長の魔法に対して対策があるのですか?失礼ながらあれを攻略しなければ、勝機はないように見えますが』

『正直、きついな。精神操作系の魔法が禁忌になった理由をあかねは知ってるか?』

『精神操作系の魔法は唯一の対人専用魔法で、人権を無視しているからでしょうか』

『それもあるが、本当の理由は防げないんだよ。他の魔法と違ってな』

『どういうことですか?』

『そのまんまの意味だよ。明確な対策魔法が存在しないんだ。精神操作系の魔法はその効果の強大さにすぐに禁忌になったから未だに対策になる魔法が存在しないんだ』

『じゃあ、本当に勝ち目がないのですか』

『いや、対策とまではいかないが妨害するぐらいなら出来るさ』

『そうですか、頑張って下さいね』

あかねがいつもの笑顔を向けてきてくれた。

『よし早速、準備に取りかかるからあかねも手伝ってくれ』

『はい!!』

あかねの元気のいい返事と共に坂巻会長対策を始めるのであった。


三時間後…


『よし、来たな。まずはゲスト用の端末を桔城君に貸そう。一年生はまだ正式に配布されていないからゲストとして勝負して貰うぞ』

『分かりました…』

坂巻会長の説明を淡々と答えるが、内心はかなり緊張している。

『MCDはどうするんだ?特別枠で入った桔城君は魔法が使えないはずだが。あと、気になっているのだがそのグローブはなんだね?明らか

にMCDにみえるのだが』

『俺は魔法が使えないですから、単なるお守りみたいな物ですよ。勝負にはこいつを使いますよ』

そう言った俺は懐から大型のリボルバー拳銃を取り出す。

この時代、拳銃はあまり使われない。理由は拳銃よりも魔法のほうが速く、より正確性があるからだ。

『桔城君のリボルバーは見たことがないな。オリジナルで作ったのかい?』

『さすが、坂巻会長ですね。そうですよ、基本から自分で作ってみたんです。このオリジナルの弾丸を使うためにね』

『ほう、オリジナルの弾丸か。それは楽しみだな』

坂巻会長は不敵な笑みを浮かべながら見ている。

『私の生徒会長、そろそろ始めないといけませんよ』

『もう訂正すらしないのか…確かにそうだな、私から桔城君に勝負を挑むからよろしく頼むぞ』

そう言うと、坂巻会長はすらすらと端末を操る。

すると「あなたは、坂巻 夏海さんに勝負を挑まれました」と端末から表示された。

俺はyesを押し、体が光だして消える。

ここで三校の大きな特徴について話しておこう。

この学校は他の国際魔法高校にはないものがある。

それが校内にある「模擬塔」と言われている建造物で、三校は実践を重視しているため特別に生徒は学校から専用の端末をもらい他の端末を持っている生徒に学年関係なく模擬戦を挑むことができる。

これによって、三校は国際魔法高校の中でもかなりの実力を手にしている。

そんなこんなで自分の視界が戻る頃には、さっきまでいた生徒会室ではなくコンクリートに囲まれた廃屋だった。

(へ〜、結構本格的だな)

俺は意外に本格的な部屋に驚いていたら、いきなり氷のつぶてが飛んできた。

すぐさまリボルバーを抜きつぶてを打ち落とす。

『驚くのもいいが、これは模擬戦だぞ。気を抜いていると負けてしまうからな』

廃屋の奥から坂巻会長の声がきこえる。

(今のはあいさつの代わりってか…)

そう思いながら声の聞こえた方に足を進める。

しかし慎重に歩いていくがガラスや物が散乱していて足音が出てしまう。

この模擬塔は一部屋直径500メートルで造られていて、捜すのが難しい。

『どこに行ったんだ坂巻会長は…』

迷路のような道を歩いているが一向に坂巻会長がいない。

いないだけならまだいいが、この床で足音すらしないのはおかしすぎる。

『ん、ここは大部屋か』

俺は50メートルはある大部屋にたどり着いた。

『やっときたか』

坂巻会長が古びた椅子の上で座って待っている。

『何故ですか?坂巻会長ならいくらでも奇襲ができたはずですよ』

『う〜ん…強いて言うなら試したいのだよ』

そういって坂巻会長は椅子から立つ。

『試す、これじたいが試験じゃないんですか?』

『あくまで個人的な試すだよ。今の私の実力ね』

『試すって坂巻会長。頼む相手を間違ってますよ。なんせ俺は魔法が使えないんではっきり言って練習になりませんよ』

俺は苦笑いをしながら答えた。

『まぁ、君がそうしたいならそうしておこうか。じゃあ、ちょっとした噂話でもするか』

坂巻会長はニヤニヤと笑っている。

『あくまで仮だがとある少年が魔法の天才だったがとある理由で魔法が使えなくなり、とある学校に魔法を取り戻すために入学してきたって話は面白そうじゃないかね、桔城君』

一瞬だが、焦ってしまった。

俺とあかねしか知らない過去を何故この人が知っているんだ。

すぐさま表情を戻したが、坂巻会長はあからさまにニヤついている。

うん、この人は根が悪いな。

『あくまで噂話だからな。君が気にするものでもないし、この噂話も私しか知らないからな。そろそろ始めるとするか』

『了解です。それではいきます』

気を取り直して俺は腰についているリボルバーを抜きながら坂巻会長に向かって走る。

『無駄だね。私が使う舞桜の前じゃどんな武器も意味がない』

坂巻会長は扇子型のMCDを振り一瞬で魔法陣を展開する。

魔法陣は発動し、俺に幻覚を見させるはずなのだがその魔法陣はいっこうに発動しない。

理由は簡単。

俺が坂巻会長の魔法陣を破壊したからだ。

魔法陣は基本的に物理的な攻撃では破壊されない。

しかし俺のオリジナル弾丸は魔法陣に干渉しそれを破壊する。

坂巻会長との距離がほぼゼロとなり俺は坂巻会長の腹に寸土めで拳を入れた。

『ほー、あれはなかなか面白い武器だな』

『それはどうもです』

こうやって初めての模擬戦が終わった。



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