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さて攻撃準備といきましょう

「私は、ボルケノ様に嫌われてるんでしょうか……」


ボルケノに嫁が来て数日。

俺は正妃様に相談を持ちかけられていた。


という訳で、どうも、宰相兼あの卑屈王の親友ハルゲンだ。

ロじゃねえぞ、ルだ。

だからヒーターって言った奴、後で裏庭な。


そんな俺だが現在大ピンチだ。

目の前で生きる宝石と表すべき現王妃、

そして宗主国のお姫様(ここ重要)が泣いてる。


俺が泣かせた訳じゃない。

彼女がボルケノからの態度を語ってるうちに、

(彼女曰く、めっちゃくちゃ逃げられているらしい)

涙目になって、今に至る訳だ。


だが他の奴等が見たら間違い無くタコ殴りだ。

ラドゥガ国王相手となれば人生終了のお知らせである。

ボルケノでも殴り飛ばされる、天井まで。

まあ全部お前のせいだけどな!鈍感野郎め!


「……むしろ、好いてると思いますが」


ふるふると首を横に振られる。

その動作ですらめっちゃくちゃ弱々しい。

相談を持ちかけられた時から暗い表情だったが、

ますます鬱々とした様子になっていく。

目に見える憔悴ぶりに焦る気持ちが抑えられない。


「でもずっと避けられているんです……初めての夜から」

「え、じゃあまだ」

「正式な夫婦になっていないのです」


やっぱり彼女はボルケノを好いて嫁いできた。

それなのにそんな対応じゃ不安になるよな。

まあ理由わかってるから下手な事言えね―けど。


うるうると彼女の瞳に水が溜まる。

もし彼女が全くの他人ならば、

その美しい様を見惚れていたかもしれんが、

今の俺には危険人物の他ならない。見つかったら即アウト的な意味で。

だからといって放置する程、冷血にもなれなかった。


「あいつ、青いんですよね」

「え?」


困りに困った俺は事実を伝えることに。

別に隠していた訳じゃないが、

ボルケノの事だから勝手に話すのは控えていただけ。

でも今回は言っておくべきだと思った。

きっとアイツにとって良い方に転んでくれるだろうと。


「アイツ、あの通り外面悪いし、ぶっきらぼうだし、

 とんだ魔王ボイスだし、優しさ空回り体質だし、

 まあなかなかの嫌われ者で。

 嫌われ慣れすぎて、それが当然だと思ってる。

 だからセシリー様の無条件の好意にテンパってるだけ」

「……じゃあ、私はどうすれば」

「とことん押してください。慣れるまで。

 引いたらアイツも引きます、

 なので恋の駆け引きとか無用です。

 何も考えず、押しまくる。

 それが唯一のボルケノ攻略法!」


意気込む俺につられてか、

セシリー様も少し表情が明るくなる。

よしっ、あと一押し!


「作戦はガンガン行こうぜ一択!

 俺も応援しますんで」

「はい!」


無駄なハイテンションは彼女の涙をひっこめてくれたようだ。

セシリー様が楽しげに笑う。

やっぱ女の子は笑顔が一番だよなあ。


そんな事を思いつつ、ちゃんと頭も回してる。

これでもだてに宰相やってねえぞ。

とりあえず最初は意思疎通から始めさせるとしよう。

アイツの場合、対面したらまず緊張で無愛想になるだろうし、


(……やっぱ交換日記か)


とそこで想像したのは、

ちまちまとノートを書き綴るあの大男の図。

似合わねえ、とつい噴き出した。

そんな俺をセシリー様は不思議そうに見る。あぶねえあぶねえ。


「そうですね、最初は……」


久しぶりに面白い物が見れそうだ。

上手く言いくるめてやろう。そんで存分にからかおう。

にししと不敵で邪悪な笑みを俺は抑えられなかった。

シャイで卑屈な王様が逃げ惑ってる間に、

悪戯好きな宰相さんと王妃様が手を組んだようです。

次辺りからアタック開始予定。

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