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ここが物語の始まり

「……間違い無いのか」

「はい」

「本当に合ってるんだな」

「ええ」

「本当の本当に彼でいいんだな!」

「私がお慕いしているのはボルケノ様で間違いありません」


念に念を重ねるお父様に、納得が行くまで肯定を。

三回目でわかっていただいたらしく、

……あら、まだダメですかね。訝しげです。


「ボルケノ殿は……悪い奴じゃない、良い奴だ。

 でもセシリーより俺の方が年が近いんだが」

「そうですね、でも彼でないとダメなのです」

「……八年前に会ったきりなんだろ」

「絵画を見せていただきましたが、

 相変わらず逞しくて素敵なお方でした」

「……引く気は無いのか」

「いくらお父様でも譲れません」


お母様と瓜二つの笑みを向けたところ、

お父様はさめざめと泣き出した。

臣下の方が見たらひっくり返る事でしょうが、

幸い、今はお父様と私の二人きりです。


「ウィーニを皮切りにセラ、リリー、ビアンカ……」

「私、三女なのに随分遅くなってしまいましたねー」


名残惜しそうに嫁いだ姉妹の名をお父様はあげていきます。

そんなお父様へ呑気に口に出したところ、

お父様は更に嗚咽を強めました。

どうも追い打ちをかけてしまったようです、あらら。


私は五人姉妹の一応真ん中となります。

あ、一応というのは、もうすぐ六人目が生まれるからです。

唯一城に残ってるビアンカは政治向きですが、

やはり次は弟が良いですねー、妹でも可愛いと思いますが。


話が脱線しましたね、スミマセン。

周りの方の話を聞く限り、

大体長子と末っ子が可愛がられるとのことですが、

私はこの通り、半端な立場にも関わらず、溺愛されてきました。

お姉様も妹達も物凄く可愛がられてますけれど。


にもかかわらずここ最近、

末姫の結婚を機に次々と姉妹が嫁いでいきました。

竜とか、王族とか、公爵家とか、

そういえば騎士を婿入りさせたりもありましたね~。

そのせいでお父様は寂しくて仕方ないようです。


だからただ一人残った私へまだまだ嫁にはいかせないぞ!

と張り切った矢先に「結婚したい方がいる」と告げたものですから、

全力で引き留められました、ですが私は笑顔で一蹴にしました。

下の姉様に見かけと反して鬼畜だと言われましたが諦めきれないのです。


ボルケノ様。私の初恋のお方。

あれから随分と経ってしまいましたが、

まだボルケノ様に王妃様はおりません。

あんなにも素敵なお方です、世の女性が放っておく訳がありません。


私のような子供では満足いただけるとは思いませんが、

それでもどうしてもあの方の妃となりたいのです。

その為であれば、父上の威光だって使います。

きっとこんな卑怯な娘、嫌がられるでしょう。

でもたとえお飾りになっても、あの方のお傍に居たいのです。


「……受けて頂けるでしょうか」


ラドゥガの封蝋を押した求婚状を胸に私は呟きます。

嘆き続けていたお父様でしたが、

急に真顔になると、いやに低い声で言い切りました。


「その時は地獄を見るだけだ」


どうしましょう、お父様の目が笑ってません。

……ああ、ボルケノ様。

いざとなったら私、死ぬ気で抑えますから!

次でようやく対面します、おそらく。

父が嫌いな訳ではありません。ただ優先順位があるのです。

お付き合いくださりありがとうございました!

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