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新たな『日常』
『かご』や、と『くり』はら。
そんなに近い訳じゃ無いのに、来る年来る年この間に人が入る事が無いのだ。
木村とか霧島とか居ないのか?
「いつも仲がよろしい事で、結構な事でございますねぇ?」
「あ?」
軽く頭痛を覚えている所へ、何ともわざとらしい口調の男子生徒が話しかけてきた。
声がした方へ体を向けて、そいつの顔を確認するも……
「誰だお前」
全く知らない人だった。
俺はそんなにフレンドリーじゃ無いから他を当たって貰えないだろうか。
「おいおいおいっ。一年間を共に過ごして来た、この三河 真様を忘れたってのかよ!?」
「冗談だ冗談」
三河 真
高校から知り合った、悪友。
何をするにも行動を共にしては馬鹿をやってきた。
「真奈美ちゃん! 籠谷がいじめるよぅ。たすけてー」
体をくねらせながら、真奈美の背後に隠れる真。
気持ち悪い事この上無い。
「圭君! 真君をいじめちゃダメだよっ」
「大丈夫だ真奈美。真はな、いじめられると喜ぶんだ」
「俺は変態かよっ!」
素早く突っ込まれる。
もう、何回やってきたか分からないこの漫談。
また、『日常』が始まるのだ。