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『日常』の幕開け3
結論から言おう。
悲願が達成される事は無かった。
昇降口に設置されている掲示板前にタイムセールの如く群がる生徒達。
そんな人混みが解散する頃を見計らって掲示板を見ればこの結果である。
『籠谷圭一』のすぐ下にある『栗原真奈美』。
目を擦っても、裏から透かして見ても、シールじゃないかと剥がそうとしても、光の加減だと角度を変えてみても何をしてもやっぱりそこには『栗原真奈美』と書いてある。
「やったぁ! また同じクラスだねっ、もう絶対に圭君と離れない運命なのかもねっ」
「そんな運命、存在しないから安心しろ」
再び即答。
が、精神的ダメージを負った俺は、もう真奈美の言葉を受け答えする余裕が無くなっていた。
教室では、新しい仲間同士が早くも打ち解け始め、いつもの喧噪と変わらない賑やかな空気になっていた。
とてもそんな空気に混ざる気になれない俺は、さっさと席に座る事にする。
黒板に書かれ、指定された席を確認する。
例年通り、最初は出席番号順。
つまり名前の順に座らされる事に。
俺の後ろは……言わずもがな真奈美である。