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『日常』の幕開け2
県立南河高校。
通称『南高』
『南河駅』より徒歩35分と言う学校側からの嫌がらせとしか思えない交通アクセスの悪さと、学校前に見上げる程に傾斜のある坂の為に『難航』とも書く。
通学に難航するからなのは言うまでも無い。
そんな通学路を今、俺は必死に歩いている。
「ねぇねぇ。今日、クラス替えだねっ」
隣で一人はしゃぐ幼なじみ。
一癖や二癖では利かない類希なる程の超天然素材性格の持ち主である。
「そりゃ学年事にコース別教科が変わるんだから、クラス替えはやむを得ないだろ」
何を当たり前の事を、と軽く首を傾げてみる。
「そうじゃ無くって、また同じクラスになれると良いねって」
「俺は嫌だ」
即答してやった。
言っておくが、十六年間一緒に居て未だに別クラスとなった事が無いのだ。
高校に入ったら六クラスあると聞いたから、今度こそはと思ったのだが見事に同じクラスであった。
そして、それから一年経った。
ギリギリ二年に上がれた俺に再び試練が訪れる。
今度こそ、俺はこいつから解放されたい。
俺に出来る事は、学校に着くまで幼稚園からの悲願が達成される事を祈る事しか無かった。