第6話 鬼王、完全に父親面接を始める
鬼姫の質問は、まだ続いた。
「桃太郎様のご家族の方ってどんな感じなんですか。」
桃太郎は固まった。
「……え?」
鬼姫は真面目な顔だった。
「将来大事なので。」
犬養が小声で言う。
「将来。」
猿田が頷く。
「もうそこまで考えてる。」
鳥山が呟く。
「歓迎会だぞ。」
桃太郎は頭をかいた。
「いや、なんで家族の話になるんだ。」
鬼姫は首を傾げる。
「大事じゃないですか?」
「結婚すると家族になりますし。」
犬養
「早い。」
猿田
「外堀埋めに来てる。」
鳥山
「天然でやってるのが怖い。」
桃太郎は少し笑った。
「まあ普通だよ。」
「団子屋やってる。」
鬼姫の目が輝く。
「団子屋さん!」
「素敵ですね!」
桃太郎は肩をすくめた。
「ただの団子屋だぞ。」
鬼姫は真剣だった。
「でも、家族っていいですよね。」
桃太郎は少し黙る。
(……なんだろうな。)
(こいつ、全部本気なんだよな。)
鬼姫はにこっと笑った。
「今度ご挨拶したいです!」
桃太郎
「早い。」
犬養
「もう親に行くのか。」
猿田
「逃げろ。」
鳥山
「手遅れだ。」
「なんだー、かなり仲良くなったんだな。」
鬼王がにこにこしながら言った。
「桃太郎君は娘のことが気に入ったのかな。」
桃太郎は固まった。
「え?」
鬼王は豪快に笑う。
「うちの娘はかわいいからね。」
「私が言うのも何だが、とても優しい子なんだ。」
そして少しだけ真面目な顔になる。
「泣かせないでくれよ。」
桃太郎は慌てた。
「いや、ちょっと待ってください。」
犬養が小声で言う。
「父親出た。」
猿田が頷く。
「完全に娘の彼氏扱いだ。」
鳥山が呟く。
「逃げろ。」
鬼姫は少し赤くなっていた。
「お父様……。」
鬼王は気にしていない。
「いやいや、いいんだ。」
「男なら堂々としてればいい。」
桃太郎は頭をかいた。
「いや、その……。」
(なんでこうなる。)
鬼姫が小さく言った。
「桃太郎様。」
「ん?」
「泣かせないでくれるなら大丈夫です。」
桃太郎
「……。」
犬養
「プレッシャーすごい。」
猿田
「重い。」
鳥山
「歓迎会とは。」
鬼王は嬉しそうに言った。
「よし、酒だ!」
桃太郎は思った。
(なんで娘の父親に釘刺されてるんだ。)
「酒強いか?」
「強いです。」
「よし気に入った!」
鬼王は豪快に笑った。
桃太郎は少し苦笑する。
「でも、俺そんなによくないと思いますよ。」
鬼王は肩をすくめた。
「人は変われるんだ。」
「君のように鬼退治をしてまで平和を望むような人はなかなかいない。」
そして周りを見渡す。
「それに、ここを見て安全だと思って鬼退治もやめてくれただろう。」
「それだけでもいいじゃないか。」
桃太郎は少し黙った。
(……そんな大したことじゃない。)
(ただ、思ってたのと違っただけだ。)
犬養が小声で言う。
「なんか評価高いな。」
猿田が頷く。
「桃太郎、そんな立派な理由じゃないだろ。」
鳥山が呟く。
「完全に誤解されてる。」
鬼姫は嬉しそうだった。
「桃太郎様は優しいです。」
桃太郎は頭をかいた。
「いや、そんなことは――」
鬼王は笑った。
「謙遜するな!」
「男は堂々としていればいい!」
そして酒を持ち上げる。
「今日は歓迎会だ!」
「飲もう!」
桃太郎は酒を受け取る。
(……なんだろうな。)
(鬼ってもっと怖いと思ってたんだけど。)
鬼姫が隣で言った。
「桃太郎様。」
「ん?」
「来てくれてよかったです。」
桃太郎は少しだけ笑った。
「……まあな。」
「やっぱり付き合うなら結婚前提なのが普通だからな。」
鬼王子も言った。
「まあ、当たり前だろう。」
鬼王も頷く。
「それに桃太郎様って優しいですしね。」
鬼姫が嬉しそうに言った。
桃太郎は固まった。
「……え?」
犬養が小声で言う。
「結婚前提らしい。」
猿田が頷く。
「鬼の国の常識だな。」
鳥山が呟く。
「重い。」
桃太郎は酒を一口飲んだ。
「いや、ちょっと待ってくれ。」
鬼王が首を傾げる。
「何だ?」
「人間界は違うのか?」
桃太郎は少し考えた。
「……まあ。」
「そういう奴もいるけど。」
犬養
「桃太郎は違う。」
猿田
「全然違う。」
鳥山
「むしろ逆。」
鬼姫は少し不安そうに言った。
「桃太郎様は……違うんですか?」
桃太郎は少しだけ困る。
(……こいつ。)
(真顔で聞くな。)
「いや……。」
「まあ。」
「付き合うなら、ちゃんと考えるだろ。」
鬼姫の顔がぱっと明るくなった。
「そうなんですね!」
犬養が顔を覆った。
猿田が呟く。
「外堀埋まった。」
鳥山
「もう逃げられないな。」
桃太郎は思った。
(……なんで俺。)
(歓迎会で結婚観の話してるんだ。)
鬼王が酒を飲みながら言った。
「まあ焦る必要はない。」
桃太郎
「はい?」
鬼王
「若いんだ。ゆっくりでいい。」
鬼王子も頷く。
「そうだな。」
「まずは付き合ってみるといい。」
桃太郎
「……。」
犬養
「もうそこまで行ってる。」
猿田
「鬼の国では確定らしい。」
鳥山
「早い。」
鬼王が続ける。
「結婚はそれから考えればいい。」
桃太郎
「いや待ってください。」
鬼姫は真面目に言った。
「はい。」
桃太郎
「……。」
鬼姫
「付き合うところからですよね?」
桃太郎
「そうそう。」
犬養
「そこは否定しないんだな。」
猿田
「完全に流れに乗ってる。」
鳥山
「もう遅い。」
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