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桃太郎ですが、残念美人の鬼姫に今世紀最大の恋をしたので結婚することにしました  作者: 月城琴晴


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第11話 鬼姫と山デートをする

「ここは鬼ヶ城でも結構有名で、山登りしても登りやすいし、いいですよ。」


鬼王子が説明した。


「景色も綺麗ですし。」


鬼姫が嬉しそうに頷く。


「私、ここ好きなんです。」


鬼王子は続けた。


「ただ――」


少し桃太郎たちを見る。


「姉さんはドジだから、気をつけてね。」


鬼姫がすぐ言い返す。


「そんなにドジじゃないわよ。」


鬼王子は冷静だった。


「昨日も階段で転びそうになってたよ。」


鬼姫

「それは石が滑りやすかっただけ!」


鬼王子

「一昨日は?」


鬼姫

「……。」


鬼王子

「川に落ちかけた。」


鬼姫

「……。」


桃太郎たちは黙って聞いていた。


犬養が小声で言う。


「……。」


猿田も頷く。


「……。」


鳥山も言った。


「……。」


桃太郎も思った。


(鬼姫。)


(天然でドジなのか……。)


四人は同時に思った。


(気をつけよう。)


少し歩いていた。


山道だったが、そこまで険しくはない。


桃太郎たちにとっては普通だった。


犬養が言う。


「楽勝だな。」


猿田も頷く。


「余裕だ。」


鳥山も言った。


「散歩だな。」


桃太郎も思う。


(まあ普通だな。)


だが――


四人はちらちら後ろを見る。


鬼姫が歩いている。


慎重に。


とても慎重に。


犬養が小声で言う。


「……。」


猿田も言う。


「……。」


鳥山も頷く。


桃太郎も思った。


(本当に鬼姫どんくさそうだ……。)


鬼王子は普通に歩いている。


「姉さん、そこ石あるから気をつけて。」


鬼姫

「大丈夫!」


一歩。


つるっ。


犬養

「ほら!」


猿田

「言った!」


鳥山

「来た!」


桃太郎

「危ない!」


鬼姫の足が滑った。


桃太郎がすっと腕を伸ばす。


「大丈夫か?」


鬼姫は桃太郎に支えられていた。


「は、はい……。」


真っ赤になっている。


桃太郎は少し困ったように言った。


「茜、手を繋ごう。」


「心配だ。」


鬼姫

「え?」


犬養がすぐ言った。


「その方がいい。」


猿田も頷く。


「桃と手を繋ぐんだ。」


鳥山まで言った。


「茜ちゃん、頑張るんだ。」


三人はなぜか応援を始めた。


鬼姫はさらに赤くなる。


「が、頑張るって……。」


桃太郎は苦笑した。


「ただ手を繋ぐだけだろ。」


鬼姫は小さく頷いた。


「……はい。」


そっと手を出す。


桃太郎が握った。


鬼姫の顔がさらに赤くなる。


犬養

「成功。」


猿田

「成立。」


鳥山

「第一段階クリア。」


桃太郎

「うるさい。」


鬼王子はその様子を見ていた。


そして思った。


(まあ。)


(悪くない男かもしれないな。)


鬼姫が一歩進んだ。


つるっ。


また体が傾く。


桃太郎がすぐ腕を引いた。


「危ない。」


鬼姫

「す、すみません……。」


犬養が呟いた。


「ここまでとは。」


猿田が腕を組む。


「なかなかやるな。」


鳥山が真面目な顔で言う。


「茜ちゃん、ファイトだ。」


鬼姫

「が、頑張ります……。」


桃太郎は少し呆れた。


「いや頑張る方向が違うだろ。」


鬼姫

「え?」


桃太郎は手をぎゅっと握る。


「離れるな。」


鬼姫は真っ赤になった。


「……はい。」


犬養

「いいな。」


猿田

「完全にデートだ。」


鳥山

「山デートだな。」


桃太郎

「うるさい。」


鬼王子はその様子を見ていた。


そして思った。


(姉さん……。)


(やっぱり一人じゃ危ないな。)


でも、桃太郎が手を離さないのを見て――


(まあ。)


(悪くない。)


猿田が言った。


「カップルがいる。」


鳥山が頷く。


「婚約者だからな。」


犬養が目を細めた。


「眩しいな。」


猿田が桃太郎と鬼姫を見る。


手を繋いで歩いている。


鬼姫は真っ赤だ。


桃太郎は普通に歩いている。


猿田

「完全にデートだな。」


鳥山

「山デートだ。」


犬養

「青春だな。」


猿田が前を歩く鬼王子を見た。


「朱羅君も大変だな。」


鳥山も頷く。


「姉の彼氏が後ろにいる。」


犬養

「しかも桃だ。」


猿田

「桃だしな。」


鳥山

「桃だな。」


犬養が小さく言った。


「まあ。」


猿田

「まあ。」


鳥山

「まあ。」


三人は思った。


(でも。)


(茜ちゃん幸せそうだな。)


犬養が聞いた。


「朱羅君、茜ちゃんっていつもこんな感じなの?」


鬼王子は普通に答えた。


「通常運転ですよ。」


猿田が頷く。


「それも大変だな。」


鳥山が言った。


「それに桃が彼氏だろ?」


少し間。


「そこ一番の不安材料な。」


犬養と猿田が頷く。


鬼王子は少し考えた。


「まあ。」


「いろいろと噂ありますしね。」


三人は顔を見合わせた。


犬養

「噂あるのか。」


猿田

「結構ある。」


鳥山

「だいぶある。」


鬼王子は桃太郎を見る。


前を歩いている。


鬼姫の手をしっかり握っている。


鬼王子は思った。


(……。)


(でも。)


少しだけ笑う。


「姉さん、楽しそうなので。」


犬養

「まあ。」


猿田

「まあ。」


鳥山

「まあ。」


三人は思った。


(桃。)


(変なことするなよ。)


桃太郎は鬼姫を見た。


嬉しそうに歩いている。


景色を見て、楽しそうに笑っている。


その顔を見て――


桃太郎の頭の中は、


だんだん


「かわいい」


しかなくなっていた。


(やべぇ。)


(かわいい。)


鬼姫の手がぎゅっと握られる。


(柔らかい。)


(ずっと繋いでたい。)


鬼姫がまた少しつまずきそうになる。


桃太郎が支える。


「気をつけろ。」


「はい……。」


真っ赤な顔。


(かわいい。)


(どんくさいけど。)


桃太郎は思った。


(俺どうするよ。)


(キスしたい。)


前には鬼王子。


後ろには――


犬。


猿。


雉。


(……。)


(あいつらいるから駄目だ。)


桃太郎はため息をついた。


(くそ。)


(かわいい。)


犬養が言った。


「桃の顔がやばい。」


猿田も前を見ながら頷く。


「どう見てもあれは……。」


鳥山が静かに言った。


「落ちたな。」


犬養

「ああ。」


猿田

「デレデレだ。」


鳥山

「隠す気もない。」


三人は桃太郎を見る。


鬼姫の手を握って歩いている。


桃太郎は鬼姫ばかり見ている。


犬養

「どうせ桃のことだ。」


猿田

「今、頭の中……。」


鳥山

「かわいいしかないぞ。」


犬養

「確実に。」


猿田

「絶対に。」


鳥山

「100%。」


三人は頷いた。


犬養

「桃、終わったな。」


猿田

「ああ。」


鳥山

「幸せそうだけどな。」


(かわいい。)


(キスしたい。)


(俺無理。)


(我慢できん。)


鬼姫が振り向いた。


「桃太郎様?」


桃太郎

「え?」


鬼姫は少し不思議そうに言った。


「どうしました?」


桃太郎は慌てて言う。


「何でもない。」


後ろ。


犬養が小声で言った。


「桃……やめろ。」


猿田も頷く。


「落ち着け。」


鳥山も真剣だった。


「朱羅君がいるんだ。」


前を歩く鬼王子。


普通に歩いている。


でも全部聞こえてそうだ。


犬養

「ここでキスしたら終わる。」


猿田

「鬼ヶ城戦争だ。」


鳥山

「桃の人生が終わる。」


桃太郎は思った。


(……。)


(確かに。)


鬼姫がまた言う。


「桃太郎様?」


桃太郎は深呼吸した。


「何でもない。」


(くそ。)


(かわいい。)

※毎日更新予定

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