第1話 桃太郎、美女革命ランキング三位の鬼姫を見に行く
桃太郎はスマホを眺めていた。
美女コミュ。
正式名称――美女革命ランキング。
おとぎの国で今、一番流行っているサイトだ。
画面にはランキングが表示されている。
一位 かぐや姫
二位 織姫
三位 鬼姫
桃太郎は三位で指を止めた。
「やっぱり鬼姫最高じゃん?」
写真を拡大する。
「……でかいな。」
胸を見ながら呟く。
「これ本当なのか?」
「色々盛ってないよな?」
桃太郎は腕を組んだ。
「いや、でもさ。」
「これは見に行って、よかったらもらっておけば良くないか?」
当然のように言う。
「鬼だろうが姫だろうが、女は女だしな。」
そして立ち上がった。
「行くか。」
鬼ヶ島へ。
桃太郎はスマホをポケットに入れると、外に出た。
向かう先は――
いつものたまり場。
そこには三人の男がいる。
桃太郎の悪友。
犬養。
猿田。
鳥山。
通称。
犬・猿・雉。
「おーい。」
桃太郎が声をかける。
犬養が振り向いた。
「何だよ桃。」
猿田も顔を上げる。
「また女か?」
鳥山はため息をついた。
「嫌な予感しかしない。」
桃太郎は笑った。
「鬼ヶ島行こうぜ。」
三人は一瞬沈黙した。
「……は?」
犬養が言う。
「鬼退治?」
猿田が言う。
「いや、そんな危ないことするタイプじゃないだろお前。」
鳥山が言う。
「理由を言え。」
桃太郎はスマホを見せた。
そこには美女革命ランキング。
鬼姫の写真。
三人は画面を見た。
沈黙。
そして。
犬養が言った。
「……でかいな。」
猿田が頷く。
「これは確かに。」
鳥山は顔を押さえた。
「お前ら……。」
桃太郎は笑った。
「だろ?」
「だから見に行こうぜ。」
犬養が言う。
「ノリで行くか。」
猿田が言う。
「面白そうだな。」
鳥山が小さく呟いた。
「……帰れるのか?」
桃太郎は肩をすくめた。
「俺がいるだろ。」
そう言って歩き出す。
鬼ヶ島へ。
美女を見に。
犬養が言った。
「ちなみにさ、美女コミュの評価どうだったんだ?」
猿田も頷く。
「ああ、それ。念のため確認しておいた方がいいんじゃないの?」
桃太郎は肩をすくめた。
「それが結構いいんだよ……。」
スマホをちらっと見せる。
「たださ……鬼ヶ島って面倒なんだよな。」
猿田が笑った。
「まあ、鬼ヶ島一つ潰せばいいってだけだろ?」
「それか鬼姫が可愛かったら、いただいておけば良くないか?」
桃太郎はあっさり言った。
「さすが桃だな。」
犬養が笑う。
鳥山がため息をついた。
「もう少し穏便にはできないのか?」
桃太郎が眉を上げる。
「俺がそんなやつに見えるか?」
鳥山は即答した。
「見える。」
猿田も頷いた。
「見えるわけないな。」
三人は同時に笑った。
「とりあえず鬼ヶ島行くか。」
その頃――
鬼姫は、イケメンランキングを見ていた。
スマホの画面には、イケコミュのランキング。
鬼姫は画面を見て、思わず声を上げる。
「キャー、何このイケメン!」
「めっちゃ格好いい!」
「ありえない……!」
画面をスクロールする。
「いや、無理。」
鬼姫は真剣な顔でつぶやいた。
「何で桃太郎様ってランキング四位なの? 意味が分からない。」
少し考えてから、頷く。
「一寸様も高身長寡黙イケメンで最強説だけど……」
そして顔を赤くした。
「でも、桃太郎様の方が……私の好み。」
鬼姫はうっとりする。
「最高。」
そして勢いよく画面をタップした。
「コミュページ書き込まないとー!」
鬼姫はすぐにコメントを書き込む。
『こんにちは。桃太郎様最高。イケメンすぎない?』
すると、すぐに返信が来た。
乙姫
『結構クズらしいよ。』
鬼姫はすぐに返す。
『いや、イケメンだからそんなことないってー。』
さらに返信が来る。
かぐや姫
『いや、騙されるな。顔からしてクズ臭が出てる。』
鬼姫は画面を見ながらむっとする。
「嘘。」
「そんなことないもん。」
鬼姫がさらにコメントしようとしたそのとき。
速報が流れた。
『速報:桃太郎、鬼ヶ島に向かっているらしい』
イケコミュがざわつく。
鬼姫は画面を見つめたまま固まった。
「……え?」
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