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六話め

 部室で私は大人しく漫画を読んでいた。

 最近流行りの、バトルものの漫画である。


 読んでいて特に面白いわけではなかった。

 少し下品だし、私はそんなに好きではない。

 ただ、何にしても暇だったのである。


 これだったら今日は休んで家に帰ればよかったかも知れない。

 モニカのことも心配だ。寂しい思いをさせているかも知れない。


 ついには漫画を読むのすらやめて、机に突っ伏す。

 ひんやりとした机が気持ちよかったが、すぐにぬるくなってしまった。


 目を瞑る。

 遠くでぽーんとかいう吹奏楽の音が聞こえてくる。

 間抜けな音だなと思う。


 片目でスマホを見始めたところだったと思う。ガラガラと扉が開く音に目を向ける。

 扉の近くには、綺麗な長い髪を持った先輩がいた。


「遅かったですね。東先輩」


 先輩を非難するように声を挙げる。

 彼女は少し笑って口を開いた。


「ごめんなさいね。色々と忙しかったから。委員会の仕事とかが」


「それにしてもですよ。森本先輩も、摩耶も何故か来ませんし……」


 暇だった旨を声にする。

 東先輩は再び目を細めて笑った。


「みんなも色々と忙しいだと思うよ」


 東先輩は擁護の言葉を口にしてから、そういえばと話を変える。

 どこか浮かれたような声だった。


「大翔が自慢してたけど、告白したのって本当?」


「森本先輩に告白ですか? まあ、しましたけど……」


 ここまで口にしたところで、彼女は興奮したように詰め寄ってきて問いかけてくる。


「それで、どんなところが好きに?」


「いや、冗談! 冗談ですよ」


「ええー、本当に?」


 少しこの詰問に困ってしまう。

 実際告白したのも事実であるからだ。

 それに恋愛的な感情が伴っていたのも、たぶん事実のはずだ。


「私と森本先輩がどちらを信用できるか、これを考えてみてください」


 両手の人差し指を立てて東先輩に言う

 まず右手の人差し指を振った。


「片方は赤点ぎりぎりを推移して、時々アウトしかける人。もう片方は結構な上の方の私ですよ」


 左手の人差し指を、先輩に見せびらかすように言う。

 だいぶ性格の悪いことを言っていると思う。

 他者の信用を、その人の成績とかで示そうというのだから。


「うーん。でも、大翔は私の幼馴染だよ。嘘をつく意味はあるかな」


「よく考えてください。相手は森本先輩ですよ。東先輩の気を惹くための嘘の可能性もあります」


 どうにかして冗談の領域に持ち込み、ついには追求から逃れることが叶かった。

 これを他の人たちともやっていると疲れてしまう。どうにかして森本先輩の口を塞がないといけないだろう。

 そう考えると、だいぶ面倒な仕事が増えてしまった。

 言えば解決する気もするが、それでも面倒なものは面倒だ。


「それにしても、他の皆は遅すぎませんか?」


 いまだ悩ましそうにしている東先輩を無視して、また話を変える。

 その言葉に東先輩も、確かにと思ったようである。


「うん、流石に遅すぎるかな」


「連絡します?」


「うーん、どうしよっか。でも、今日も何かある訳じゃないし、良いんじゃないかな」


「まあ、確かにそうですね」


 こんなことなら来なくてもよかったな、と思いながらもそれからも東先輩と駄弁ったり、少し本を読んだりした。

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