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二話め

「ねえ、名前はなんて言うの」


 明るい部屋で見ると、より一層綺麗な少女に声をかける。

 何だかあそこで放置しているというのも、いけない気がして連れて帰ってしまった。


「お腹が減った」


 彼女は名前を答えることもなく、ご飯の要求をしてくる。

 といっても、与えられるご飯が何かある訳でもないので、適当なお菓子をあげることにした。


「小麦粉にアレルギーとかない?」


「ない」


「よかった、じゃあこれあげる」


 少しばかりお高いビスケットを手にする。

 つい先日行った旅行のお土産物だった。


 与えられたビスケットを、彼女は大人しく食べ始める。

 思ったよりも内容量は多いが、健康的ではないだろう。

 時折、お菓子をごはん代わりに食べる人がいるが、あれでは身体を壊してしまう。


「ねえ、美味しい?」


 私自身も味は知らなかったので気になり、問いかける。

 少しだけ分けてほしい、という下心もあった。


 ただ言葉にしない考えは伝わらないもので、というよりも言葉にしてもあまり伝わっていないのかもしれない。

 何の反応もなく、彼女は黙々と食べている。


 はて一体彼女はどこの子だろうか。

 まず間違いなく日本人ではないだろう。

 ぱっちりとした目は日本人的ではないし、そもそもとして銀髪なんてのもそうだ。


 少し人種について考えていると、どうやら彼女は食べ終わったようで、目があった。


「それで、あなたの名前はなんて言うの?」


「モニカ」


 姿に似合った可愛い名前だと思った。

 食べ物のようで可愛らしい、というのが正しいのかは分からない。

 ただ現実に、そう思ったことは事実である。


 そのようにしていると、彼女はこちらを見て口を開く。


「貴女の名前は?」


「えっと、前山アズサです」


「良い名前、私の次に」


 一言多いタイプの子なのだろうと思えた。


「モニカちゃん、あなたはどうしてあそこにいたの?」


「色々とあった。それと、ちゃんをつけるな」


「あっ、ごめん」


 何だか偉そうな子だと思う。

 そういう個性の子なのだろうか?


「その色々を教えてもらえるかな」


「秘密だ」


 重要な話を何事も教えないままであるが、モニカはちょっとしゅんとした症状を見せる。

 少し目を細めて、下を向いたように見えるだけであるが絵になる。

 これが容姿の力であろうか。


「申し訳ないと思う。だが、少し泊めてはくれないだろうか」


「えっと」


 少し戸惑った心があった。

 先程まで静かだったなのに、いきなり元気になった。


 私と似たような子なのかなと思った。

 誰かにとって良い人としてあろうとしているのではなかろうか。

 元気な子を好む心理を私に見たのではないだろうか。


 こう考えていると、何とも同族なように思えた。

 私は私の同族がたぶん嫌いだ。

 うじうじとしてジメっぽくて、そして何者でもない。

 私は私のことも嫌いだ。


 だからこそだろうか。

 私はモニカを守ってやろうという気が湧いてきた。

 私が何者かになるための策謀として、そして彼女が一体何者であるかを知るために。


「うん、わかった。いいよ」


 そして、私はこの時久方ぶりに両親に感謝の心を抱いていた。

 普段は家にずっといないことを不幸だと嘆いているのに、我ながら酷い人間だと思う。

一週間くらいは毎日投稿にします。

明日からは一時投稿です。なので、この二時間後です。

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