十四話め 仄暗い画策
森本先輩の背中を見ている。
つい先程合流したのであるが、心が遠いところに残されていた。
私の目前にいた大きな虫。
その顔が脳みその中に存在している。
そして、二人の少女の顔もあった。
彼女らはどうにも知り合いにしか思えない。
しかし、話をする前に巻かれてしまったのである。
「こっちの用事は済んだけど、何か欲しいのあるか?」
他所事を考えていると、先輩が袋を片手に声をかけてくる。
彼の顔は満足げであるが、私の調子を伺う雰囲気もあった。
「えっとそうですね。あんまり音楽も聴きませんし大丈夫です」
あくまで私は単に付き合いに過ぎないのである。
「そうです」と言葉を続ける。
「ゲーセンでも行きましょうよ、ゲーセン」
「良いね、でも珍しいな」
「そうですか?」
「なんだろ、イメージがない感じ」
イメージと自分を考えると、どうにも納得がいかなかった。
私自身は結構ミーハーである自覚があるのである。
「確かにあんまり行くことはないですけど、結構好きですよ。あの太鼓のゲームとか楽しいですし」
その適当な会話の間に、私は摩耶と佐久良そのどちらにもメッセージを送った。
内容を端的に言うと、放課後にお茶を飲みに行こうといったことである。
少し考え事をしながら、中学の校門辺りに立っていた。
歩いて行く中学生はどれも見慣れない制服である。
さて、幾許か待つと、やっと目的の人物が出てきた。
彼女は私を見ると、げっとでも言うかのように顔を顰める。
私は彼女と摩耶にした誘いは断られてしまった。
それならと摩耶に押しかけても、彼女にはのらりくらりと躱され、御しやすそうな方へと押しかけたのである。
「やっ、待ったよ」
少し手を挙げて佐久良の表情を見る。
この辺りで流石に馴れ馴れしいなと思ってしまった。
「あの、どうしたんですか突然に」
こちらに歩み寄ってきてくれた彼女に、多少安心に似通った感情を持っていたことを否定しない。
一抹の不安が感じられる顔に、私はこのように返した。
「一緒にお茶飲み行かない?」
「えっと、そうですね……」
彼女の悩む声に、少し心を痛めた。
実際問題私が彼女に聞きたいことは、きっと些末なことに過ぎないのだ。
私が誰に救われようが、それは結局結果こそが全てで誰かは重要でない。
私は救われたのみを考えればよいのだ。
私の未知を探ればよいのだ。
これは一重に、この頃連続する色々な出来事、そしてふと巻き起こった一つの感情のためだ。
私は未知に関わることで、何者かになれるかもしれない、と。
様々な些事が終わり、お久しぶりです。
これから連載も再開したいですね。




