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双子の天才魔術師、魔導具師を目指す  作者: 夜宵
第三章 天才魔術師の三歩目
39/40

天才魔術師、魔導具工房を再訪する

 授業を全て終え、レオナルドとレティーツィアはニコラと別れ、再び街に繰り出していた。今度はキチンと許可を得、護衛と共に街を歩く。とは言え、護衛は側には置かず隠れて付いてくるよう指示を出していた。

 制服のまま向かったのは先日も訪れた露店通り。双子のお目当てはバスラー工房の工房長であるルーカス。一通り見て回ったがルーカスは見付からなかったので直接工房へと足を向けることにした。

 前回と同じように路地に入り工房へと向かう。人通りの少ない路地でも護衛は影から見守っているのかその姿を現すことはなかった。


 前回工房と案内された建物の前に立ち、鉄の扉を見据える。その工房は店舗も併設していた筈だが窓がないため店内は見えず、扉も閉まっている為、開店しているのかが外からでは全くといって良い程不明だった。


「これお店やってるのかな? 」


「どうかしら……ルーカスさんいるかしら? 」


「どうだろう…… 」


 特に呼び鈴も無く、扉の鍵がかかっているのかさえ二人には分からなかった。


「取り敢えず開けてみて開かなかったら今日は諦めよう 」


「そうね、そうしましょう 」


 初めは躊躇していた二人もこうと決めれば素早いもので直ぐに扉に手を掛けた。グッと力をいれると思ったより力を必要とせずに扉は開いた。

 前回来た時は無かった筈のドアベルがカランと音を立てて二人の入店を工房に伝えた。


「いらっしゃいま……あれ?この間の…… 」


 ドアベルの音が聞こえたのか奥の工房からルーカスが出てきた。魔導具は高価な筈なのに店番も置かず、店の鍵も掛けず誰でも入れるようになっていて大丈夫なのかと双子は口に出さずに心配していた。


「「こんにちは 」」


「やぁ、久しぶり、って程でもないか。こんにちは、なにかご入り用で? 」


「魔導具の事また聞きたくて来てしまいました 」


「ご迷惑でなければまたお話しさせていただけませんか? 」


 双子の突然の来店に驚いた顔をしていたルーカスは、二人から話がしたいと告げられ嬉しそうにその顔に笑顔を浮かべた。


「勿論、喜んで!さぁどうぞ、この間の場所で話そう 」


「あの、突然来ておいてなんですが、お店大丈夫ですか? 」


「ん? 」


「いえ、魔導具って高価なのに店番も置かず大丈夫なのかしらと思いまして 」


「ああ、そう言う。大丈夫だよ 」


 奥の工房にある応接スペースへと二人を誘導しようとしたルーカスにレオナルドとレティーツィアが交互に尋ねる。その表情には期待と心配が見てとれた。ルーカスはきょとんとした後再び笑顔で問題ないと二人に告げ、更に説明を重ねた。


「客が来ればドアベルが教えてくれるし、あの扉も魔導具になっていて外から開けた場合、こっちで許可を出さないと内側から開かなくなってるから。

 もし窃盗しても店から出られないんじゃ仕方ないでしょ? 」


「……それはそれで危なくないですか? 」


「そうですわ。犯罪者と同じ空間にいるって事になりますわよ? 」


「あはは、心配してくれてありがとう。でも大丈夫。

 無理に開けようとすると同時に結界が張られるようになってるから 」


「結界…… 」


「そ、結界。犯人逮捕まで出来る扉なんだ。凄いだろ? 」


「凄いですけど……本当に安全ですの? 」


「ああ、大丈夫さ…………多分 」


 自信たっぷりに答えていた筈のルーカスがソッと目を逸らした。その様子に双子は胡乱な目を向ける。


「多分、ですか…… 」


「いやぁ、実験は勿論したけど実際に使ったこと無いからなぁ…… 」


「……実際使うような事が起こってなくて安心しましたわ 」


「はは、ありがとう。今後も陽の目を見ないことを祈るよ 」


「そうですね 」


「ええ、無いに越したことはないわ 」


 はぁと溜め息をこぼし肩を竦めた双子にルーカスは苦笑を返すしかなかった。

次回更新

6月7日予定

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