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双子の天才魔術師、魔導具師を目指す  作者: 夜宵
第三章 天才魔術師の三歩目
38/40

天才魔術師、魔導具を完成させる

「続いて魔石を嵌めていきましょう。

 魔力がある者であれば魔石に魔方陣を刻むことも己で行うのですが、魔力がない者でも魔導具が製作できるように魔方陣を刻む仕事をしている者もいます。

 今回は既に灯りの為の魔方陣が刻まれた魔石を用意しましたーー…… 」


 生徒たちが全員回路を描き終えた事を確認してからルイーザが次の行程について解説をはじめる。

 ルイーザの解説を聞きながらレオナルドは魔石を手に取り、中に浮かぶ魔方陣をじっと見つめていた。


「灯りの為の魔方陣か…… 」


 魔方陣の解説を聞いていた時にも同じような事を呟いていたレオナルドは描かれた文字や記号をそれとは知らずにじっと見つめる。

 何故これが灯りの為の魔方陣なのか。

 魔方陣のどの部分が灯りを表しているのか。

 魔方陣ひとつをとっても疑問は尽きなかった。


「それでは実際に魔石を嵌めてみてみます。実践するので見ていてください。

 魔石は回路のこの部分に嵌めていきます。

 まずは魔石を固定する為の器具を取り付けます 」


 魔石を固定する為の器具は、ルイーザが魔石を嵌める為に既に彫られた溝にグッと押し付けるとピッタリと隙間無く嵌まった。


「次に器具に魔石を乗せ、爪の部分を魔石に沿って折り曲げて固定します。

 今回は最も簡単な固定方法を実施しますが、魔石の固定方法は様々です。

 どんな固定方法があるのかは是非とも実際に授業で学んでください。

 それでは皆さんも魔石を嵌めてみましょう 」


 ルイーザの実演を見たあと、生徒たちが作業を始める。

 レオナルドたちも各々固定する為の器具を手に取り、所定の位置に嵌めていく。力を込めるとわりと簡単に溝に落ち着いた。


「以外と簡単に嵌まるな 」


「そうね、私でも簡単に出来ましたわ 」


「初めての授業でそう難しいことはしないんじゃない 」


「それもそうか 」


 簡単に会話しながらも手は止めず三人は完成目指して作業を進める。


「出来た…… 」


 初めに完済させたのはレオナルド。思わず溢れた小さな呟きは本人も無意識だったのか教室内のざわめきに掻き消され誰の耳にも届かず空気に溶けた。


「これで完成かしら 」


 続いて手を止めたのはレティーツィア。初めて作った魔導具を色々な角度から眺めて満足そうに机に戻した。


「俺も多分出来た 」


 最後に終えたのはニコラ。完成した事にホッとしたのか、力が抜けたかのように椅子の背に凭れかかった。

 どうやらニコラはあまり細かい作業が得意ではないようで魔導具の製作が始まってからずっと緊張していたようだった。作業が終わったその顔には疲労の色が少し見えていた。


「さて、皆さん光源の魔導具は完成しましたか?

 ……大丈夫そうですね。では実際に点灯するか試してみましょう 」


 ルイーザは教室全体を確認し、サポートスタッフとも連携し全生徒が魔導具を完成させた事を確認。実際に使えるものになったのか試してみるよう伝えた。


「魔導具の使い方は分かりますね? 」


 回路に組み込まれた魔石は、魔力がない者でも体内魔素を自動で吸い取り魔導具を起動させる。故に魔力がない者でも利用出来る魔導具が世の中に受け入れられているのだ。

 入試組が多いこの授業の参加者でも問題なく魔導具の試運転が出来る。


「では魔石に手をかざして灯りを点けましょう 」


 教室内の窓はカーテンが閉められ、元々教室に付いていた光源の魔導具は灯りが落とされた。ルイーザの声に導かれて、ひとりまたひとりと魔導具を起動する。魔導具の起動に伴い、教室内に灯りがひとつ、ふたつと増えていく。

 灯りが増える度上がる感嘆の声。初めて魔導具を作ったと言う感動が教室内には溢れていた。

 

次回更新

6月4日予定

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