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双子の天才魔術師、魔導具師を目指す  作者: 夜宵
第三章 天才魔術師の三歩目
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天才魔術師、魔導具探索後の雑談

「あ、おかえり 」


 レティーツィアが応接室に入ると既に探索を終えたレオナルドがお菓子を食べながら寛いでいた。


「もう戻ってたのね 」


「うん、ちょっと前にね 」


 レティーツィアと一緒に戻ってきた筈のリーザがあっという間にレティーツィアの紅茶と茶菓子を用意して同じく待機していたジャンの隣に並び立つ。

 紅茶をのみ一息つくと各々の探索結果を話し出す。


「結構色々な魔導具があったよ、そっちは? 」


「こっちも色々あったわ。こんなに魔導具が沢山あるのは思わなかったわ 」


 お互いに何処にどんな魔導具があったかを報告し合い、想像以上に多くの魔導具が身近に存在していた事に驚く。


「普段僕らはあまり使わないから知らなかったみたいだね 」


「そうね、使用人が使うようなものが多かったわ 」


 貴族の子息息女として育てられたレオナルドとレティーツィアには常に世話係として付けられた侍従(ジャン)侍女(リーザ)がいた為、自身で何かをすると言うことは滅多になかった。

 学院に入る前から家庭教師を付けられ様々な事を学んだが、その中に魔導具については特になかった。魔術の教師だったフリッツも特段魔導具に関しての講義はしてくれた事がない。


「光源の魔導具なんかは普段使われていたけどどんな権利で明るいかなんて気にしたことなかったしね 」


「ええ、邸内が快適だったのもずっと当たり前の事だと思っていたわ 」


 邸内が常に明るいのも邸内が常に快適なのも二人にとっては生まれた時から当たり前だったのでそれがどうしてなのか考えたこともなかった。彼らにとっては当たり前で『そういうもの』だったのだ。


「うん、それがなんでかなんて考えたこともなかった 」


「疑問に思わないと気付きも生まれてこないわね 」


 レティーツィアは右手を頬にあて、ほぅと小さな溜め息をひとつ溢した。

 5歳の魔術適性検査以来、二人の興味関心は主に魔術にのみ注がれていた。その為、他の事に意識が割かれることもなく『当たり前』は『当たり前』でしかなかった。


「そうだね……。でも魔導具があるって知ったからね 」


「そうね、色々な魔導具があるって知ったわ 」


 魔術はまだまだ完璧ではないし、まだまだ興味関心は薄れてないけれど二人の心には新たに心惹かれるものが爛々と輝きを放っていた。


「あると凄く便利だよね 」


「そうね、でももっともっと便利に出来そうよね 」


「だよね、今以上に便利に快適に出来そうだよね 」


 好奇心の塊であるレオナルドとレティーツィアにとって新たに発見した魔導具は今まで学び知識を蓄積してきた魔術以上に興味を惹くものとなっていた。


「便利になればウチの侍女(リーザ)たちにとってももっと過ごしやすく出来るはずだわ 」


「そうだね。ウチの侍従(ジャン)たちももっと仕事がしやすくなるはず 」


 突然名前を出された二人はピクリと僅かに反応したが、流石は侯爵家の使用人。端から見れば分からない程度の小さな反応は並び立つ互いにしか悟られないような小さな反応だった。

 使用人を人とは思わない貴族もいる中、セラフィーニ侯爵家の人々は使用人にも良い環境、良い待遇を掲げており、とても離職率の低い職場となっていた。求人がかかること滅多になく、高齢等を理由に退職者が出て募集がかかると高倍率の求人となるのが常であった。

 そんな使用人を大切にする心持ちは現当主を父に持つレオナルドとレティーツィアにも受け継がれていて、使用人たちも自身の家族だと思っている。そんな二人にとって家族(使用人)たちの職場環境、生活環境をより快適に、より便利に出来る魔導具に関心を持つ事は当たり前であると言えた。

 自分を大切にしてくれていると知っているジャンとリーザが彼らの言葉に感激して反応を示してしまうのも仕方がない事と言えるだろう。

次回更新

5月26日予定

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