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双子の天才魔術師、魔導具師を目指す  作者: 夜宵
第三章 天才魔術師の三歩目
30/40

天才魔術師、初めての魔導具屋

遅くなってすみません

やっと魔導具が絡んできました……

「いらっしゃい。

 兄ちゃんたち、あんまりそう言う事は大きな声で話すもんじゃないぞ。

 俺は貴族だって言ってるようなもんだからな 」


 話が途切れたタイミングを見計らってか、魔導具屋の店主らしき青年が声を抑えて話しかけてきた。


「あ、そうだよな。ありがと 」


 ニコラが慌てて声のボリュームを下げてお礼を言う。レオナルドとレティーツィアは二人の話が理解出来ず首を傾げた。


「さっきの金貨と同じ、ってこと。

 俺たち庶民にとっては魔導具と言えば生活魔導具なわけ。

 それを知らないってことは自分たちは貴族ですよって言いふらしてるのと同じだぞって教えてくれてた 」


「まぁ……そうなのですね、有難うございます 」


 事の次第を理解した二人は成る程と頷いて、店主の青年に礼を言う。


「良いってことよ。次から気を付けろよ。

 気になったものがあったら手に取ってくれて良いぞ。

 但し、大切に取り扱ってくれよな 」


 貴族向けの言葉は無理だわと笑いながら気さくに話しかけてくる青年店主に三人は笑顔で答え、露店に並んでいる商品へ視線を移す。


「これも魔導具なんですか? 」


 レオナルドが手に取ったのは筒状の魔導具。木筒の上に少し厚目の蓋が乗っている。蓋の中央には小さな石が一つ付いている。レオナルドが魔導具を色々な角度から眺めるのを楽しそうに身ながら青年店主が答える。


「勿論。ここにあるのは全部魔導具さ。

 それは湧水(ゆうすい)の魔導具。

 蓋の部分に付いている魔石に魔力を通すと水が湧き出て下側の筒に水が溜まるようになってる。

 蓋も捻ると取り外せるから水を入れた後はそのまま筒の部分をコップとして使えるようになっているんだ 」


「そうなんですね! 」


 レオナルドだけでなくレティーツィアも青年店主の話をへぇー、と興味深そうに聞いていた。


「まぁ、蓋を失くしそうだと言われるからまだ改善の余地有りって所だな。

 しかしなぁ、蓋を完全に外れないようにするも飲む時邪魔なんだよなぁ…… 」


「成る程 」


「こちらは何ですの? 」


 今度はレティーツィアが底以外全ての面が外側に細目の木枠があるだけの魔導具を手に取った。底の部分は他の面と比べて少し厚みがあり魔石が嵌め込まれているようだ。置いた時に邪魔にならないように設計された取手の様なものも付いている。


「これは光源の魔導具だな。

 底の部分の魔石に魔力を通すと木枠の中に光源が出てくる。

 まぁ灯りを点けるための魔導具だな。

 地面やテーブルにも置けるし、取手の部分をフックとかに引っ掻けて高いところから下向きにも照らせるようになってる 」


「そうなんですね 」


 青年店主は次から次へと質問を投げる二人を厭うでもなくニコニコととても楽しそうにレオナルドとレティーツィアの相手をしていた。ニコラは少し呆れながらそんな三人の様子を見ながら時々知らない魔導具があったのかへぇーと驚いているようだった。


「色々と便利な魔導具が沢山あるのですね 」


「本当に。知らないものばかりだったわ 」


「もし興味があるようなら店も案内しようか? 」


「ここが貴方のお店なのではないのですか? 」


「ここは出張店舗ってやつだな。

 うちはちょっと立地が良くなくてな……。

 たまに露店で店の宣伝を兼ねて商売してるんだ 」


 青年店主はポリポリと頬を掻きながら少し恥ずかしそうに立地が良い所は土地が高いからなぁと溢していた。


「店舗の方にはもっと沢山の魔導具があるのですか? 」


「そうだな、ここにないものも色々とあるぞ 」


「私は見てみたいですわ 」


「僕も見てみたいです、ご迷惑ではありませんか? 」


「迷惑だったら誘わないさ。そっちの兄ちゃんはどうする? 」


 レオナルドとレティーツィアは行く気満々で嬉々として答えたが青年店主がニコラへと声を掛ける。


「俺も行くよ。特に予定もないしな 」


「良し来た! んじゃ片しちまうからちょっと待ってくれな 」


 青年店主は手早く露店に広げていた魔導具を鞄の中へと片していく。明らかに鞄の容量を越えて次々と片されていく様にニコラが驚いていた。


「その鞄も魔導具なんだな…… 」


「まぁな、これは俺の最高傑作さ! 」

次回更新

5月11日予定

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