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双子の天才魔術師、魔導具師を目指す  作者: 夜宵
第三章 天才魔術師の三歩目
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天才魔術師、初めての露店

 初めての露店通りに目を輝かせるレオナルドとレティーツィアをニコラは微笑ましそうに眺めながら後を追う。気になるものが目に入るとフラフラと寄って行っては品物を眺めている。


「これ可愛いわ 」


 ポツリと溢れたレティーツィアの言葉に女性店主が笑顔で反応する。


「あら、ありがとう。ここにある商品はみんな私が作ったのよ 」


「そうなんですか?凄いわ! 」


「銀細工を中心に色々とアクセサリーを作ってるの 」


 学院の生徒が訪れることになれているのか女性店主は特に気負いなく色々と製作秘話的なものを交えながら楽しそうに説明をしてくれる。

 こんな所に貴族の子息が来るとは思ってもいないだけで平民の子と思われている可能性も高い。


「これおいくらですか? 」


 レティーツィアの視線の先には銀細工のブレスレット。蔓草をデザインした透かしが施されており、小さな宝石ーー硝子かはたまた綺麗なだけの石かもしれないーーが三つ並んでいた。それぞれ日の光に反射してキラキラと輝いている。


「これは銀貨1枚よ 」


 レティーツィアは値段を聞いて普段購入しているものの値段差に驚いたのか少しだけ目を見開いたが、そんな表情は瞬きする間に消え、すぐに笑顔で頷いていた。


「購入します 」


「ありがとう! 」


 店主の女性に先ほど両替した銀貨を1枚渡して、ブレスレットを受け取る。早速自身の左手に着けると日の光に翳し透かしと石の輝きを楽しんでいた。


「ありがとうございます 」


「こちらこそ、またご贔屓に 」


 初めて自分の手で直接買い物をしたレティーツィアは買い物そのものも楽しんでいたようだ。昼食はニコラが店主とやり取りしていたのでレティーツィアは待っているだけだった。

 自ら赴き、商品を選び、自ら声を掛け、購入する。それだけの事をだとしてもレティーツィアにとっては初めての楽しい体験になったようだ。

 侯爵令嬢として身に付けるにはふさわしいアクセサリーではないと言われてしまうであろう安物だが、彼女にとっては記念すべき宝物になったようだ。


「気に入ったものがあってよかったな 」


「ええ、とーっても気に入ったわ! 」


 満面の笑みで答える彼女にニコラは髪型が崩れないようそっとレティーツィアの頭のぽんぽんと叩いた。そんなニコラの行動に一瞬キョトンとしたものの彼女はすぐに笑顔に戻っていた。

 レティーツィアは初めての露店でのお買い物に大満足のようだ。


「ね、次はあそこのお店に行こう! 」


 今度はレオナルドが何か気になるものを見付けたようで、レティーツィアとニコラを引っ張っていく。

 レオナルドが見付けた露店では色々な形の道具が売られていた。レオナルドもレティーツィアも何の道具なのかが分からないようで首を傾げていた。

 彼らが普段使うような道具でないので恐らく見たことがないのだろう。ニコラがそんな二人の様子を察して簡単に説明を始めた。


「ここは魔導具屋みたいだな 」


「魔導具屋? 」


 レオナルドが知っている魔導具はアクセサリー類が多い。貴族の子供にとっての魔導具は身を守るためのものが大半なので、普段から身に付けられるものとして作られる事が殆どである。


「魔導具はアクセサリーになってるんじゃないの? 」


「うーん、レオたちが知ってるのはそう言うのが多いかもな。

 ここにあるのは所謂生活魔導具ってやつだな 」


 生活魔導具とは簡単に言えば日常生活を便利にするための魔導具の事を言う。身を守るようなものではなく、無くても生活できるけどあると便利なもの。但し、ものによっては深く生活に根付いていてなくてはならないと言われるようなものも勿論ある。

 そんなような事をニコラは簡単に二人に説明した。

次回更新

5月8日予定

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