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双子の天才魔術師、魔導具師を目指す  作者: 夜宵
第二章 天才魔術師の二歩目
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天才魔術師、初めての実践②

 レオナルドとレティーツィアの前にそれぞれ道具を置くと魔石の部分に触れるように伝える。

 彼らの目の前に置かれたのはとてもシンプルな魔道具で、円上の板の中心には魔石が。魔石を囲うように模様のような魔術文字による魔方陣が描かれていた。


「私がやったように魔石部分に触れると体内の魔素が動くのを感じられるはずじゃ。

 適性検査でも感じられたのであれば魔素が魔石を起点として循環するのが感じられるはずじゃよ 」


 レオナルドとレティーツィアはチラリと視線を合わせると頷き、魔石へと手を伸ばした。レオナルドは一瞬躊躇したが、レティーツィアは迷いなく魔石に触れる。それぞれの魔石がぼんやりと光を灯すとどちらからともなく目を瞑り、体内の感覚を感じることに集中していた。

 魔石に触れた部分に向けて体内から何かが吸い出され、魔石を通りまた体内へ戻ってくる感覚。確かに体内で何かが動くのを感じていた。


「……これがまそ 」


 無自覚にレオナルドの口から溢れた言葉。ゆっくりと目を開くと丁度レティーツィアも目を開いていた。


「どうやら無事魔素を感じ取れたようじゃの。

 体内を循環するように動いているのが君達の魔素じゃ 」


「ゆっくりとうごいているのがわかりますわ 」


「うん、あたたかいものがうごいています 」


 フリッツは魔石から手を離すように伝え、自身のお臍の辺りに右手を添える。


「前回の授業で教えたように魔力器官はお臍の辺りにある。

 ここを中心に全身を巡るように魔素を動かす事を魔力操作と言うの。

 魔素を認識出来た君達なら体内にある魔素を感じられるはずじゃ。

 魔道具に触れず体内魔素を探ってみておくれ、きっと分かるから 」


「「はい! 」」


 示し合わせたかのように目を閉じ、フリッツと同じように右手をお臍の辺りに添え、意識を向ける。今までは特に何かを感じた事は無かったそこに、温かい何かーー魔素が確かに体内にあるのを感じていた。

 更に意識を向けると腕輪にむけて魔素がそれはそれはゆっくりと意識しないと分からないような速度で体内を巡っていることに気がついた。


「……まそがわかります 」


「……わたくしもわかりますわ 」


「ゆっくりと魔素が巡っているのはどうかの? 」


「それもわかります 」


「わたくしもですわ 」


 適性検査で渡される腕輪は子供たちの体内魔力を安定させるために循環を補助するもので、魔力が急激に増えないように抑止させる効果も備えている。循環速度が意識しないと気付かない程度に抑えられているのは少ない魔力でも起動するようにする為。また、体内魔素が動いているのを関知させない為でもある。

 魔素が動いている事を子供たちが関知してしまうと魔力を操作しようとしてしまい、魔力暴走などの事故に繋がりやすい。魔術師がいない所で勝手に魔力操作を意図的、無意識関わらず防ぐ為にわざと関知できないようにしてあった。


「ではその流れを意識して少しずつ速度を速めてみるのじゃ。

 はじめは腕輪を意識すると動かしやすいはずじゃ。

 すこーしずつ、少しずつじゃ 」


 フリッツは自身の目に魔素を多く集め、レオナルドとレティーツィアの様子を注意深く観察する。魔力暴走の兆候を見逃さないようにじっと見詰めていた。

 レオナルドとレティーツィアは体内魔素を強く強く意識して自らの意思で引っ張ってみる。腕輪へともっと速く入っていくように。腕輪からもっと速く出ていくように。

 魔素が体内を巡っていく。気付かないくらいにゆっくりだったそれは、巡る向きは変わらずに少しずつ速度を増していった。それでもまだゆっくりと言える速さでぐるりぐるりと体内を巡る。


「その速度のままを意識して魔素を動かし続けて 」

次回更新

4月5日予定

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