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双子の天才魔術師、魔導具師を目指す  作者: 夜宵
第二章 天才魔術師の二歩目
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天才魔術師、初めての授業③

 レオナルドもレティーツィアの手が止まった事を確認して、フリッツは一度黒板の文字を全て消してしまう。今度は人と動物と樹の絵を簡単に描く。


「属性の次は魔術の仕組みについて勉強しようかの 」


 人の絵のお臍の辺りに丸を一つ。動物もお腹の辺りに丸を一つ。樹の幹の部分にも丸を一つそれぞれ描き足していく。フリッツはレティーツィアへと視線を向けて質問をする。


「人でも動物でも植物でも生物には必ず魔力器官が備わっておる。 魔力器官は知っているかの? 」


「まりょくをためておくものかしら 」


「そうじゃな、殆ど正解じゃ。 正確には魔素を生成し、魔力を溜めておく為の器官、それが魔力器官じゃ 」


「まそ…… 」


 三つの絵の上側に魔素と書いてぐるりと囲む。レオナルドもレティーツィアも魔素は聞いたことが内容で首をかしげていた。


「魔素は全てのものに宿っていると言われておる。 我々人間にも動物にも空気中にも土にも。 読んで字の如く魔力の(もと)、それが魔素じゃ。

 魔力器官で生成された魔素を自らの力で操作出来る人を魔術師と呼ぶ。 心臓から血液が送り出され体内を巡りまた心臓へ戻ってくるのと同じように、通常魔素は魔力器官から送り出され体内を巡りまた魔力器官へ戻ってくる 」


 色違いのチョークで人のお臍の丸、魔力器官から線を引き、全身を巡らせてからまた魔力器官へと戻す。魔力器官から出た線は体の輪郭を沿うようにぐるりと体内を一周している。


「自らの意思で操作している状態の魔素を魔力と呼んでおる。 魔力操作が出来るかどうかを魔導具によって適性検査で確認しているんじゃよ。 適性検査が5歳で行われるのは、魔力器官を魔素が満たし、体内を巡り始めるのが5歳前後じゃからで、魔力器官が満たされるまでは魔力操作が出来るか確認が出来ないからなんじゃ 」


「だからけんさは5さいになってからだったんですね 」


 レオナルドが成る程と頷く。


「魔力器官は全ての生物が持っていて、魔術を使える人を魔術師、魔法を使える動物を魔物、同じく魔法を使える植物を魔植物と言う 」


「まじゅつとまほうはちがうものですの? 」


「よく気が付いたの。 魔術は体内の魔力を魔術式に通す事で事象が発生する。 さっきも言ったが、理論上魔術師は全ての属性を使うことが可能じゃ。魔法は違う。 魔物や魔植物は魔術式を通さない代わりに使える属性は基本的に一つだけじゃ。

 法則が違う魔術じゃから魔物や魔植物が使うのは魔法と区別されておるよ。

 魔物や魔植物の場合、魔力器官が生成する魔素が既に属性を持ったものであり、その属性以外の魔法は使えん。 魔術の基本六属性とはまた違う属性じゃからこれはまた別の機会に教えよう。 魔術について終わってからかの 」


 人の絵の下には魔術、動物と樹の絵の下側に魔法と書き足された。


「因みに体内の魔素が不足すると頭痛や眩暈などの症状が出て意識が無くなることもある。 滅多に無いが死亡事例もなくはないから症状が出たら魔術を使うのは止めることじゃ。 と言うよりも自分の限界値を知り、症状が出る前に使用を止める事が推奨されておるよ 」


 魔素不足、頭痛、眩暈、死の文字が書き足され、死の文字がフリッツによって囲われ強調される。レオナルドとレティーツィアそれぞれと目を合わせ、言い聞かせるように確りと二人に刻み込む。


「適性検査で渡される腕輪は魔素を魔力として能動的に動かす補助をしておる。 魔力操作を学んでいないと無意識に魔素を操作し体内で魔素が上手く循環できず、魔力が暴走することがあるから絶対に外してはならん、良いな 」


「「はい 」」

次回更新

3月27日予定

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