天才魔術師、生まれる
大きな瞳をキラキラと輝かせた子供が二人。興奮冷めやらぬまま大きな声で宣言した。
「僕、 」「私 、」
「「魔導具師になる!! 」」
それは、小さな魔術師達の、とても大きな夢の始まり、はじまりーー……。
◇ ◆ ◇ ◆
慌ただしい屋敷に小さな赤ん坊の声が響き渡ったのはもうすぐ朝日が昇ろうかと言う時間帯。
元気な男の子の声が大きく、大きく産声を上げた。暫くすると続けて今度は女の子元気な産声が聞こえてきた。
部屋の前を落ち着き無くうろうろとしていたこの屋敷の主人は、妻の元に続く扉が開くのを今か、今かと待ちわびていた。子供達の声は聞こえど、未だ部屋には入れず落ち着き無く動き回る様子に呆れたような声がかかる。
「いい加減落ち着きなさい、初めてでもあるまいし 」
「リディアの元気な顔を見るまで落ち着けるか……! 」
我が子の落ち着かない様子にアデリーナは肩を竦め苦笑する。
「我が家の男達は落ち着きがなくってダメね 」
母の言葉に何か返そうと口を開いたが、扉の開く音に勢い良く振り返る。扉から顔を出したメイドが思わずビクリと肩を震わせたのを見てベルナルドはばつが悪そうに視線を彷徨わせた。
「元気な双子のご子息、ご息女がお生まれになりました 」
気を取り直したメイドが一言告げて、扉を開け放ちベルナルドを室内へと迎える。走らず、けれどもなるべく素早く部屋へと足を進め、ベッドで横たわる妻を労う。
「リディア、良く頑張ってくれた 」
「元気な男の子と女の子ですよ 」
妻のすぐ横で赤ん坊が二人スヤスヤと寝息を立てている。少し疲労を滲ませながらも笑顔で子供達を紹介する妻の汗を優しく拭って、幸せを噛み締めていた。