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《無敵チート》で異世界無双!~猛毒茸だってドラゴンだって俺の体に傷一つ付けられない~  作者: 長尾隆生@放逐貴族・ひとりぼっち等7月発売!!
魔瘴の森サバイバルと光るカエル

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ここはジモティの街です

 マーシュが上手く話を付けてくれたおかげで、特に怪しまれることもなく街の中に入ることが出来た。


 ちなみに今の俺の服装はマーシュが持っていた服に着替えたおかげで見かけだけなら町人Aにまで進化している。

 もう原始時代には戻りたくは無い。


「全裸からやっと文明人なれた気がするよ」


 野盗どもはすでに兵士に渡され、報酬は後で街の冒険者ギルドに取りに行くらしい。

 報酬は俺が思っているほど高くは無いらしいが、逃げた馬を新たに買っても十分お釣りが出るくらいは貰えるとか。


 それと護衛の冒険者たちの遺体と遺品も兵士に預けた。

 これから街の火葬場で荼毘に付され、遺品はギルドを通じて遺族がいれば遺族へ送られるそうだ。


 そのことを伝えに来た中年兵士の顔は微妙に疲れた様な表情をしていて少し気になったが、夜勤明けなのかもしれない。


「おつかれさまです」


 つい前世のノリでそんな言葉が口に出てしまった。

 兵士は俺に小さく片手を上げて応えると「行って良いぞ」とだけ告げて馬車を離れていく。


「こちらも準備が出来ましたよ」


 兵士を見送っていると、馬車に新しい馬を繋いでいたマーシュから声が掛かる。

 野盗という曳き手を失った俺たちは、門の近くにあった馬屋で新たな馬を購入したのだ。


 馬屋には十頭ほどの厳つい馬が並んでいて、なかなか圧巻で。

 その姿はサラブレッドというよりはばんえい競馬でそりを引いている馬に近い。

 テレビでしか見たことは無かったが、実際そんな馬を目の前にするとかなりビビる。


 無敵の力が心を落ち着かせてくれなければ少しチビってしまっていたかもしれない。

 この歳でそれは嫌すぎる。


「それでは街の中へ向かいますよ」


 マーシュが手綱を引き馬が動き出す。

 力強い馬に曳かれながらゆっくりと門から街の中へ入ると一揆に視界が開けた。


 目に入る町並みはまさにファンタジー世界のそれで。

 俺は思わず感嘆の声を上げてしまう。


「うわぁ……」

「ここがジモティの街です」


 街の中を興味深げに見ている俺にマーシュがRPGのNPCみたいな言い方で街の名前を教えてくれた。

 もう一度話しかけたらまた同じことを言ってくれたりして。


 そんなあり得ないことを考えていると、マーシュが「ところでアンリ様」と前を向いたまま話しかけてきた。


「アンリ様はこれから何か予定はありますでしょうか?」

「予定ですか? そうですね……とりあえず魔石を売ってお金を作ってから宿を探そうと思ってますけど」


 俺はそこまで口にしてから思い出した。


 そうだ。

 この世界で魔石は売れるものなのかどうかをマーシュに聞くのを忘れていた。


 今俺の持っているものでお金になりそうなのは魔石とピョン吉だけである。

 そして出来ればピョン吉は売りたくは無い。

 何度も死線を共にくぐり抜けてきた仲なのだ。

 戦友と言ってもいい。


 まぁ、マーシュから価値を聞かされたときはちょっと気持ちがグラついたが。

 それもあの時だけで今はピョン吉の寿命が尽きるまで面倒を見てやりたいと思っている。


 だけどもし魔石が売り物にならないのなら――その時はしかたない。


 背に腹は代えられん!

 出来うるなら優しくて可愛い女の子に飼われるように祈ってやろう。


 というわけで俺は恐る恐るマーシュに聞いてみる。


「えっと……魔石ってこの街で売れますかね?」

「魔石ですか? たぶん買い取りしている店はいくつかあると思いますが。何せ私もこの街に来るのはずいぶんと久しぶりでして」


 意外にもマーシュはこの街の商人ではないらしい。

 そういえば依頼されて荷物を運んでいるとしか聞いていなかった。


 それにしてもよかった。

 どうやらこの世界でも魔石は無価値では無かったらしい。


「宝石店とかですかね? ちなみにこんな魔石なんですけど」


 そういいながら俺は腰に下げた袋から一つ魔石をつまみ出す。

 すると――


「っっ!!!」


 マーシュが突然驚いた表情を浮かべ、手綱を思いっきり引っ張った。

 そのせいで馬車が急ブレーキしたように大きく揺れる。

 もちろん馬車にブレーキなんてついてはいないが。


「あ、アンリ様っ。それをすぐに仕舞ってくださいっ」

「えっ? うん」


 俺はマーシュに急かされる様に急いで魔石を袋にしまう。

 そのあいだ彼はなにやら辺りをキョロキョロと見回して、そして大きく息を吐いた。


「俺、なにかやっちゃいけないことやっちゃいましたか?」

「良かった。誰にも見られてなかったみたいですね」


 そう言いながら止まった馬車をもう一度動かすマーシュ。

 動き出した馬車は先ほどまでのゆったりした動きでは無く、かなり速度が上がっていた。


「とはいえ早くここを離れて安全な場所まで行きましょう」

「安全って……街の中で危険なんてあるんですか?」


 俺の言葉にマーシュは一瞬きょとんとした表情を浮かべる。


「当たり前じゃ無いですか。そんな高価な魔石を持ってるなんて知られたら大変なことになりますよ!」

「ええぇ……」


 後で知ったのだが。どうやら俺が何気なく見せた魔石はとんでもなく高額で売れるものだったらしい。

 例えるなら何億円もする宝石を街中で見せびらかした様なものだったとか。


「とりあえず安全な場所まで急ぎましょう」


 戸惑う俺を余所にマーシュはそう言うと街の奥に向けて馬車の速度を更に一段上げたのだった。


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『悪徳領主の息子ですが、父の真似をしたら名君と呼ばれてしまいました』
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