表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救国の魔女と滅国の皇子~プログラマーは魔法も作れる!?~  作者: 一条弥生
不憫なプログラマーの異世界転生
2/73

2.女神様は激怒した

何も見えず、何も聞こえない。


あれほど苦しんだ痛みどころか、なんの感覚もない。


まるで体自体が無いようだった。


ああ、そうか、私やっぱり死んだんだ。


じゃあここは死後の世界だろうか。


それにしては、漂っているだけのようだけど。


あ、死後の世界にも仕事はあるのかな。


私やっぱりプログラミングがしたいな。


『どういう事よ!!』


女性の叫ぶ声がはっきり聞こえた。


耳の感覚がないから頭の中で叫んでいるみたいだ。


『私聞いてないわよ!!』


声からすると30代後半くらいだろうか。


女性は酷く御立腹だけど、どことなく品を感じる。


『いや、話しましたから。』


今度は10代後半くらいの男の声が、面倒くさそうに返事をした。


右からは女性の声、左からは男性の声。


なんとなく、二人は私を挟んで見下ろす形で話をしていると分かった。


『誰に話したのよ!』


『だから覚えてないですって。担当者呼んでくださいって頼んだら出てきた男ですよ。』


こういう、性別以外の情報が無いクレーム結構あったなぁ。


女性は、深い深いため息を吐いた。


こういう相手は疲れますよね。心中お察しします。


『私が担当なの。私が聞いてないなら通したとは言わないわ。』


『でももう殺しちゃったし。』


ここでおそらく死んでいるのは私しかいないから、私のことだろう。


でも、私は心臓発作で死んだことに間違いはない。


状況と二人の会話を整理して、私は気付いた。


この二人。


『私に説明もせずに魂を持っていくなんて許さないわ。ましてや、魂の重みもわからない神が管理する世界に入れるなんてこと、夫に死体を見られるより許せない。』


やっぱり神様だ。


女神様が怒っている理由は、私が別世界の神に勝手に殺されて、魂を持っていかれそうだからなのか。


頑張って女神様。


私、殺人犯のところには行きたくないです。


『こっちの世界のために必要なんだよ。魂一つ動かすことくらいに目くじら立て』


大きな破裂音がマシンガンのように連発して、男性神は情けなく、すみません、と、か細い声で言った。


そして、女神様のお説教が炸裂した。


この男性神、相手に無断だっただけではなく、女神様に説明をしなかったらしい。


とんでもない神様だ。ますます行きたくない。


『だから、連れていくには、私の同意と、私が指定した加護を授けなければいけないのよ。』


『すみません...』


『不憫な魂。あら、魂が目覚めているわ。無理やり持ち出されたせいね。』


女神様、元の世界に戻してください。


『死んでしまったから、それは出来ないわ。ごめんなさいね。』


話出来るんだ。


『あなたが向こうで課せられた使命を全うして、幸せに暮らせるように、私が話しをするから、大丈夫よ。』


行くことは決定なんだ...。


『だから、今は眠っていて。』


何故だか、すごく心地がいい。


体が無いのにうとうとする。


『あっ!思い出した!イザナギだ!』


『そう。思い出してくれてありがとう。おかげで用事が増えたわ。』


まさか、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)?だったらこの女神様は、伊邪那美命(いざなみのみこと)だ。


さっき、夫に死体を見られるって言ってたし。


発言の全てが腑に落ちた。


私はもう話す力も無くなって、声が遠のいていった。


転売ヤーが落ちる地獄が本当にあるのか聞きたかったなぁ。


私は心地良さに負けて眠りに落ちた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ