表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/61

次の一手を打つのなら

「わ、私は・・・、頼まれただけでございます!」


ダニーは震えて泣きながら、跪く。


「誰に?」


ティモシー王子が、前に出てきて尋ねる。


「ひ!

い、言えば家族の命はございません。」


私は、直感的に左大臣だと思った。


ライオネルから渡されたのかと思ったが、この震え方から見て、身分がかなり上の人から命令されて、渡されたのだと思う。


「レモニー様からではないことを、認めるのですね?」


ライカが優しく念を押す。


「はい!

それは違います。

あ・・・。」


ダニーは慌てて口を塞ぐ。


ティモシー王子は眉根をよせて、ライカもこちらを見る。


すると、キーアイテムを手に入れた時の、効果音が流れた。


「レモニー様、『重要な証言』、『レモニーのワイン』、この二つに印が付きましたわ。」


ライカが、おそらくゲーム画面のキーアイテム欄に、表示されたであろう文字を読み上げてくれる。


これだけは、プレイヤーであるライカにしか見えないし、わからない。


私は、このゲームのキャラクターの一人に過ぎないからなぁ。


そう思いながら、私は頷いてダニーを見た。


「あなたと、あなたの家族を私たちが全力で守るわ。

毒入りワインを、あなたに渡したのは誰?」


ダニーは、まだ震えて口を結んだままだ。


「レモニー様、左大臣の力は時として王子を凌ぎます。

このダニーもそれがわかっているから、怖いのです。」


と、シャーリーンが言った。


「なら、シャーリーン。

ダニーの家族を誘拐してきましょう。」


「えええ!?」


「レモニー!?」


「・・・、普通に連れてくるとおっしゃればいいでしょう、レモニー様。」


「ごめんあそばせ。

ダニー、家族は何人?

どこにいるの?」


「じ、城下のはずれに、妻と子どもと全部で5人。

妻も私も孤児だったので、親や兄妹はいません。」


ダニーの言葉に、ティモシー王子はすぐに近衛兵を呼ぶ。


近衛兵を連れて、近衛隊長が部屋に入ってきた。


「このダニーの家族を、すぐにここへ連れてきてください。


今日は婚約パレードがあった日ですから、お店もたくさん出ているはずです。


案外その辺をうろうろしているかも。」


私が近衛隊長に向かってそう言うと、近衛隊長が困ったような顔をした。



「どうした?

隊長。」


ティモシー王子は、近衛隊長に尋ねた。


近衛隊長は、咳払いをして、


「いや、たった今同じ命令を左大臣から受けたのです。

ダニーの家族をすぐに捕まえて、城へ連れてこいと。

私の部下が、何人かもう向かっております。」


と、言った。


ダニーは立ち上がり、近衛隊長の胸ぐらを掴んだ。


「な、なぜ!?

私は、左大臣からワインを受け取ったなんて、王子にもレモニー様にも話していないのに!?」


そばにいた近衛隊長の部下が、慌ててダニーを引き離している。


「ダニーが王子に呼ばれるところを、ライオネルに見られたのかもしれません。」


と、シャーリーンが冷静に言った。


「ライオネル?

奴は信用できる。

ライカの危機をいつも知らせてくれた。」


ティモシー王子が、驚いたように言う。


「その危機を作り出したのも、ライオネルである可能性が高いのです。」


私が言うと、ティモシー王子は目を見開いた。


「・・・おっしゃりたいことはわかります。

でも、私は何もしていません。

数々のライカ様にたいする嫌がらせ、悪質な行為全部、命じてなどいません。」


「信用しろと?」


「おかしいと思いませんか?

なぜ、いつもライオネルが知らせるのか。

なぜ、いつも間に合うのか。

なぜ、いつも私の仕業と言われるのか。」


「お前はいつも、ライカが危険な目に遭うと、いい気味だと笑っていたのにか?」


「私が黒幕なら、笑ったりなんかしませんよ。

むしろ、ライカ様はお気の毒、どうなさったの?

と、心配して隠そうとするでしょ。」


「そういうものか?」


「ライカ様を本当に狙っていたのだとしたら、王子が助けるのを見て、もっと悔しがるものです。

少なくとも、その辺の気持ちを上手に隠せる性格じゃないし。」


と、私が言うとティモシー王子は、頷いて納得してしまった。


・・・、これはこれでなんだか傷つくわ。


「と、とにかく、すぐに左大臣ではなく、ここへ連れてきてください。」


ライカが、近衛隊長に向かってお願いする。


「はい!ライカ様のお心のままに!」


近衛隊長も、近衛兵たちも満面の笑みで、出て行った。


・・・、さすがヒロイン。

近衛隊長や、近衛兵の心まで掴んでるのね。


「レモニー様。

左大臣は、強敵です。

そしてライオネルも、先が読めない相手。

むしろこちらが先手を打たれる可能性が高い。」


シャーリーンが、難しい顔をして話す。


確かに。


左大臣もだけど、ライオネルがカードのジョーカーのように思えてならない。


もう一つの証拠である、ケルフェネス王子の元にあるあの毒入りのワインも、しっかり押さえておかないと不安ね。


「ティモシー王子、ケルフェネス王子にあの毒入りのワインを持ってくるよう、お話ください。」


と、私は言った。


「わかった。

レモニーは隠れていろ。

あいつはまだ、お前が犯人だと思っている。」


と、ティモシー王子が言うと、ライカが進み出た。


「私が行きます。

ティモシー王子はここで、ダニーの家族が来るのを待っていてください。

私が言った方が、ケルフェネス王子も、聞いてくださるでしょう。」


確かに!

ケルフェネス王子は、ヒロインにすでに恋している。

すぐに応じてくれるわ。


恋愛ゲーム、て、本当にヒロインに都合よくできてる世界よね。


「シャーリーン、あなたもここで、ダニーといてあげて。

私はライカ様と一緒にいきます。」


と、私が言うと、王子とシャーリーンは、慌てたように首を振る。

その様子を見て、私は侍女のドレスを見せながらクルリと回る。


「大丈夫ですわ。

せっかくこの格好ですもの。

ライカ様の侍女のように振る舞いますから。

それに少人数の方が怪しまれないでしょ。」


シャーリーンは、心配そうに私の手をギュッと握り締めた。


「どうか、ご無事で。

くれぐれも油断してはいけません。」


「わかってるわ。

シャーリーン。

ダニーとワインを必ず守って。

キーアイテム・・・じゃない、重要な証拠ですからね。」


シャーリーンは、無言で深く頷いた。



読んでくださってありがとうございました。

お気に召したら、ブックマーク登録してくださるとうれしいです♫ とても励みになります。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ