※マロマロ卿独白編(マロマロ卿視点)
まろは、ポヴァン国左大臣『マロマロ卿』でおじゃる。
いや、今や元左大臣でおじゃるな。
まろは、一度はこの国で権勢を大いに振るったでおじゃるよ。
しかし、ある女性を愛してしまった時からそんな人生が狂いだしたでおじゃる。
まろには9人の妻がいるでおじゃるが、それはそれでおじゃ。
その女性の名前はライカ姫。
一目で恋に堕ちたでおじゃるよ。
どこから来たのかわからぬのでおじゃるが、とにかく綺麗でキラキラしていたでおじゃる。
まろは、ライカ姫を妻に迎えようとしたでおじゃるが・・・ティモシー王子しか眼中にない彼女を手に入れるには、『彼女が欲しいもの』をまろが持たねばならぬでおじゃる。
ん?
それは愛なのではないかと?
長く共にいるには、『欲』こそ要でおじゃるよ?
『目立ちたい』『憧れられたい』『讃えられたい』『贅沢したい』『綺麗でいたい』『1番でありたい』『好かれていたい』などなど。
なぜまろが9人も妻を持てるかといえば、彼女らの欲を満たせるからでおじゃる。
当然、ライカ姫にも『欲』はあるでおじゃるよ。
一度手にしてしまえば、手放せなくなるほどの高みに、彼女を昇らせるでおじゃる。
けけけけ。
それは誰のおかげかわかれば、まろに嫁がざるをえなくなるでおじゃるからな。
まろはその作戦を侍従のライオネルに伝えて、実行させたでおじゃる。
奴はまろに恩があるでおじゃるから、逆らわなかったでおじゃるよ。
「レモニーをうまく使うでおじゃる。
敵対する悪役は、主役を輝かせるには最高の引き立て役でおじゃるからな。」
まろの言葉にライオネルは、無表情に頷いた。
「右大臣の力を削ぐために、すでに十分すぎるほどの悪女としての醜聞を流してまいりました。
世間は今後起こること全て、レモニーの仕業だと信じるでしょう。」
と、ライオネルは言ったでおじゃる。
その後も順調にことは進んで、まろはウキウキしていたでおじゃるよー。
もうすぐライカ姫が手に入ると、疑わなかったでおじゃる。
それが・・・それがまさか!
あの婚約パレードの後、事態が急変するとは!!
あのレモニーが、動いたでおじゃる。
証拠を揃え、身の潔白を証明。
ライカ姫が手に入らぬばかりか、まろの高貴な顔をぶったでおじゃる。
それに、ライオネルまで裏切ったでおじゃるよ!!
きぃぃぃでおじゃる!!
まろは左大臣を解任され、監獄へ行く羽目に。
しかし、天はまだまろを見放してはいなかったでおじゃる。
何せ、あのレモニーが次の恋の相手になったでおじゃるからなぁ。
気づかなかったでおじゃるが、レモニーも可愛いでおじゃる。
今度こそまろの妻にするべく、シャトラ国へ連れて行こうとしたのに・・・あっさりライオネルに奪い返されたでおじゃるよぉ。
あいつなんでおじゃる!?
まろの命令でレモニーを貶めたのは、奴でおじゃるのに!
シャトラ国に着いてから、まろはペヤパヤ大臣の庇護の元、レモニーを探していたでおじゃる。
どうやら、この国のどこかにいることは確かなようでおじゃるよ。
あの生意気そうなメイドのシャーリーンと、裏切り者のライオネルが一緒だそうでおじゃる。
ああ、レモニー。
早くまろの元へ来るでおじゃるよ。
魔女として処刑される運命を、まろが救うでおじゃるー。
そう思っていたのに・・・。
次にレモニーに会ったのは、ケルフェネス王子が王宮の自分の部屋に彼女を連れ込もうとしていた時でおじゃった。
ライオネルといい、このケルフェネスといい、何という手癖の悪い兄弟でおじゃる!?
元々シャトラ国の王族は、この手の色ごとが派手なことで有名でおじゃるが、まろのレモニーはダメでおじゃるよ!?
思わず、ケルフェネス王子の部屋に突入して、レモニーを救おうとしたでおじゃるのに・・・時既に遅く、二人は仲良くベットの上で抱き合っていたでおじゃる。
レモニーが困惑した顔で、まろを見たでおじゃるよ。
・・・ふ、こんな光景、9人も妻がいれば慣れっこでおじゃる。
「レモニー!
結婚は慣れでおじゃる!
妻は9人もいるから、過ちは許すことばかりで、慣れているでおじゃるよ!
気にしなくていいでおじゃるー!」
まろはこう言ったでおじゃるよ。
そう、いちいち気にしていては、女性とは付き合えないでおじゃる。
最後に『欲しいもの』を彼女に与えられるものが、勝利するのでおじゃるからな!!
まろは慈愛を込めた表情で、ケルフェネス王子の部屋から叩き出されるまでレモニーを見つめたでおじゃるよ。
そういえば、すぐに顔を兵士に掴まれたでおじゃったな。
いや、それでもまろのレモニーには、ちゃんと見えていたでおじゃろう。
一瞬の出来事とはいえ、そこは愛の力という奴でおじゃる。
そのまま、まろは地下牢に入れられたでおじゃ。
ペヤパヤ大臣も、ケルフェネス王子が失脚すればすぐに出すと言ってそのまま行ってしまったでおじゃるよぉ。
まろの金を使い込んで、今回の王位継承者暗殺の仕込みをしていたはずなのに、何という扱い!!
ま、この気持ちもレモニーを花嫁にすることで、消し飛ばすでおじゃるよ。
そのはずだったでおじゃるのに・・・。
聞けば計画は失敗。
失脚したのは、ミア第二王妃とペヤパヤ大臣だとか。
何やってるでおじゃる?
つまり、まろはレモニーを妻に迎えられないでおじゃるか?
「お前を迎えるのは監獄だ。」
ある日そう言って地下牢に、フェシャティナフィアの監獄から、キリ所長が来たでおじゃる。
この、安月給しか払えぬが故に、部下に裏切られた哀れな所長の分際でぇ!!
まろは、まろはレモニーと!!
と、思っていたら、レモニーが来たでおじゃるよ。
おお、ついに来たでおじゃるか!!
まろの愛しい花嫁が・・・。
「私はあなたと結婚なんかしません。
さようなら。
私はライオネルが好きなので。
あなたじゃありません。」
と、レモニーが言ったでおじゃる。
なぜ?
なぜにライオネル?
まろの方がイケメンなのに。
そう言っても、レモニーはまろに見せつけるようにライオネルにキスしたでおじゃる!!
わからんでおじゃるよ!
どうしてこんな・・・?
こんな屈辱・・・こんな苦しみはなんのために?
は!
そうか!
これは究極の愛の試練。
極限まで忍耐を試されているのでおじゃるな。
ははは、こんなライオネルみたいな若造より、まろの方が遥かに器が大きいことを証明しろということでおじゃるな!
わかったでおじゃる、レモニー。
いつまでも、この放置状態に耐えるでおじゃる!!!
それでまろの愛が伝わるのでおじゃるな!!
帰国後、今日も牢獄の中で耐えているでおじゃる。
ある日、キリ所長がやってきて、
「レモニー様は、ライオネル様とご婚約された。
結婚も近い。」
と、言ったでおじゃる。
なぬ?
ライオネルと婚約したと?
レモニーが?
結婚?
「お前もいい加減、レモニー様を諦めろ。
あの方の心がお前に向くことはない。」
というキリ所長の言葉に、
「まろは試されているのでおじゃる!」
と、言い張った。
「振られたことを受け入れろ。」
「振られた?
まろが?
いや、まろはレモニーの欲しいものを持っているでおじゃる!」
「何を?」
「富、権力、名声、愛、包容力!!」
「お前に権力はないし、名声は地に落ちている。
富はまだあるが、もはや現役の左大臣であるレモニー様の父親の財力には及ばない。
あと、愛も包容力もライオネル様の方が勝っている。
出番はない。」
「ふふ、どんなに仲が良くても、倦怠期は必ず訪れるでおじゃる。
その隙をいただくでおじゃる。」
「それはさておき、お前には9人の妻から離婚請求が来ているぞ。
お前の財産がこれ以上減る前に、貰って別れたいようだな。」
キリ所長はそう言った。
な、な、なぬ?
まろの妻たちが、別れると?
「理不尽でおじゃるな!」
「長年支えてきた妻たちをさしおいて、若い娘ばかり追いかけるお前こそ理不尽だろう。
ま、払うものは払ってやれ。
手元にいくら残るかは知らんがな。」
キリ所長が笑いながら去っていった。
まろは、それから離婚されたでおじゃるよ。
『欲しいもの』を与えるからこそ、夫婦でいられたわけでおじゃるからな。
もちろん、供給が滞ればこうなるわけで。
レモニー、ライカ姫、もう、そなたたちしかいなくなったでおじゃるよ・・・。
そう思って今日も元気に、二人に愛を誓うでおじゃる。
愛は金と違って、頭の中から生み出されるものでおじゃるからなぁ。
二人とも、伴侶と喧嘩したらすぐここへ来るでおじゃるよー?
まろは、広ーい心で受け止めるでおじゃるからな。
「二人とも来ないと言ってるぞ・・・。」
キリ所長が呆れたように、牢屋の外から呟いていた。
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〜これにて完結です。
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