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※後日談 婚約パーティーの余興

ここは、王族専用の旅客船『メーヴィ』のパーティー専用デッキの上。


ティモシー王子の(はか)らいで、私はライオネルとの婚約パーティーをこの船の上で開いている。


「レモニー、この続きはまた今度。」


ライオネルはそう言って、私の頬にキスをすると、駆け寄ってくるライカの方へ私の背を押してくれた。


あのね、プレイヤーライカが来てくれたの。


あれから、シャーリーンがケルフェネス王子の求婚を受け入れて、シャトラ国に嫁いでいったわ。


『困った生徒は、マンツーマンできっちり指導する』とか言いながらね。


でも、『指導』てなんだろう。

シャーリーンが幸せならいいんだけど。


そう思っていた日々に、ライカが来てくれたから余計に嬉しかった。


後日談『婚約パーティの出来事』が配信されて、ライカがまたこの世界にアクセスできたからね。


ハグをして、お互いの話題に夢中になる。


「相変わらずライオネルのキスは、さりげなくて素敵ね。」


と、ライカが、からかうように肘でつついてくる。


「ふふ、ありがとうございます。

その後はどうです?」


私はワイングラスを彼女に勧めながら、近況を尋ねることにした。


「あれから、ケルフェネス王子も攻略対象として解禁になったのよー!

ふふ、それにトゥルーエンディングも勿論何回もやってるわよ?

攻略対象も、ライオネル、ケルフェネス王子、ベクトリアル。

それに追加キャラもみーんな制覇(せいは)!」


ライカがワインを片手に、嬉しそうに話す。


・・・つまり、後半のヒロイン・レモニーである私を操作して制覇(せいは)したのね。


「すごいな。

私の知らないエンディングがあるんだ。」


と、私が言うと、


「そうよー?

新たにやり直したレモニーパートでは、レモニーを操作して面白かった。

でも、やっぱり・・・あなたと歩んだこの話の方が面白かった。」


と、ライカは寂しそうに言った。


「そんなに違います?」


「うん。

話の流れとしては同じだけどさ、あなたがいるこの世界ほど、面白くない。

ここの人たちは、もう本物でしょ?

でも、他は・・・本当にゲーム、て感じ。」


「そうなんだ・・・。」


「ふふ、それに何人もの王子たちと恋に落ちても、やっぱりティモシー王子が私には一番合うな。

思い入れあるもん。

そして・・・新しくやり直す時ね、やっぱりあなたを操作する時には、ライオネルを選んじゃう。」


「ライカ様・・・。」


「あなたたち二人の強い(きずな)と、愛を間近で見てきたから、どうしても他の人と恋愛させる時は、申し訳ない気分になるの。

もちろんゲームだから、プログラム相手に同情しなくてもいいんだろうけどね。」


・・・そう、気にしなくていい。

彼女が他の攻略対象とレモニーを恋愛させていても、こちらの世界には何も影響はない。


「でも、ありがとうございます。」


私が笑って言うと、ライカが意味深に笑う。


「それで?

そちらは変わらない?」


「え?

はい・・・変わらず。」


「ふふ、ライオネルは今人気上昇中よ。

キャラクターランキングでも、二位か三位に必ず食い込むの。

一位はやっぱりケルフェネス王子ね。

これは不動よ。

そして、ライオネルと僅差で順位を競うキャラクターがいるの。」


「ティモシー王子ですか?」


「はぁ・・だったらよかったんだけど、新キャラに抜かれたの。

ヒロインパートの方の新キャラなんだけどね・・・。」


ライカが説明しようとした時、ティモシー王子が私たちの席に、見知らぬ男性を連れてきた。


「ライカ、レモニー。

紹介するよ。

我が『ポヴァン』国の最大の貿易国、『エーゲルディス』国の皇太子『リュイ・ラ・ピノス』殿下だ。」


礼儀正しく挨拶するその人は、背が高く肌が日に焼けて浅黒い。

そして、瞳がほんのりと紫色で、かなりの美形だ。


「初めまして。

お二人ともこの国では、とても有名な美女だそうですね。

できれば、今のお相手に出会う前に私と出会ってほしかったです。」


と、言ってにっこり笑った。


私がライカと一緒にお辞儀をすると、ライカがさっと耳打ちしてくる。


「この人がその新キャラ。

私も一度攻略したんだけどね。

とっても気さくで優しいけど、仲間を傷つけられると烈火の如く怒って無敵の強さを見せるの。

ライオネルと同じくらい強いんだから。」


私が感心して頷いていると、リュイ殿下がいきなり布で目隠しをしてきて、私を抱え上げた。


「わ!

な、何を・・・!!」


「はーい皆さん、未来の花嫁を隠す『ポスアム』の時間です。

今回は私がこのレモニー様を隠します。

愛の力で彼女を探し出せるか?

はたまた探し出せずに、その愛をここで終えるか?

ライオネル様、勝負です!」


そのままリュイ殿下は、私を抱えてその場を駆け出した。


すごいスピードで、走っているのがわかる。

ど、どこに連れて行く気!?

階段を駆け降りているのがわかるわ・・・!

下の方に行ってる?


そのうち何か音がして、(やわ)らかいベットの上に降ろされて目隠しをはずされた。


よく見ると見知らぬ部屋に来ていて、リュイ殿下は部屋の扉の前で笑って腕を組んでいる。


「あの・・・あの!」


私は部屋の内側のドアにもたれかかる、リュイ殿下に話しかけた。


「ん?」


「ポ、ポスアムてなんです?」


「え?ご存知ない?

私の国では、婚約パーティーの花形のゲームです。

パートナーが、隠された相手を探し出して、その時間の短さで将来がわかるという占いも兼ねている。」


「占いも?」


「勘の良さや、判断力、そして探索能力、ここを探し当てるには、あちこちに仕掛けられた謎も解かないといけない。

もちろん、美人の誘惑付き。

つまり、相手の誠意も見ることができる。」


リュイ殿下が楽しそうに説明する。


「あ、あの、このことライオネルは知ってるんですか?」


「シャトラ国にもこの風習があるかは知らないけど、ティモシー王子とライカ姫には伝えていますよ。

なぜ?」


「あの、ライオネルは不用意に他の男性が私に触れることを特に嫌がります。

下手をすると、リュイ殿下があぶな・・・。」


そう言った時、ドアの外を激しく叩く音がした。


「レモニー!!

大丈夫か!?」


ライオネルの声がする。

・・・相当怒ってる声だ。


「はや!

え、なんで?

謎解(なぞと)きする時間なんてあったか?」


リュイ殿下が目を丸くしている。


私は慌てて、扉の前にむかった。


「ラ、ライオネル。

大丈夫よ。

これはゲームなの。

誘拐(ゆうかい)とかそんなんじゃ・・・。」


と私が言うと、リュイ殿下が笑いながら、


「ライオネル様!

レモニー様を見つけ出すこの早さ、感服しました。

(なぞ)()きは楽しかったですか?」


と言ったが、ライオネルはさらに扉を強く叩いて、


「開けろ!

彼女を解放するのが先だ!

(なぞ)()きなんぞ一瞬ですませて、すぐに追いかけてきたからな!」


と、言った。


このスピードで!?

私は驚いてリュイ殿下と顔を見合わせた。


リュイ殿下は呆然として拍手し、私の方を見る。


「レモニー様、私は素晴らしい好敵手を見つけました。

ありがとうございます。」


と、リュイ殿下に言われて、


「い、いえ。

あの、そこを開けたいんですけど。」


と、私が言うと、


「ライオネル様、私と最後の勝負です!

簡単ですよ。

この扉は押しても引いても開きません。

横にスライドもできない。

どうやって開くでしょうか?」


と、リュイ殿下が叫んだ。



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