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点と点が結んだ線の結末

その後、ミア第二王妃が捕まったと、連絡が入ったわ。


私とライオネルは、王に呼ばれて、地下牢に向かったの。


ミア第二王妃は、鏡だらけの異様な地下牢で目だけを光らせてそこに立っている。


(うら)(ごと)を言いにきたのか?」


と、ミア第二王妃が私を(にら)みつけながら言った。


「あなたがしたことは、許せないことよ。」


と、私は言った。

この人の心に届かなくてもいい。

言わせてもらう。


「それがどうした。

私は地位を望み、権力を望んだ。

そのためにやることをやっただけだ。」


「なら、どうして今そこにいるの?」


「・・・・。」


「なぜ昔、あなたはうまく国を動かせなかったの?

なぜ、あなたについていく人がいなくなったの?」


私の言葉に、ミア第二王妃の顔が(ゆが)む。


「私は間違ってない。

周りが悪かっただけだ。

私以外は(おろ)かなものばかりだから。」


「そのあなたがいう(おろ)かな人ばかりの上に、立とうとしたのよね?」


「・・・・。」


「最初から(おろ)かな人しかいないとわかってて。

なのにこうなったのは、その愚かな人のせい?」


「・・・。」


「おかしいのはあなただわ。

あなたが結んだ線の行き先がここだと言うのなら、あなたはやはり間違っていたの。

レモニカたちの犠牲も、みんな間違い。

あなたは、ただ悪いことをした。」


「小娘が!!

お前に何がわかる!?」


「あなたが間違っていたことは、わかる。

そしてあなたは反省などしないことも。」


「く・・・!」


ミア第二王妃が悔しそうに(うつむ)く。


そこに王がやってきた。


「お前の刑罰は、ニセバラ(むし)の効能を抜くことに決まった。」


と、言う王の言葉に、ミア第二王妃は初めて(おび)えた目を見せた。


「そ、それだけは・・・!!」


「お前が一番恐れているのは、人に劣るものが目に見えることだ。

お前は自分の美貌(びぼう)(おとろ)えを最も嫌う。

ならば、その目で(なが)めて過ごすといい。」


(おび)えるミア第二王妃の手を兵士が掴み、腕を格子(こうし)の外に引きずり出すと、そこに医師らしき人が現れて注射針を刺す。


その瞬間、ミア第二王妃の栗色の髪に、白髪が現れ始めた。


「あぁ!王様!

助けて!

体が重くなる!

ニセバラ蟲が抜ける!!」


「お似合いだ、ミア。

私の子供たちに手を出そうとするものは、たとえお前だろうと容赦(ようしゃ)しない。

してきたことの反省すらできぬのなら、ここで苦しむといい。」


言葉と眼差(まなさ)しはどこまでも冷徹(れいてつ)

本当に怖い王様だわ。


そのまま私たちはミア第二王妃に背を向けて、歩いて行こうとしたんだけど。


「まろは、レモニーと一緒じゃないと、帰らないでおじゃる!

レモニーと結婚して、この国で暮らすでおじゃる!」


と、言って別の牢の中で暴れるマロマロ卿がいたの。

もう、わかってないんだから!


私は彼の前に進み出たわ。

はっきり言ってやる。


「私はあなたと結婚なんかしません。

さようなら。

私はライオネルが好きなので。

あなたじゃありません。」


と言うと、マロマロ卿はキョトンとしてたわ。


「レモニー?

まろのどこが嫌いでおじゃるか?」


「私を利用した張本人ですよね。」


「チッチッチ。

昔のことは、食べてしまった夕飯みたいなものでおじゃるよ。

どうでもいいことでおじゃる。

ライオネルとマロの違いは、イケメンであるかどうかでおじゃろ?

心配ないでおじゃる。

まろは容姿、性格、財力、その他何も(おと)らないイケメンでおじゃるよ!」


「さようなら。

二度と会いたくありません。

大っ嫌い!!」


本当に(すく)(がた)い人。


「ライオネルは許せるのでおじゃるか?

そいつは実行犯でおじゃるよ?

命令はまろがしたでおじゃるが、手を(くだ)したのはそいつでおじゃるのに。」


その言葉にぴたりと足を止める。

私はライオネルと見つめ合って、


「彼は、ちゃんと(つぐな)ってくれた。」


と、言った。

そう、彼はちゃんと謝罪してくれたもの。


そして、またライオネルの頬にキスをした。


「いやー!

レモニー!

まろというものがありながら、なぜでおじゃる!

こ、これも愛の試練でおじゃるな。

どこまで許せるか試されているのでおじゃるな!」


なんてことを言う。

信じられない。

ここまでしてるのに!

王が後ろで大笑いをして、マロマロ卿を捕まえにきたキリ所長と話を始める。


「息子の件だが、マロマロ卿捕獲と引き渡しで、放免ということを貴国の王にも話をつけている。」


王の言葉にキリ所長も、


「はい。

話はうかがっております。

ご子息の犯行も実害はなく、ティモシー王子の嘆願(たんがん)もありまして、元々短い刑期でございました。

問題ございません。」


と、答え、マロマロ卿を引きずるように連れ出していく。


「レモニー!

まろの愛は不滅でおじゃる!!

どれほど離れようと、この放置状態に耐えるでおじゃるよ!

それでまろの愛を信じてたもれー!!!」


マロマロ卿の姿がみえなくなり、王が私に聞いてきたの。


「あれは、なんだね。

君のファン?」


私は首を振った。


「ただのストーカーです。

嫌いと言ってるのに、好かれてると思ってる変な人なんです。」


もう、会いたくないわ。

二度と。


それから、地下牢のベクトリアルも釈放されることになったわ。


シャーリーン、嬉しそうだったな。

彼も攻略対象なのかどうか・・・。

真っ赤になって照れて、可愛い男の子が好きならありかもね。


私はあれから、ライオネルたちと王家の茶会に来ている。


「いや、今回は本当にすまなかった。」


王が自ら頭を下げた。


「い、いいえ。

もうすんだことですから。」


私が手を振ると、ケルフェネス王子が、


(あやま)らせてくださいよ。

もう、何度もレモニー様は無実だと言っても父上は耳を貸さない。

自分で確かめるまで、何も言うなですから。」


と、言った。


「ま、それが父上ですよね。

わかってました。」


と、ライオネルが言った。


「スワンやケシェティもな、レモニーの言う通りにしたら、元気になったんだよ。

スワンは、皮膚炎を治すことを条件に、ライオネルのサインの偽造(ぎぞう)に手を貸したんだそうだ。

許してやってくれ。」


と、王が言うのでほっとした。


スワン姫もケシェティ王子も、自分の席からお辞儀をしてくれる。

メロディー姫は嬉しそうに手を振ってきた。


カチャリナは、乳母とケーキを頬張(ほおば)っている。


「それなら、いうことありません。」


私がお辞儀を返して笑うと、王もにっこり笑う。


「それで・・・あの話は本当なのか?

ライオネルとケルフェネスを二人とも籠絡(ろうらく)したというのは・・・。」


「い、いえ。

その・・・。」


「そりゃもう、私も夢中ですよ?

ね、レモニー様?

一緒にベットに入った仲ですもんね?」


私が顔を赤くして、ケルフェネス王子を見ると、ライオネルが目の前のケーキにグッサリとフォークを突き立てた。


「こうなりたいか?

ケルフェネス。」


「ま、まさか・・・兄上、たらも・・・。」


ケルフェネス王子が顔を青くして、王の後ろに隠れる。


「怖い怖い。

いや、レモニーの(あご)を剣ですくった時に、私を見つめる目がとても美しくてな。

あの状況下で、(ひる)まないレモニーに私も思わず()かれたよ。

ライオネルには勿体(もったい)ない。」


「本当ですよ。

兄上ばっかりこんな素敵な人と。

あーあ、私がレモニー様を恋人にできる道筋はないものかなー。」


ケルフェネス王子の言葉に、それは他のプレイヤーが選択するかもですよ?と、心の内で答えた。


そして、私はライオネルの手を机の下で握る。


ライオネルも気付いて、しっかりと握り返してくれた。


「さて、ライオネル。

お前はこのままどうするのだ?

王室に戻る気はないか。」


王の言葉に、ライオネルは首を振る。


「私は王室を出たものです。

・・・それに父上は最初から、ケルフェネスを後継者にと思っていたでしょう?」


「知っていたのか。」


「一番長く父上の子供をやってますからね。」


「ま、お前は情が深すぎる。

人としてそれは良くても、王に向かない。

冷酷な判断を情が邪魔して、結局多くを失うことになるからな。

その点ケルフェネスは、それができる。

だが、鋭すぎる刃は流す血を多くする。

ケルフェネスには、(さや)になる相手が必要だ。」


・・・ケルフェネス王子を攻略対象にするヒロインは、彼の(さや)になれる人なのね。

ライカ、聞いてる?


(さや)にね・・・。

レモニー様、私の(さや)になってください。

私はレモニー様だったら、いつまでも大人しく収まってますよ。」


「ケルフェネス、お前の刃をここで折るか、()びさせるかしてやろうか。」


「父上!

兄上のどこが情が深いんですか?

私より冷酷だと思います。」


茶会に笑い声が響く。


もしかしたら、凄惨(せいさん)な茶会になっていたかもしれないこの瞬間を守れたことに、心から安心してるわ。



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