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見え隠れする事件の謎

ミア第二王妃は、私が入った牢屋に近づくと、中を覗き込むように顔を近づけてきた。


ちょうどそのとき、船の汽笛が鳴って、出港の時を知らせている。

振動が響いて、船が動き出した。


「真相・・・て?」


私が呟くと、彼女は睨むような目で見つめてくる。


「色々とパム村を調べていたようじゃの。

どこまで掴んだ?」


凄むような声音で言われる。


・・・まさか、これまで手に入れてきた情報の中に、真相を示すものが紛れているの?


わかっていることは、レモニカの処刑執行書は第三者による偽造で、犯人は当時の皇太子パティスンである疑いが濃厚ということくらい。


あとは、王家の後継者は皆同じ筆跡になるよう訓練しているということ。


それに・・・ライオネラは、偽造に気づかず自分の責任だと悲嘆してレモニカの家で暮らしたこと。


待って・・・同じ筆跡?


確か当時の王家の跡取りは5人の兄弟。


あの時、後継者になれる年齢だったのは、長男ライオネラと次男パティスン。


残りの3人のことは、ほとんど何も知らない。


唯一知っていることは、末っ子が上の兄弟が亡くなったことで、王位についたことくらいかな。


本当に処刑執行書の偽造は、パティスンの仕業なの?


レモニカの死が仕組まれたものなら、パティスンが彼女に好意を寄せていたのも、なんだか嘘っぽい。


パティスン自身が、知らない間にヒメボレトを飲まされて、レモニカに付き(まと)った可能性も否定できない。


全てはレモニカを奪われたくない、パティスンの犯行に見えるように仕組まれてるんじゃ・・・。


それによって、何を隠してるの?


陰謀の目的は、末っ子を即位させるために、呪いに見せかけて他の後継者たちを殺すことだったみたいだけど。


まだ、何かある。


「・・・その顔、何か知っているな?」

 

と、ミア第二王妃が、目を細めて言った。


カマをかけてみようかな。

どうせ公開処刑する気だろうから、ここでは殺さないはず。


「そうですね。

レモニカの処刑執行書は偽造されたもの。

そしてパティスンに疑いが向くように、彼に媚薬を飲ませて、レモニカに迫らせたこととか?」


そう言うと、ミア第二王妃と、ペヤパヤ大臣の顔色がさっと変わった。


あ・・・れ・・・?


まさか図星!?


「ま、まさか、お前!

知っているのか!?

あの時、キッファ王女がサインしたことを!」


キッファ王女?

だ、誰それ。

5人兄弟のうちの一人は王女?


それでも、動揺を見せちゃダメ。


「他には・・・!?

他には何を知っている!?」


牢屋の柵に手を置いて、ミア第二王妃は声を荒げる。


よほど核心に近づいているのかしら。


そこへ、船室の扉をノックする音がした。


「何事じゃ。」


ミア第二王妃が、扉の方を向いて言う。


「ケルフェネス王子様が、いらっしゃいました。


毒入り茶葉の入手ルートを洗い出しに来た折、魔女レモニーが捕まるのをご覧になったそうです。


自分も魔女レモニーを尋問したくて、この船にご乗船されたと。

いかがいたします?」


と、扉の向こうから質問されて、ミア第二王妃が私の方を向き、悔しそうな顔をする。


「この女は何か知っている。

ケルフェネスに知られるとやっかいだ。

どうする?

ペヤパヤ大臣。」


と、ミア第二王妃に言われ、ペヤパヤ大臣は、顎髭(あごひげ)を撫でながら思案した後、


「我々が立ち合うでございます。

レモニー、下手なことは、ケルフェネス王子には言うなでごさいます。

ケルフェネス王子は、ミア第二王妃の前では、武器を持つことができない決まり。

だが・・・私は懐に銃があるでございます。

よろしいでございますな?」


と、言った。


私が頷くと、


「お通ししろ。」


と、ペヤパヤ大臣が言った。


すぐにケルフェネス王子が、一人の重装備の鎧を着た従者を連れて入ってきた。


「お久しぶり。

レモニー・ケル。

毒入りワインの次は魔女疑惑か。

よく嫌疑(けんぎ)がかかる人だな。」


と、ケルフェネス王子は、この国で今初めて出会ったかのような態度で話す。


一度この国で会ったことは、秘密にしろ、てことね。


私は彼の後ろに控える、ペヤパヤ大臣と、ミア第二王妃の視線を感じながらお辞儀した。


「私も尋ねたいことがある。

こちらへ来い。」


と、言ってケルフェネス王子が手招きする。


私がそばへいこうとすると、ペヤパヤ大臣が間に入ってきた。


「なりませんでございます!

相手は魔女ですぞ?

近寄れば呪いが、かかるでございます。」


ケルフェネス王子は、腰に手を当てて首をかしげた。


「ほー?

レモニー・ケルは、ペヤパヤ大臣が腕を掴んで捕まえたとか?

ということは、大臣は既に呪われておいでで?」


「な・・・!

わ、私は王族ではないでございます!」


「魔女の呪いは王族だけ?

そんな話は聞いたことないぞ?

それにしても、美しい金髪だなレモニー・ケル。

王家を去って領主となったライオネラ様の、妹のキッファ王女様も、このような美しい金髪だった。

今も王宮の肖像画の華だ。」


ケルフェネス王子は、そう言うと、牢屋の柵に頬杖をついてにっこり笑う。


・・・!


何?

何か伝えようとしてる?


「ありがとう・・・ございます。」


と、私は言うと少しだけ近づいた。


「ふふ、怖がらなくても大丈夫。

ライオネル兄上を籠絡(ろうらく)して、国外逃亡させたという噂の女性だ。

私も籠絡(ろうらく)してみるか?

パティスン王子まで(とりこ)にした、レモニカのように。」


と、ケルフェネス王子は、面白そうにこちらを見ながら言った。


「いえ、あの・・・。」


「好きでもない男には近寄れない、か。


キッファ王女様も16歳にして、望まぬ縁談を王に強要されて、それはそれは気がおかしくなるほど嘆いていたと聞く。


回避できるなら、それがどんな要望だろうと従っただろう。


そなたも私に迫られれば、迷惑だろうな。


私に触れられたくなければ、茶葉のことを話せ。」


そう言うと、彼は片目を閉じて不敵に笑った。




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