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魔女と呼ばれたレモニカ

ところどころ補修されているようだけど、ここは知っている。


何故かわからないけれど。


玄関の前に『レモニカの家』と、書かれた立て札がある。


扉を開けて、中に入ると、懐かしさが込み上げてきた。


夢中になって家中を見て回る。


台所、客間、洗面所、それから自分の部屋。


どこに何があるかも、全部わかる。


「そ、そんなことあります?」


と、シャーリーンが、少し怖がるように言った。


「本当にわかるの。

あのね、その食器棚は色分けしてるの。

左側か青系統の食器で、右側が白系統の食器のはずよ。」


シャーリーンが怖々開いて、驚いていた。


「本当だ・・・。」


私は嬉しくなって自分の部屋に行った。


机にベッド。


小さな窓・・・。


それから・・・。


『彼』専用の椅子・・・。


机の引き出しを開けると、薬草を扱うのに使う道具が出てくる。


他の引き出しを開けていくと、小さなカラクリ箱が出てきた。


手順通りに開けていかないと、決して開かない特殊な作りになっている。


私は導かれるように、そのカラクリを解いていった。


中に入っていたのは・・・。


「日記だ・・・。」


シャーリーンが覗き込んでくる。


「あ、そ、それを開けたんですか!?」


その時、部屋の扉の方から人の声がした。


ライオネルも驚いて振り返る。


そこにいたのは、貴族の服装をした青年で、クルクルの髪に、大きな瞳が印象的な人だった。


「わあ!かわいい・・・。」


シャーリーンが思わず、両手を顔にあてて喜んでいる。


確かに、精悍というよりは、可愛らしい弟のような雰囲気の男性だった。


「あの、あなたは?」


私が尋ねると、彼は顔を真っ赤にして、お辞儀をした。


「し、失礼しました。

僕はこの辺りの領主ベクトリアル・ダナンと、いいます。」


・・・ダナン!


その名前に反応してしまう。


「ダナンというと、レモニカ事件の時の・・・。」


と、ライオネルが言うと、


「はい、ライオネラ・ダナンの子孫になります。

この家の管理も我々の勤めなのです。」


私は懐かしさと同時に、静かな怒りのようなものも感じていた。


抑えて・・・、この人は『彼』じゃない。


「それにしてもすごい。

その箱は誰も開けなかったです。

何が書いてあるんですかね?

僕も見たいなー。」


にこにことた無邪気な顔に、思わず笑みが溢れる。


私は日記を開いてみた。


日々の取り留めのないこと、それから、薬草のこと・・・愛する『彼』のこと。


幸せそうな日常が、とつとつと書かれている。


でも、日記が後半になるにつれ、異端審問官に付き纏われる日々に恐怖を感じていることが、書かれていた。


『彼は大丈夫だと言って、落ち着くように言うのだけれど、そうは思わない。

異端審問官は、私が薬草を渡した人たちに、何か聞いて回っているみたい。

早く来て。

怖くてたまらないの。

もう、この村を出たいのだけど・・・。』


似たような内容が続いて、最後のページに何か書いてある。


『彼は国の役人に掛け合うと言って、朝一番に早馬でかけていった。


村人がまるで領主に従わなくて、私をこの家に閉じ込めて外を見張っている。


みんなこの間まで普通だったのに、今は人が変わってしまった。


魔女狩りなんて、時代遅れもいいところよ。

異端審問官の権威が落ちてきて、それを復活させたいだけに決まってる。


はやく帰ってきて、ライオネラ。

今、誰か部屋の外に・・・。』


そこで日記は終わっている。


私は自然と涙があふれてきていた。


「そう・・・ずっと待ってた・・・。

必ず帰ると言う言葉を信じて。

でも、間に合わなかった。

いえ、処刑執行書に彼の文字でサインがしてあった・・・。

わた・・・私は・・・、そのまま・・・。」


「レモニー!」


ライオネルが、肩を掴んで自分の方を向かせる。


「しっかりしろ!

あなたはレモニカじゃない、レモニー・ケルだ!

引きずられるな!」


ライオネルの声に私はハッとなる。


「え?レモニー・ケル?

今、魔女という噂の?」


ベクトリアルが、驚いてこちらを見つめている。


「あ、あの、違うんです。」


シャーリーンが慌てて取り繕う。


「安心してください。

あんなの噂に過ぎません。

私の先祖、ライオネラの教えなんです。

人に魔女と疑われるものは、魔女ではない。

そう言われるものがあらわれたら、必ず保護せよと。」


にこにこと、ベクトリアルは笑う。


「今さら・・・!

彼はレモニカを売って、身の安全を買ったのでしょう!?」


私がベクトリアルに噛み付くように言うと、ベクトリアルは首を振った。


「まさか。

私の屋敷に彼の手記があります。

よかったらいらっしゃいませんか?

この日記を見せてくれたお礼です。」


その時、キーアイテム入手の音がした。


私はライカの手紙を開く。


『落ち着いて、レモニー。

全てを知るまで、呑まれてはだめ。

『レモニカの日記』

『ベクトリアルのお礼』

この2つがキーアイテムに入った。』


私は涙を拭うと、ベクトリアルの案内で、領主の屋敷に赴いた。


ライオネルが心配して、ずっと肩を抱いていてくれる。


屋敷につき、中に入ると、また懐かしい記憶が戻ってくる。


・・・ここも来たことがある。

やっぱり私はレモニカの・・・。


そのままベクトリアルの部屋に通された。


「ここは代々領主の部屋なんです。」


知ってる。

何度も来た。

ここでプロポーズも受けた。


なのに・・・。


部屋にはライオネラの肖像画もあった。


「なんとなくライオネルに、似てません?

いや、ケルフェネス王子かな・・・。」


シャーリーンがボソリとつぶやく。


私はその顔を見たくなくて、ライオネルの肩にしがみついた。


「これがライオネラの手記です。

レモニカのこと、たくさんでてきますよ。」


震える私に代わって、ライオネルが受け取る。


中を開いて、私にも見るように言った。


「いや!

裏切り者の手記なんて・・・!」


「読んでみろ。

あの日のことが書かれてある。」


読んでくださってありがとうございました。

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