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足りないピースは何かしら

左大臣が進み出て、ケルフェネス王子の前に立った。


「レモニーはライカ姫が言ったように、右大臣の娘なのでおじゃる。

権力者の娘ということで、目こぼししてきたのでおじゃる。

そして実害も、王子たちが素早くライカ姫を救ってくださることで、ほとんどなかったのでおじゃるよー。」


「だが、レモニー・ケルの犯行であることを、これだけ周りが知っている。

つまり、証拠があるのだろう?」


「それは、レモニーが昔から色々な悪事を働く令嬢だったからでおじゃる。

無知で、強欲で、非情で、無遠慮で、冷血な性格。

何かあれば、常にあの女が関わっていたのでおじゃる。」


「それを示す証拠はどこに?

まさか、性格だけでやったことになってるわけではあるまい?」


「証拠はあったはずじゃが、右大臣が握り潰していたのでおじゃろうな。

かわいい娘のために。」


「ほぅ。

そうなのか。

聞いていれば、ただただ、本人の性格だけで決めつけられているように聞こえる。」


さすがケルフェネス王子。

客観的に見れるんだ。


「火のないところに、煙はたちません。

私は実際何度もライカ姫の危機を、ティモシー王子にお伝えしておりました。

全て、レモニー様の指示あっての、犯行であったようなのです。」


ライオネルは、ケルフェネス王子に向かって説明し始めた。


「実行犯を取り押さえたのか?」


「ライカ姫誘拐の時は一度捕まえましたが、逃げられました。

その他はまったく。」


「レモニー・ケルの関与を示す証拠はでたのか?」


「・・・誘拐の実行犯は私の前で認めました。

逃げてしまったので、ここで証明はできません。


しかし、ライカ姫を傷つける動機をもつのは、レモニー様以外にいらっしゃいません。

ティモシー王子に熱烈に恋をしていた彼女にとって、ライカ姫は邪魔なのです。」


言いながら、ライオネルは、目を伏せる。


「はっきりした証拠もなく、関与も曖昧。

動機と性格だけが、こうも際立っているとはな。」


と、言うとケルフェネス王子が、ライカの方を見た。


「これだけ聞けば、レモニー・ケルこそ、諸悪の根源だというイメージが先行しますね。

それなのに、あなたはレモニー・ケルの無実の訴えを無下にしない。

素晴らしい女性です。」


眩しそうにケルフェネス王子に見つめられて、ライカが赤くなっている。


こ、これは次回の攻略キャラクターが、確定かしらね・・・。

ケルフェネス王子との恋が解禁されてれば、だけど・・・。


で、でも、これだけケルフェネス王子の言葉を受けても、キーアイテムの効果音がならない。


やはり何かまだ、足りない。


「とにかく、今は毒入りのワインをお持ちになられて、ティモシー王子と共に王様のところへ参りましょう。

王の前で、二つのワインを比較して、違いをはっきりさせるのです。」


と、ライカはケルフェネス王子に言った。


ケルフェネス王子も、


「いいでしょう。

ティモシー王子の持つワインと、このワインが別物であれば、まず一つ目の証拠となるでしょう。」


その瞬間、キーアイテム入手の効果音が流れた。


キーアイテムの1つは、やはり毒入りのワインだったんだ。


残るはあと一つ。


今そろっているのは、二つのワイン。

そして、左大臣からワインを使節団に渡すよう指示を受けていた、侍従のダニーの証言。


このまま王様の前に行っても、キーアイテムが不足したままでは、本来のルートに戻されてしまう可能性が高い。


何が・・・、あとは何が・・・。


ふと、シャーリーンの言葉を思い出す。


『ライオネルは、レモニー様の思惑を先読みして、常に手を打ってくる。

まるで、全てを知った上で行動しているように見えます。』


『レモニー様。

左大臣は、強敵です。

そしてライオネルも、先が読めない相手。

むしろこちらが先手を打たれる可能性が高い。』


・・・、そうだった。


今回もあと少し遅れていたら、毒入りのワインを奪われていたかもしれない。


何で先手が取れるんだろ。

忍者みたいなことしてるの?

それとも、やはりこのゲームで起きることを、知る立場にある特別なキャラクターなのか。


ライオネルが味方になってくれたらな。


敵だと怖いけど、味方になってくれたらこんなに頼もしいことはない。


左大臣の悪事も一番知ってる人だし。


レモニーが何もしてないことを、誰よりも知っている人でもある。


・・・え。


そこまで考えて、顔を上げてライオネルを見る。


まさか・・・まさか、最後のキーアイテム、て、ライオネルを味方にすることなんじゃ・・・。


どうやって?


レモニーは行動すれば結果の方が変わってくれるトンデモキャラ・・・そして・・・。


ライオネルみたいな人を引き込めるなんて、この世界でそんなことできるのは・・・、ヒロイン!!


「ライカ様、聞いてください。」


私は素早く耳打ちする。


ライカは一瞬驚いたが頷いてくれた。


「ケルフェネス王子、使節団の皆様、左大臣、ティモシー王子と合流して、先に王の元へ行っていてください。

ライオネル。

あなたには話があるの。

ここに残ってください。」


と、言うライカの言葉に、ライオネルは驚いたような顔をしていたが、他のみんなはヒロインの言うことを聞いて部屋を出て行った。


本当に都合よくできてるわ。


ゲームの世界、て。



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