表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/47

遭遇

応援ありがとうございます!

「もうっ! アドゥさんの凄さも知らないくせに好き勝手に言って!」


 あの後、俺達は薬草採取のクエストを受けたのが、エリーゼの機嫌は最悪だった。


「まあまあ、別に間違ったことを言ってる訳じゃないし」


「間違ってます!」


 ブチブチ!


 嫌な音を立てて薬草が引き抜かれる。もっと丁寧にやらないと商品にならないぞ~


「まあまあ。俺は気にしてないし。言わせたい奴には言わせておけばいいさ」


「むー」


 エリーゼはむくれるが、そんな顔も可愛──って違う!


「そう言えば何でエリーゼは俺のこと、“アドゥさん”って呼ぶんだ?」


「?」


「いや、パーティー組んでるんだし、呼び捨てでいいんだけど」


「それはその……アドゥさんの方が年上だからです!」


 そ、そうなのか? 同じくらいに思えるけど。


 って言うか、俺、エリーゼに自分の年を話したっけ?


「エリーゼは──」


 いや待て。女性に年を聞いていいのか?


「それよりアドゥさん、私のことは──」


 その時、森の奥の方から悲鳴が聞こえてきた。


「助けてくれ~」

「何であいつがこんなとこに!」


 荷物を捨て、手ぶらで逃げているところを見ると、よほど手強い相手に遭遇したのだろうか。


「どうしたんだ?」


赤暴牛レッドバイソンだよ! はぐれた奴がここまで来てるんだよ!」


 何っ……こんな町の近くにか


「俺が足止めをする。助けを呼んできてくれ」


「おおっ! 恩に着る……ってお前はさっきのタンクじゃねーか」


「Dランクのタンクに倒せるわけねーじゃないか!」


 よく見たら、逃げてきた二人組は冒険者ギルドで会ったロランとジョーだった。


「駄目だ、もう……」

「ああ、ここで死ぬのか……」


 死なないし、早く助けを呼びに言ってくれよ……


 そうこうしているうちに赤暴牛レッドバイソンの唸り声が近づいてくる。


「「ヒィィー!」」


 ロラン達は一目散に逃げ出した。


「アドゥさん、大丈夫ですか? 赤暴牛レッドバイソンは中級の魔物です。しかも、スタミナが桁外れと聞いています」


 エリーゼが杖を構えながらそう訊ねる。

 

「任せろ……とまで言う自信はないが、こんな近くまで来た赤暴牛レッドバイソンは流石にほっておけないしな」


 盾を構えながら俺は迷っていた。いくらパーティーを組んだとは言ってもエリーゼを巻き込んでもいいのかと。


「ですね! 私も戦います!」


 だが、エリーゼの答えは初めから決まっていたらしい。


(頼もしいな)


 俺はそんなことを思いながら、姿が見えた赤暴牛レッドバイソンにスキルを放った。


「【挑発ヘイト】!」


 赤暴牛レッドバイソンの視線が俺にロックオンされる。俺はすかさず【守護壁ガーディアンウォール】を発動し、盾を構えた。


「【体力上昇ディフェンス】!」


 打ち合わせ通りに結界石を設置したエリーゼは続けて俺にバフをかける。が、赤暴牛レッドバイソンはそれにも構わず俺に突っ込んで来た!


 ガキン!


 俺は真正面から受けるのではなく、少し斜めを向いて突進を受ける。すると、赤暴牛レッドバイソンの体が盾に沿って滑り、俺は魔物の背後をとることに成功した。


「今だっ!」


 俺は赤暴牛レッドバイソンに剣を突き立てる……が、さほど手応えがない。背後からじゃ急所は狙えないことに加え……


(肉がかなり硬いな)


 赤暴牛レッドバイソンは攻撃力だけでなく防御力も高いのだ。


「ブモモモッ!」


 ダメージはあまり無かったが、赤暴牛レッドバイソンを怒らせる効果はあったらしい。奴は角を振り回しながら俺に向かってきた。


「ぐっ!」


 とにかく耐えるしかない! 幸い突進と比べれば、一撃の威力は低い。しかし、反撃の隙がない……


 そう思っていると、バフがかかった。


(エリーゼの【敏捷性上昇クイック】だ!)


 これならっ!


 俺は攻撃の隙間を狙って剣を突きだした。が……


「ブモモモッ!」

「がっ!」


 俺の攻撃は怒った赤暴牛レッドバイソンの力に押し負けた。相手の手数が多すぎて攻撃を当てることさえ出来ない。


(くそっ……まずは距離を取らないと)


 幸い防御力は高いので、強い一撃には耐えられる。その直後に見せた隙に攻撃するというのが俺のスタイル……というよりそれしか出来ないのだが。


「【運気上昇ラック】」


 エリーゼのバフが届いた丁度その時、赤暴牛レッドバイソンに疲れが見えた。


 ここだっ!


「でやっ!」


 俺が突きだした剣は幸運にも赤暴牛レッドバイソンの目に当たった!


「モモモッ!」


 痛みのあまり、赤暴牛レッドバイソンが俺から距離を取る。


(よしっ、来い!)


 俺はしっかりと盾を構える。が、赤暴牛レッドバイソンが再び俺に突進するより早く、エリーゼがスキルを放った。


「【精霊賛歌】!」

読んで頂きありがとうございました! 次話は明日の7時に更新します!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ