ざまあ
ブクマ、ポイントありがとうございます!
大きな力になっています!
「いや、お前達も同じだ」
「何でよ!?」「有り得ない!」
ニノとシオンは本気で驚いた顔をするが……マジで?
「私達があの女より何が劣ってるというのよ!」
俺はニノの発言にちょっと……いや、かなりイラッとくるが、我慢した。今話すべきなのは、そう言う話じゃない。
「劣ってるとかそう言う問題じゃない。相性の問題だ」
まあ、正直に言えば、状況判断が適切で周りと呼吸を合わせた戦闘が出来るエリーゼはこの二人よりも冒険者としてはるかに優れていると思うが、それは口にしない。
「分かったわよ。じゃあ、私のこと好きにしていいから。それならいいでしょ」
は?
「おい、ニノ! 何を言い出すんだ!」
「だって、セシルはもう頼りにならないし。ここら辺が潮時かな―って」
「お前っ!」
「わ、私も……」
「シオンっ! お前もか!」
うっわ―、流石に引くわ―
「いや、お前らをそんな目で見たことはないから……というか、正直そんなことを平気で口に出来るお前らが信じられない」
本当、セシルは勿論、この二人とはとことん相性が悪かったんだろうな。
「恨んではいないが、もう構わないでくれ。俺はもう新しい人生を歩んでいるんだがらな」
「ま、待ってくれ! もう一度考え直──いや、もう少しだけ話をさせてくれ!」
「お願い、アドゥ! 何でも言うことをきくから!」
セシル達が叫ぶ中、俺は牢屋を後にした。コイツらにはもう金輪際会うことはないだろう。
※
その日の夜、俺達はミスカルデにいるウィズから今回の件の説明を受けた。
ちなみに何でそんなことが可能かと言うと、俺達がミスカルデにいた間に俺達の指輪を介して会話が出来る魔道具を作っていたらしいのだ。
「つまり、ルーンガイア王国以外の国でも魔物の活動かが活発化していてそれはローガンのような”四天王“の影響だろうということです」
ウィズのわかりにくい説明を翻訳してくれたのはいつも通りエリーゼだ。
「つまり、ルーンガイア王国以外の国でも今回みたいな騒ぎが起こってるってことか」
”もっと酷いですよ! ルーンガイア王国ではアドゥさん達が迅速に解決してくれましたからこうして平和になっているだけです“
平和といっても高速種は次々と発見されていて、遂に冒険者だけでなく、王国騎士団まで魔物退治に駆り出されていたりはするのだが。
”近く近隣諸国が共同して対策を話す会議が開かれることになってます。アドゥさんやエリーゼさんも聞いてるんじゃないですか?“
え? 俺はもう少し王宮でゆっくりしてくれと言われているだけだけど……
「まさか、それを知ればアドゥさんが何処かに行ってしまうと思って伏せているとか……」
なっ……だが、有り得るな。何でこんなに長々と厚遇してくれるのか、疑問に思ってたんだよ!
”まあ、会議の主役は間違いなく『守りの樹』でしょうからね。多分『守りの樹』を借りる順番やその対価を決める……みたいな話が中心だと思いますよ“
全く……こちとら自由気ままが性に合っているから冒険者をやっているというのに。
「私達は自由に生きたいから冒険者をしているというのに、ちょっと勝手ですよね」
エリーゼも俺と同じ気持ちのようだ。
”まあ、行動に制限がついてないなら今のうちに何処かに旅に出るのも良いんじゃないですか? 王宮にいなければ厄介事を押し付けようもないでしょうし“
「確かにな」
実は報酬として俺達は金貨二万枚を与えられており、今のところ生活には困らない。困ったことになる前にさっさと出ていくのが得策だな。
「アドゥさん、夜のうちに荷造りをして朝早くに出ましょう」
「そうだな」
”何か情報が必要なら言って下さい。その代わり、神器のデータは下さいよ“
「分かった、分かった」
俺がそう返答すると、ウィズは満足そうな顔を浮かべて通話を切った。さて……行き先はどこにしようか。
“勇者よ……”
ん、この声は……
読んで頂きありがとうございました! 次話が最終話になります。最後までぶっ飛ばしているのでお付き合い頂ければ嬉しいです。
まあ、あんまりこういうことは言わない主義なのですが、まだの方はブクマ、ポイントもご一考頂ければ嬉しいです。