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パーティ

ポイント、ブクマ、ありがとうございます!

「本っ当にありがとうございました!」


 町に着いた後、とりあえず寄った飯屋でエリーゼは俺に深々と頭な下げた。


「いや、もういいから頭を上げてくれ」


 俺は若干困りながらそう言った。大体、帰りに一緒になれてオレも助かってるのだ。


(確かにエリーゼが一人で帰るのは大変だったかも知れないけど)


 だが、それならそれで何故一人で危険な森にいたのかという疑問もあるのだが。


「実は私、クエストの途中でパーティーから追い出されてしまって困っていたんです」


 ん?


「バフしか出来ないエンハンサーは戦力外だって」


 エリーゼの身体能力強化魔法はかなり高いレベルだ。だけど、確かに身体能力強化魔法自体が皆から求められているとは言えないな……


 今はとにかく手数、次いで威力が重視されるのでいわゆるアタッカー以外は評価されにくいのだ。


「クエストの途中でそんなことを言われても困るって言ったら、その……」


 エリーゼは口を濁したが、その続きは大体分かる。この美貌だ。体を要求されたとかそんな所だろう。


 断れないようにするためにクエスト途中で話を持ち出した可能性さえある。胸くそ悪い話だが、アタッカー以外が正当な評価を受けないこの時代、無くはない話だ。


「生まれた森に戻るための旅費を稼ぎたいんですが、私一人じゃどうしようもなくて……」


「あんたのバフには助かったよ」


 別に慰めるつもりだった訳じゃない。単純に本当のことだ。


「や、そんなはずは……」


「俺はタンクだ。だが、あんたの身体能力強化魔法があれば攻撃を受けた後、反撃が出来る。おかげで楽に町まで帰れたよ」


「そ、そうなんですか……?」


 俺の言葉を聞いてエリーゼは戸惑っていた。おそらく今まで自分の力が認められることがなかったのだろう。


(気の毒にな……)


 だが、俺はパーティーの力はスキルやステータスで決まるのではなく、それぞれの相性で決まるものだと思っている。ただ、今はその考えに揺らぎが生じてはいるが。


(けど、もしエリーゼと組んで上手く行けば、此処の力よりも相性が大切だってことになるな)


 なら、試してみればいい。別にそれで損をするわけじゃないし。


「なあ、あんたさえよければしばらくパーティーを組んでみないか?」


「えっ!?」


「あんたは森に帰るための路銀が必要だし、俺は生活費が必要だ。お互い一人でクエストを受けるよりも効率的だと思うが」


 こうは言ったが、エリーゼが申し出を受ける可能性はほとんどないだろう。仲間から裏切られた直後に素性も知れない男から誘われも気乗りがしないに決まってる。


 が、エリーゼの反応は俺の予想とは違った。


「嬉しいです! あ、でも……他の方は反対されないですか……?」


「あ~ 実は……」


 俺が、いや、俺もパーティーから追放されたのだと知ると、エリーゼは非常に驚いた顔をした。


「えっ! そんな! 私、アドゥさんみたいに頼りになるタンクさんに会ったことないですよ!?」


「嬉しい話だが、タンクって役割自体がもう時代遅れだからな」


「そんな……アタッカーがかわしきれないほど速い攻撃をする魔物もいるかも知れないじゃないですか」


 っ!


 ち、違う! エリーゼにドキッとしたわけじゃない。俺が思っていたことと同じことを彼女が口にしたからだ。


 まあ、確かにエリーゼはどんな表情をしても綺麗だけどさ。


「パーティーの件、受けさせて下さい! 私頑張りますから!」


「じゃあ、よろしく頼む」


「こちらこそよろしくお願いします!」


 俺の手を握ったエリーゼは腕をぶんぶんと振り回す。えらいテンションだな……


 多分、自分の力が評価されたのが嬉しかったのだろう。エリーゼの力は確かなものだし、クエストを受ける中で自信をつけてやれるといいな。

読んで頂きありがとうございました。次話は十二時に投稿します!

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