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修業

ブクマ、ポイント、本当にありがとうございます! 毎日投稿の励みになっております!

「なるほど。コツは掴めてきたな」

「流石アドゥさんです!」


 俺はエリーゼに協力して貰いながら、神器の使い方を練習していた。


 ちなみに練習しているのは、競技に使われた実体のある魔物の幻がでる場所だ。ウィズの協力で使わせて貰っているが、彼女はここにはいない。悪魔(デーモン)が現れたことによるドタバタは収まったとはいえ、ミスカルデが平穏を取り戻すまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。


(ヘンリーさんからも王都に向かう準備にもう二、三日とかかると言われたしな)


 まあ、そのおかげでこんな時間がとれるとも言えるが。


(ウィズの言うとおり、神器は気持ち……というか、意思に反応するみたいだな)


 ちなみに俺にはウィズの話はちんぷんかんぷんなので、この知識はウィズの話を聞いたエリーゼから教えて貰ったものだ。


「あと、神器は持ち主に合わせてそれぞれ固有のスキルを生み出すそうですが」


「スキルか……今のところは何もないな」


 まあ、まだまだ使い慣れてないということかも知れない。


(しかし、あまり人目がつくとこで使うのはなあ)


 幸い、今回は悪魔(デーモン)に気を取られたせいで、神器の存在に気づいたのはごく小数の研究者だけ。皆は“凄いスキルで悪魔(デーモン)を倒した”くらいの認識だ。だけど、これからもそれで済むとは限らない。


「神器は魔物にも有効だそうです。普段から使ってもいいかも知れません」


 ウィズが言うには、魔物は悪魔(デーモン)の生み出した部下のような存在らしいのだ。


(確かにまたいつ使うことになるか分からないし、なるべく慣れておいた方がいいや)


 会いたくはないが、また悪魔(デーモン)に会う可能はなくはない。なら、普段から慣れておくのが得策だろう。


「じゃあ、少し実戦で使って見るか。エリーゼも付きあってくれるか?」


「勿論です!」


 それからしばらく色んな魔物との戦闘を繰り返した。


「そろそろ休憩しましょうか」

「そうだな」


 一息ついていると、突然勢いよくドアが開いた。

 

「すっごい! すっごいデータですよ、これ! 何ですか! 何なんですか!」


 ウィズか! 確か用事が片付き次第こちらに来るとは言っていたが、このテンションは何だ!?


「データって?」


「ここで行われた戦闘についてのデータですよ! 記録室で閲覧可能なのです!」


 げ……そうなのか


「すっさまじい力ですね! 予想外です! 私の予想を遥かに超えてます」


 そ、そうなのか? それより圧が凄いな


「アドゥさん、もっと、もっと戦って下さい! そうだ、私、昨日魔王に匹敵する凄まじい力を持ったスライムのデータを作ったんです! 早速戦って──イタッ!」


 興奮を通り越して、もはやパニックになりかけたウィズの頭を本で叩いて黙らせたのは白衣を来た長身の女性だった。


「はい、ストップ! 興奮しすぎよ。今日の目的はそっちじゃないでしょ」


「で、でも」


「でもじゃありません! 全く! あなたは研究のことになると何も見えなくなるんだから」


 白衣を着た女性はそう言ってため息をつくと、俺達に向き合った。


「ごめんなさい、騒がしくて。私はディアンヌ。研究者だけど、まあこの子の世話みたいなこともしているわ」


「はあ」「そうなんですか」


 俺達がそんな間の抜けた返答をしていると、白衣を来た人々が俺達が居た部屋に荷物を運び込み始めた。


「ウィズから聞いていたと思うけど、いくつか試してほしい装備があるの。気に入ったものがあったら格安で譲るから協力してくれない?」


 これはウィズから事前に聞いていた話だ。俺達は今、時間に余裕があるので付き合うと約束したのだ。


(まあ、神器のことを黙っててもらうためというのもあるが)


 俺が神器を持っていると知られたらどうなるか分からないしな。


「エリーゼさんはこちらに。着てみてほしいものがあるんです」


「わ、私にですか!?」


 ディアンヌさんと数人の女性研究者が部屋を出て行くと、俺は言われるがままに武具を装備し始めた。


(ふむふむ、一回だけ中級レベルの雷魔法を放てる槍か)


 槍だと相手と距離がある場合が多いから自分に当たる可能も低い。意表をつくのには良いかも


(あ、こっちの槍が放てるのは下級レベルの雷魔法。ん? 事前に特殊な帯電性の砥石で研いでおくと再度使用可能なのか)


 さっきのは一度使ってしまうと製作者のところへ持って行かないと行けないが、これは自力で手入れが出来る。


(ダンジョン踏破とか何日も町へ戻れない場合は自力で手入れ出来るって言うのは便利だな)


 まあ、いざという時の切り札が欲しいという考え方もあるし、最初の槍が駄目ってわけじゃないが。


「どうですか、アドゥさん?」


 そう尋ねてきた研究者達に自分の考えを伝えると、彼らは急いでメモを取った。


「な、なるほど」

「確かに! その視点はなかったです!」


 そんなふうに色々と武具を見たり、使ったりしながら感想を言っていると、唐突に部屋のドアがノックされた。

読んで頂きありがとうございました! 次話は明日の7時に投稿します!

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