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出会い

興味を持っていただきありがとうございます!

(アドゥ視点)


「くらえっ!」


 俺は疲れで隙を見せた子鬼ゴブリンの体に剣を突き立てた。


(これでクエストは終了か)


 俺がギルドで受けてきたのは、子鬼ゴブリンの間引き。初心者がやるようなクエストだが、俺一人ではこれが限界だ。


(何せ、体力勝負だからな)


 俺のクラスは『ガーディアン』。防御に特化したクラスで攻撃は得意ではない。だから、敵の攻撃に耐えまくり、相手が疲れて隙を見せてくれないと攻撃どころじゃないのだ。


「結界石と討伐の証を回収……っと」


 結界石とはバトルによる地形への影響を無くすためのアイテムだ。何せ子鬼ゴブリンでさえ大地を砕くご時世なので、これがないとそこら中がめちゃくちゃになってしまう。


 ちなみに魔物を遠ざけることもできるので野営をするときにも使える。


「何だ? 騒がしいな」


 一仕事を終えた俺に騒がしい物音が聞こえてくる。それを聞いて俺は一瞬で事態を理解した


(誰かが戦ってる!)


 俺は疲れた体を押して走りだす。こういう時にほっておけないのは俺の悪い癖だとよく言われたが……


(俺はガーディアン、誰かを守るのが仕事だ!)


 程なく俺は騒動の中心へとたどり着いた。そこには三匹の子鬼ゴブリンとそれらから逃げようとしている一人の冒険者がいた。


(あの金髪……エルフの女性か?)


 太陽に輝く金髪を見てそう考えると同時に、俺は結界石を足元に落として自分のスキルを発動した。


「【挑発ヘイト】」


 エルフを追い回していた子鬼ゴブリン達の注意が急に俺に向く。【挑発ヘイト】は敵の注意を自分に引きつけるスキルだ。


「【守護壁ガーディアンウォール】」


 続けて防御系のスキルを発動する。これはガーディアンの固有スキルで、相手の攻撃力分、自分の守備力を上げる効果がある。


(よし、これであのエルフが子鬼ゴブリンを魔法で攻撃してくれれば……)


 エルフは魔力が高く、召喚魔法や精霊魔法といった広範囲の敵をせん滅する魔法が得意な者が多い。俺が注意を引きつければ、子鬼ゴブリンを倒すくらい訳は無いだろう。


 ガスガスガス!


 子鬼ゴブリン達は気が狂ったように俺を攻撃する。【挑発ヘイト】は相手の攻撃力を上げてしまう欠点があるが、幸いそれはガーディアンの固有スキル、【守護壁ガーディアンウォール】の効果で補える。


 ガスガスガスガス!!!


 子鬼ゴブリンの攻撃が止まらない。あれ? 魔法は? そろそろ発動できてもいいんじゃないかと思うけど。


 フワッ


 その時、俺は急に体が軽くなったのを感じた。


(これは身体能力強化フィジカルエンチャントか? 何で……)


 身体能力強化フィジカルエンチャントは攻撃絶対主義の今は不人気な魔法だ。このご時世、とにかく敵を攻撃して相手に攻撃させる隙を与えないのがセオリーなので、パーティーのステータスを上げる暇があったら攻撃してくれよとなるのだ。


(【敏捷性上昇クイック)】)、【筋力上昇パワー】、さらに【運気上昇ラック】)……)


 自身にかけられた多種多様なバフに戸惑いながらも、俺は上がった敏捷性を利用して子鬼ゴブリンの攻撃を受けた後に攻撃した。


「ギャッ!」


 威力の上がった俺の攻撃は()()()急所に入ったらしく、子鬼ゴブリンは一撃で絶命した。


(これなら!)


 俺が同じように攻撃すると、残りの子鬼ゴブリン達も直ぐに骸に変わった。


「お怪我はありませんか?」


 子鬼ゴブリンを倒し、結界石と討伐の証である耳を回収していると、先ほど逃げていたエルフが俺の元にやってきた。


(!)


 うわっ……すっごく可愛い。ニノやシオンも(性格はともかく)可愛かったけど、正直この子とは比べものにならない。


「あ、ああ。大丈夫。問題ない」


 内心の動揺を抑えながら俺はそう応えるが、エルフは納得しなかったらしく、あれこれと俺の体を調べ始めた。


「おい、ちょっと!」


 嫌というより照れ……いや、汗臭いとか思われたくないから俺は慌てたが、幸いエルフは程なく俺が大きな怪我を負っていないことに納得してくれたようだった。


「良かった……魔物の攻撃をあれだけ真正面から受けて大きな怪我がないなんて。凄い防御力ですね」


「そ、そうか?」


 目の前のエルフが、屈託なくそう言うことに俺は戸惑った。防御力なんてものは幾ら高くても褒められるものじゃないからだ。


「あ、私ったら助けて頂いたお礼もいわずに! あの、私、エリーゼと言います。危ない所をありがとうございました」


 そう言うとエリーゼは俺に丁寧に頭を下げた。


(エルフはプライドが高いって聞いたけどな……)


 何か今まで聞いてきた話とは違うな。


「困った時はお互いさまだ。気にしないでくれ……って一人だよな?」


「はい……」


 俺の問いに何故かエリーゼは顔を伏せる。そんな顔も可愛いけど。


「俺はこれから町に戻るが、一緒に戻るか?」


「い、いいんですか? 私なんかが一緒で!」


 エリーゼは心底意外そうな声を出すが、一人より二人の方が安全だし、当たり前だと思うけどなぁ


「是非お願いします! お礼はしますので!」


 えらく腰が低いなあ……

読んで頂きありがとうございました!


次話は明日の七時に投稿します!

明日も三回更新する予定ですが、明後日からは一日一回の更新にします。

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