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第一戦目

応援ありがとうございます!

「【挑発ヘイト】!」


 スキルを発動した途端、子鬼ゴブリンたちの注意は俺に向く。よし、来いっ!


「【体力上昇ディフェンス】」


 エリーゼからのバフが届くと同時に、子鬼ゴブリンが襲いかかってくる。奴らの攻撃を数発受けた後、ようやく俺がスキルを発動させる隙が出来た。


「【守護壁ガーディアンウォール】!」

「【敏捷性上昇クイック】」


 【守護壁ガーディアンウォール】に防御力を更に上げ、さらにバフで敏捷性が上がったことで少し、俺の攻撃回数が増える。


(高速種が相手の時は特に自分たちの体制を整えることが大切だ)


 これは俺の持論だが、根拠はある。高速種はとにかく早く、攻撃力が高い。だから、こっちがちょっとした隙を作ってしまうとすぐにつけこまれてしまうのだ。


「【盾打撃シールドバッシュ】」


 子鬼ゴブリンがスタンを起こす。だが、ここで調子に乗っては駄目だ。


「【運気上昇(ラック】」


 よしっ! 


「くらえっ!」


 俺は子鬼ゴブリンの攻撃の隙間に剣を振るった。ウィズから受け取ったバフがかかる度に攻撃力が増す剣だ。今、三回のバフでこの剣の攻撃力はかなり上がっているから……


「ギギギッ!」


 子鬼ゴブリンは一撃で絶命した。


(よし、数が減って少し楽になったな)


 これでいい。確実に有利な盤面にしていくことが大切だ。


 そんなふうに戦っていると、子鬼ゴブリンの数はどんどん減り、程なく全滅させることが出来た。


(これて終わりか……? 意外とあっけないな)


 俺が若干の物足りなさを感じたその時、突然、何かが現れ、エリーゼへ向かって突進した。


「【機動防御カバーガード】!」 


 無理をしていない分、周りを見る余裕があった俺は突発的的な事態にもスキルを発動してカバーに入ることが出来た。


青子鬼ホブゴブリンの高速種か!)


 子鬼ゴブリンを倒して安心したところに本命が登場するとはなかなか嫌らしい課題だ。


(だがっ!)


 青子鬼ホブゴブリンは中級の魔物だが、既に俺には十分なバフがかかっている。それに散々倒してきた相手でもある。


「ギギギッ!」


 青子鬼ホブゴブリンが気味の悪い声を上げて攻撃してくる。俺はタイミングを見計らってスキルを放った。


「【盾打撃シールドバッシュ】!」


 カウンターが決まり、音もなく青子鬼ホブゴブリンが消えていく。それと共に、さっきの係員の興奮した声が聞こえてきた。


「これで一つ目の競技は終了です! なんと、『守りの樹』が最速かつ唯一のノーダメージ勝利を達成! これは史上初の偉業!」


 どうやら上手くやれたっぽいな。


「やりましたね、アドゥさん! これから勝ったも同然です!」


 勝った……? ああ、ニノとの勝負の件か。


「まだ分からないさ。アイツだって元A級パーティーなんだ。油断は出来ないさ」


 とは言いながら、控え室へ戻って他の参加者の成績を見ると、俺達の成績がずば抜けていることが明らかになった。


子鬼ゴブリンの波状攻撃に耐えられないパーティがこんなにいるのか……」


 俺達より前や後に課題に挑んだパーティの戦いの映像を見ると、青子鬼ホブゴブリンと戦う前に倒れたパーティがほとんどなのだ。


(で、万が一生き残っても青子鬼ホブゴブリンに瞬殺される、と)


 どのパーティも一匹目の子鬼ゴブリンを倒すのは俺達より早い。だが、すぐに持たなくなるのだ。


「あ、次はあの方ですね」

「あの方?」


 競技の様子が映し出される魔道具に映っているのは『銀の爪』だ。中でもニノは気合いが入っているというか、鼻息が荒いというか、とにかくテンションが高そうだ。


「アイツらの魔道具は……げっ!」


 競技が始まる前にそのパーティが使う新開発の魔道具が公開される。『銀の爪』が使うものは……


「ウイングソード 戦闘開始時、誰よりも早く攻撃出来る力を持つ。五ツ星魔道具」


 セシルが持つウイングソードは使い切りの魔道具で、効果を発揮した後はただの切れ味が良いだけの剣になるが、あまりにも強力な効果だ。


「ファイヤーステッキ 五分間【火槍ファイアランス】を無制限に撃つことが出来る。五ツ星魔道具」


 シオンの持つ魔道具がこれ。しっかし、これまた強力な魔道具だ。【火槍ファイアランス】が撃ちまくれるならどんな相手でも五分もかからずに倒せるだろう。


「バリアローブ 敵から受けるダメージを吸収し、無効化する。ただし、吸収できるのは自分のHPの十倍まで。六ツ星魔道具」


 じゅ、十倍!? それはもう戦闘中はダメージを受けないのと同じだな。


 このチ―ト魔道具を使うのはニノだ。あの自信の源はこれだな


「おいおい、なんだよそりゃ!」


「そんなのもってりゃ一位間違いなしじゃねーか!」


 今まで見た冒険者達の使っていた魔道具は三ツ星から四ツ星。ニノ達が持ってる魔道具は明らかに規格外なのだ。


(俺達の魔道具なんて一ツ星だったしな)


 まあ、俺達には合っていた訳だし、文句があるわけじゃないけどな。


「では、カウントします。3、2、1、スタート!」


 係員の声と共に競技が始まった!

読んで頂きありがとうございました! 次話は明日の7時に投稿します!

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