一区切り
一区切りなので次話から時系列と視点が変わるぞ
これまでは殆ど主人公一人の物語って感じだったけどこれからはたくさんキャラが出る予定
遂に俺は40層に着いた。
やっとというか、なんというか無事? たどり着けて一息つけた。
俺を応援してくれるファンのお蔭でここまで来れた。
みんなありがとう。神に感謝。
戦利品と荷物の重さを預ける肩が固くなって悲鳴を上げている。
きりきり締め上げられて、それは俺に甘く切ない小学校の生活の終業式を思わせるほどだ。
置き弁許さなかった教頭は絶対今でも許さねえけどな。
ああ、それにしても小学校時代は面白かったなあ。
思い出すだけでも心がぽかぽかする。
あの時はまだ社会の荒波にも不景気での喘ぎも経験してなくて、ひねくれずまっすぐな性格だった。
だから下校の際、裏門から出るにしてもスポーツでランニングするにしても毎回教頭の車が邪魔な位置取りで駐車するもんだったから、それに業腹な玉蹴りとバットで武装した坊主を集めて皆で囲って車を持ち上げて飼育小屋に定規で窓を開けた状態で放置したのだ。
何て幼稚な行いだったことか。
今なら陸上部を集めてリレーして売り飛ばしているだろう。
最近の車は直結で盗めないから昨今の盗み手も手を焼いているだろう。
ふぅ、これで一区切りつける。
後ひと踏ん張りだ。
30層に習ってボスがいないか確かめる。
そーっと扉を開いて中を覗く。
右を見て左を見て、上を見る。
うん、何もない。
40層はパッと見目がちかちかするモノクロな糞マップだった。
意識高い系の喫茶店とかがやりそうな彩だ。
そこにこれまたモノクロな提灯と灯篭が光源を確保していて、中央には鳥居が並んでいる。
雅なのかこれが趣深いもんなのか。
それにしても桜っぽい木が生えてんのはいいけどそれまでモノクロっていうのは行き過ぎなんじゃないかなあ。
葉緑素とかそういった問題で葉は緑であるべきだと言いたいのだが。
確か今遭難しているらしいアホどもが東京で初めてここのボスを撃破したと聞いた。
ボスがいないことは良かった。
下のボスの傾向から倒してから一か月から数か月リポップするまで時間がかかるらしい。
ここは初めて倒されたから、正確なことは分からなかったがまだ猶予があるのだろう。
居たらここでとんぼ返りも考えていた。
ボスがいない間は素通りできるがボスが出現すると次の階層への扉が内側から開かなくなるからだ。
望むなら帰る時までポップしないことを望む。
俺は荷物を担いで鳥居をくぐると戦闘痕が刻まれているのが目に留まった。
砕け、切断、へし折られ。
多種多様な、それこそ全部の種類があるんじゃないかと疑いたくなる破壊の数々。
中には一部地面が砂化しているところはいったいどんな協力な攻撃だったのか背筋が寒くなるし、建築物……地面を含むある程度硬度のある物質をひび割れとか起こさずアイスカップをスプーンで抉って食べたみたいな破壊痕は何だって言うんだ。
それだけやべー戦いだったのだろう。
俺にはきっとできないタイプの戦い方だ。
ベクトルが違うが門外漢の俺でもはるかに高い技量がある戦いだったってのはこの惨状を見ればわかった。
確か一部エリアには自動修復機能があるらしく美観を損ねることはないらしい。
そんな昔戦争があった歴史的建造物みたいなものを流し目で観光しながら歩いていたら鳥居の最奥、ちょうどまっすぐのところに扉が開いていて次の階層への階段が見えた。
いや階段のようなものだ。
丸い塔のような中に内側に階段が取りついているのだが壊れている。
一番下の階段、つまり俺が足を乗せる一段目の階段が顔をあげて見上げるほどのだいぶ高いところにある。
欠陥住宅も甚だしい。
きっと先行した人間のだろう。
紐が引っ掛けられていてそれを伝って登ったのは想像に難くない。
それをするすると登ると横から光が漏れ出していた。
塔に付けられている明かりを確保している窓かと思って覗いてみると東京一面を見下ろせる景色が見えた。
「ほぇー外見えるんかい」
つーかここ海抜幾らだ。
山とか色々登ったから体感での高さは分からないが果てしなく登った自覚はあるが、外との違いは確実にあるだろう。
やはりダンジョンは異界のようだ。
思い返せば20層にも30層にも、外を眺められる窓があった。
もうこのダンジョンでは何が起きても驚き……はするかもだがあり得るとは納得できる。
俺は上に続く階段を見上げて先に進んだ。




