え? 俺がアイドルに?
夏の暑さでPCのhddが吹っ飛び アマゾンでテキトーに見てたらよさげな新商品を待っていたり、コロナではないけど親戚関係でドタバタしたり エアコンでもひともんちゃくあったりと大変です 現在進行形で忙しい 更新頻度はおちるぞ٩(ˊᗜˋ*)و
俺が窓から身を乗り出して看板の建付けを四苦八苦していると早速、ドアが叩かれた。
管理人も食べ物を奪っていく時はノックせず入ってくるので、間違いなく客人だった。というか俺の知り合いはだいたい全員俺相手にだけはノックだなんてしない。今更ながらわが交友関係には苦笑を禁じ得ない。あいつら野蛮すぎー。
それにしてもこんな早くくるとは。まさに入れ食い。すげえ、大繁盛だ。こりゃあいいかもしれない。
手鏡で初対面の第一印象を良くするべく映るおのれ自身はきらりとまさに夜空にきらめく一番星。いいねー今日も輝いてるよー。
俺は記念すべき第一依頼人と相対すべくドアを開けるとそこに立っていたのはやはり見知らぬ男性だった。うん、知り合いじゃない。これほど知り合いに会わないことが幸せとは。
「ようこそ私立探偵事務所へ」
しかも現役の高校生探偵。いいね高校生探偵、良い響きだ。……う、頭が……。これ以上何かを追求するなら偉い人に怒られそうだ。
「え? 探偵やってらっしゃるんですか?」
俺のセールスなら満点間違いなしの笑顔に対して相手が投げかけてきたのはそんな言葉だった。
うん? ご存じない? じゃあコイツなんだ? 回覧板? 肉じゃが作りすぎておすそ分け?
取り敢えず部屋に入れて椅子に座ってもらい、俺はお茶を出した。
改めてその男性を確認するとスーツ姿で、片手にはアタッシュケースを持つ。なんというか普通だ。これほど普通が落ち着くとは。これはどこからどう見ても普通のサラリーマンだ。
そんな彼は胸ポケットから名刺を取り出すと俺に渡してきた。
しまった、ここは俺の失態だ。自分の名刺を作ってない。そのことを伝えると大丈夫ですと言われて、早速名刺を確認した。
アイドルグループマネージャー。大手の運営会社で所属レーベルも聞いたことがあるところだ。
まさか
「俺にアイドルデビューのオファーですか? 仕方ないなあ。一肌脱いであげちゃおうかな?」
「いや、違います」
「あ、出口はアッチです。階段にはお気をつけて。茶菓子は持ち帰るなよ」
何だ冷やかしかよ。信者はいないのにアンチが湧いた気分だ。
これも有名税として胸の奥底に仕舞っておこう。
いい勉強になった。
「ちょっと待ってください‼ あなたにも責任がある筈‼」
「何のこと?」
「月のクリスタルのことです‼ わが社は今回のことであなたの能力も何が起きたのか軍部から説明されているのです」
何だっけ? 月のクリスタル。あー、どっかで聞いたような。何か喉元まで来てるのに昼飯が詰まって出てこないや。まあ、忘れるってことはどうでもいいことだ。人間、大事なことは覚えているもんだから。まあ俺は大事な事でも忘れるけど。
取り敢えず相手が興奮してまくしたてるようにうるさく喋りだしたので要点を纏めさせて、簡潔に、刹那的に説明をさせた。
なんでも所属する冒険者アイドルがダンジョンで行方不明になった。冒険者アイドルっていうのはテレビ番組に出演したり動画配信サイトで歌いつつダンジョンに遠征して戦いもするそんな冒険者だ。
落ち目のアイドルが失業した時の保険と起死回生のチャンスを狙って金にものを言わせてノウハウを学んで冒険者をやっているのもあれば冒険者からアイドル家業に手を出して人気と知名度を欲しているの、そして会社が両方できるのを募集して所属者にそうあれとさせるもの色々いる。俺も冒険の技術の参考動画程度に今ではたまーに動画配信サイトをちょくちょくあさってお世話になっている。
そして月のクリスタルは引っ越ししていったドラゴンが欲しがっていたものだった。
やれでかい宝石だ珍しい原石だなんだかが見つかるとお偉いさんは一風変わった名前を付けて特別にしたがる。それなりに有名な宝石だったらしい。もちろん値段も驚きの価格だ。
そんで行方不明者を探すべく捜索隊の資金集めに月のクリスタルを売った。
正確には軍部に半ば強制的に徴収され、代わりに捜索の要望を出したらしい。
ふむそんな感じらしい。
確かに一見、俺は関わっているように見えるけど正確には請け負ったのは軍であって関係ない。
「軍も今はさ、ほら忙しいから高尾山とかそっちで。手が空いたら取り組んでくれるよ」
「それじゃあ遅すぎるんです‼」
そんなこと言われたって俺、関係ないし。二階堂は高尾山のダンジョンの間引きが終わったけど様子見も兼ねてこれからも高尾山を離れられないみたいだし、今あいている人材なんていないだろう。
「ゆっくりさ、やればいいんだよ。友人がファンで教えてくれたけど考察番組の専門家の意見でも生還は絶望的だって。死人ならもう少し待ってくれるよ」
「まだ生きている可能性があります‼ 所持している食料の量ならまだギリギリ持つはず。 きっとどこかで身動き取れないような状況なんです‼」
希望的観測じゃないか。
遭難者を救助しようとして二次被害では阿保らしい。ミイラ取りがミイラだ。
ちょくちょく思うが、雪山で遭難した奴は自分の娯楽のために来ていたのなら覚悟もしてほしい。
「あーはいはい。軍のね公式ホームページに市民からの要請箱があるから。俺もしょっちゅう苦情入れてる。おー奇遇だこれで俺達共感できた。なら俺の考えていることがわかるだろ、さっさと失せろ」
お帰りはあちらですと今度こそドアを指さして俺は肩をすくめる。冒険者だ、病気や交通事故で死ぬより例え薄暗くてかび臭い洞窟の中で死ねれば本望だろう。
そこでーーーーダン‼ とテーブルに叩き付けられるように依頼契約書が出された。
「例え死体でも発見報酬に150億、もし生還させてもらえば更に250億出します。あなたの負債額のことも知っていますから。確か探偵? をしているのでしたっけ? ならば捜索依頼としてお願いします」
な、何ぃいいいい‼
借金返済だと‼ しかも探偵依頼。
これは、もしかするともしかするよな。勝手に外出しようものなら俺は追跡されるが、二階堂が探偵活動に関して許可した言質を取ったから大手を振ってダンジョンアタックできる。
そうだ、全てアイツのせいにすればいいや。
俺は悪くないもん。俺はかわいいもん。
「その依頼受けましょう。さあ行きますか」
「え? 受けてくれる……? ……今?」
「善は急げです。今行く。もう行きます」
「ちょ、ちょっと待ってください‼ もう少し契約内容を……ああ‼ 待てやコラ‼ ダンジョンの地図とか持ってないだろ? せめてバックアップはこちらで……ちょっと‼ ホント待ってください‼」
こうして俺は東京で一二を争う人気ダンジョン。通称新宿バベルへと挑むことになった。




