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俺は探偵になるぞー‼

この先主人公は金持ちになっては借金をしていく適当な未来を考え中 仕事もころころ変える予定 

もしかしたら廃案にするかも


「鈴木がまた逃げ出したぞ‼」


「早く連れ戻せ‼ 連帯責任だぞ‼」


早朝に同室の同居人からたたき起こされる日々。彼らは鳥系のアニマル能力者の家系の子達らしく俺のような一般高校で生を謳歌しているのと違って軍のエリートコースに進むべく幼少のころから専門の能力者士官学校に通っている。いわばエリートだ。そんな連中の中に平凡たる俺が投げこめられればそれはどうなるかわかるだろう。

朝は喧しくたたき起こされて即座に着替えなければならない。そうして整列させられて点呼。その後早朝に訓練を行うことになる。前回までは基地内の400メートルトラックの周回を走らされていたようだが最近は高尾山方面の整地が進んだこともあってトラックで運べばいいものを重い物資をわざわざ背負って運ばされる。

昔はファンタジーの剣と鎧の騎士とかかっこいいとかシンプルに思ったが今振り返れば最低でも全身に重りをつけてさらに剣代わりに5キロダンベルを持って走らなければならないのだ。そりゃあ普通の人間だったら無理だな俺にはできそうにない。特に冒険者や能力者はとりわけ身体能力が高いから余計重いものを渡される。俺が入っている飛行能力者の鳥連中の中でとりわけ重い荷物を運ばされているのはもちろん俺だ。


だからこの肉体的にきつい訓練から俺はほぼ毎日逃亡をしていた。正直舐めてた。ここまできついとは。そして大勢に追いかけられて捕縛されて連れ帰られていた。最近なんかはもう、スピーカーから起床ラッパの放送が始まる前のブツッと回線がつながる音で体が起きだすし、それと同じで俺が逃げだしそうな予兆があったりすると周囲が未然に防ごうと周りを固められる。

特にここにいるのはあの早乙女の後輩であるため容赦なく苛烈にやれとお達しが出回っている。

あっちに逃げたぞーと声が上がれば周囲の人間は途端に殺気立ち、壁に追い込め―と連携の声が上がる。


「逃げたら殺すって昨日言っただろうが‼」


「殺すって脅してでもやらせたいことを無理やりやらせるからだろ‼ もう無理足が爆発する‼」


「じゃあほら足爆発させてみろよ」


血も涙もねえ。人間のやることか。

鬼か。ああ、俺はドラゴンだったか。ドラゴンいるからそりゃあ鬼がいるというか鬼にもなるか。

ここ本当に軍の士官学校か? 俺は悪魔でちょっとした行き違いみたいな軽犯罪を起こしただけのはずの一般人なのに社会奉仕でこんな未成年矯正施設一歩手前みたいなところに何でぶち込まれなくちゃいけないんだ。




そしてそれは俺の学校が開始する時刻まで続くのだった。






久々に学校に来たね。

いやいいね、ほんと。俺馬鹿だけど学校が好きになる。朝は糞早くにたたき起こされて運動をさせられ、学校が終わっても労働か軍施設で続きか勉強。

学校だけが癒しだ。


計画停電や学生ボランティアで撤去作業が前日まで行われていたらしく、久々の学校でも不登校児扱いみたいなのはなくすんなりと受け入れられた。所詮、影の薄い人間がどうこうなろうとクラスの中心人物が回っていれば何ともないこの不可思議な空間には脱帽した。

そんな彼らの専ら噂は連日のボランティアとそのことだ。

サッカー部の奴がたまたま高尾山方面で土砂を片づけたらゴボウのような薬草を見つけたらしい。持ち帰って換金したら3万円で友人たちで焼き肉を食ったとかなんとか。冒険者って楽勝だなとも言われた。

ここでムカッときて何か言うものなら俺はそれはつまり冒険者に誇りを持っていることになる。勿論俺は心穏やかにそれを聞き流した。だって冒険者って基本糞だし。寧ろ心の中で拍手喝采した。

いいぞ、お前もそうやって勘違いの勢いで冒険者になれ。そして酷い目にあえ。


「やほす」


「おはー」


席に着くと久しぶりの友人と会ったが、以前と変わらず他のみんなと一緒のように携帯を弄ってそれをアホ面で眺めていた。


「まーじ太郎どこ行ってんのー。校長が全員でボランティア行くとか言ってさー、班分けの時に喋る相手いなくて地獄だった」


「俺は冒険者としてほら、渋谷の第三あるじゃん? あそこで荷物運びしてた。携行缶のガソリンとか服に匂い尽くし、仮設トイレの汚物集めとかこっちもまあ地獄だったね。そんでちょっと物壊して借金になった。やっぱ違う仕事しようかな」


「そういや、学生で冒険者しているのはそっちの鉱山堀りでもいいんだってな。少ないけどうちの学校でも何人か冒険者での仕事行ったってなあ。金出るみたいだし」


少しフェイクを混ぜてはいるが概ね事実だ。

盲点だわーと愚痴をこぼして俺もタダ働きくらいならそっちがよかったーと友人は呟いた。相変わらず俺の運の悪さも弄ってきて。

お前ってホントついてないよなと友人が携帯から顔をふとあげて俺を見た。


「え? 髪染めた? 赤いけど。それに何かがたい良くなったね。身長も伸びてるし」


「あーこれは鉱石とか染料が付着した。体は力仕事してたら筋肉着いた感じ?」


ほら、水泳部も何人か塩素とかで髪が脱色されてるだろ。それと一緒だと説明した。ちゃんと俺だって女の胸だけでなく髪とか見ているのだ。勿論これは以前下心で女性水泳部の練習風景を覗きに行って見たのだ。


「やめて何の仕事する気?」


「何か私立探偵の面白そーだなーって。ほら冒険者が不倫したりしたら一般人じゃ尾行難しいから同じ冒険者が雇われたり、迷子のペットの捜索も発見率高いから依頼多いらしい。つーか俺のことはどーでもいいんだよ。そっちは何か面白いことなかったの?」


「あー、嘘かホントかアニマル系ドラゴンの能力者が現れたってー」


「いやだから俺のことはいいんだよ」


「誰も太郎のことなんか話してねえよ」


ヤバいと思ったが、まさかいつも喋ってるクラスの地味な男子が話題沸騰中の超絶イケメンめちゃつよ女性にモテモテドラゴンなんて思わないだろう。俺もそう思わない。どこにいるんだ特に女性にモテてるドラゴン。はよ出て来い。


「ほら、いつも夢中になっている何とかってアイドルは?」


「だからそれはもうファン辞めたんだよ。たぶん死んだから。所属事務所も完全に自力帰還を諦めて捜索隊募集しているらしい。以前の遠征で手に入れたクランの宝物の月のクリスタルまで売って」


月のクリスタル。耳に新しい。それは実はドラゴンが要望した貢物の一つだった。それを食べればせっせと鉱物を食べなくても一発で体にその青白い謎のクリスタルの力が宿るという不思議な物で、絶対に外せないものだったらしいが運よく財務省のおっさんが手に入ったと言って事なきを得たのだ。

あれ、そういう経緯だったのか。

うわ、何か凄い罪悪感が湧いた。たぶん忘れるまで忘れないと思う。具体的には昼ご飯くらいまで。


ただ、俺はこの後放課後にもう一度思い出さされるのだった。









放課後、久しぶりに予定の無かった俺は会社で捨てる廃材を貰って油性ペンで字を書いていた。きゅきゅっと書いて後はコーティングすれば完成だ。我ながらなんてほれぼれする出来だ。まさに完璧だった。

そこに後ろから頭に手を置かれ、覗き込むように誰かがやってきた。やって来たのは二階堂だった。高尾山のダンジョンでの間引きが終わり、一仕事を終えて報告に行くがてら俺の様子を観察しに来たらしい。


「何してんだお前」


「あん? 見てわからないか? 看板作ってんだよ看板」


「それはわかったが何で私立探偵って書いてんだ?」


「俺が私立探偵になるからよ」


わからんと呟かれた。何だコイツ、一から説明しないとわかんないのかよ。ハッ‼ これが二階堂と俺の解析力の差‼ 俺はもう既に探偵の才能の頭角が出てきているんだ。

仕方ないと、俺はドヤ顔で説明した。


「冒険者の尾行って冒険者じゃないと難しいらしいじゃん? 冒険者じゃないと出来ないことが沢山あって、それですげー冒険者の探偵って高給取りらしいじゃん。だから俺もやろうって」


「はあ」


「見ろよ、これ。ネットで迷子のペットの捜索早速一件片付けて五万貰ったんだ。五万だぞ‼ これと冒険者を兼業すれば年収一億も夢じゃねえぜ」


「年収一億でも借金返済するのに何百年かかると思ってんだ」


……いっぱい? これって自己破産申告出来ないのかな。つーか未成年の一学生に国がこんな借金抱えさせるってどうよ。


「何も政府はお前が馬鹿正直に返すとは思ってない。他の都市に引っこ抜かれたり緊急事態に戦力として確保するための拘束力で、この先真っ当に軍に協力すれば帳消しになる」


だから真面目にやれよ、何だったら協力と言わず高校を卒業したら軍に所属しろと言われた。うーん、絶対やだな。早乙女も二階堂も事あるごとに俺にかまってきて可愛がりという名の拷問に近い訓練をしてくる。これが名実ともに部下になろうものならその比は酷いものとなるだろう。

隙を見て絶対逃げ切ってみせるぞ。ふはは‼ お前たちは俺の逃げ足を鍛えているのだ‼ 高校を卒業するまでは前向きに借金返済を考えるけど。

逃げるのは京都あたりに逃げようかな。東京と揉めているらしいし。


「そもそも民間の私立探偵なんて殺人事件は警察の管轄だからやってもせいぜい浮気調査くらいだ。ホテル前で張り込む車も無い、何のノウハウも無いで依頼が来るわけないだろ。特にお前自体が監視対象な時点で笑いもんだ。一か月以内に依頼がもし来たら活動を許可してやる」


二階堂は誰も依頼が来ない方に焼き肉を賭けてもいいとも言って、俺の冷蔵庫からダンジョンで獲ったサザエと蟹を根こそぎ奪っていくと帰っていった。早乙女もミノのジャーキーかっぱらうし何で皆俺の部屋から食料取っていくかな。

そう思いながら二階堂を見送った。その後、まさか一日目にて依頼が来るとは知らず。


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